黒い白鳥 (創元推理文庫 M あ 3-4)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488403041

感想・レビュー・書評

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  • 「黒いトランク」と同じく鬼貫警部もの。シリーズ第4弾とのこと。
    安楽椅子探偵が華麗に謎を解く作品も好きだが、本作のように地道に街を訪ね、人を訪ね、ひとつひとつ細い糸をたぐっていく作品も最近とみに好き。
    アリバイ崩し&鉄道ミステリーの名作だと思う。鬼貫警部もいいが、上野署の須藤刑事も味があってよい。

  • 評価は4。

    内容(BOOKデーターベース)
    労働争議に揺れる東和紡績の常務令嬢敦子と、労働組合副委員長の鳴海は恋人同士。さながらロミオとジュリエットだが、社長の死を契機に労使間は雪融けを迎えつつあり、二人の春も遠くはない。その気分も手伝ってか、敦子は社長殺しの一件を探偵しようと提案。怪しいと目星をつけた灰原秘書のアリバイ捜査に赴いたバー『ブラックスワン』で、鳴海は事件の鍵を握る人物と出遇う。第13回日本探偵作家クラブ賞受賞作。

    鬼貫警部シリーズ。
    2時間サスペンスに持ってこいの内容だった。犯人は・・・・はは~ん過去をバラされたらおしまいだわ。と追い詰められた末の犯行ね。

  • 鉄道ミステリーはあまり好みじゃないですが、いかにして謎が暴かれていくのかには興味があるので最後まで楽しめました。探偵もののような派手さはなく地味ですが、時代背景が興味深いです。(メインの事件は下山事件を連想させます)
    巻末の有栖川氏の文によれば鉄道ミステリーを確立し、リアリズムの捜査小説と本格ミステリーを融合させた鮎川氏の代表作とのことで、推理小説を知るのに頑張って読んでみるのもいいと思います(合わなければ自分の好みを知ることができますし)

  • 4+

  • 漠然とした手掛かりを頼りに、東京から京都、大阪、更に福岡まで飛び、執念で容疑者を絞りこむプロットはとても読み応えがあります。
    鉄道を利用した二つのアリバイトリックは独創的で秀逸です。特にメインのアリバイトリックは単純にして大胆。伏線もきめ細かく、申し分のない出来です。
    前半のストライキや新興宗教の部分はやや冗長な気がしましたが、作品の完成度は高く、探偵小説のお手本のような作品だと思います。

  • 紡績会社の社長が上野の両大師橋で殺されて東北本線の鉄道車両の屋根に落下して運ばれる。鉄道トリック。

  • 鬼貫警部シリーズ

    久喜駅付近で発見された射殺死体。被害者は東和紡績の社長・西ノ幡豪輔。労使抗争に揺れる東和紡績。容疑者としてあがった組合側の指導者たち。東和紡績に関係の深い新興宗教団体の信者・知多半平。知多の容疑が色濃くなり、アリバイトリックの共犯者とみられる樽山源吉の殺害事件が起きるが・・・。発見された知多の遺体。声優・村瀬の目撃した事実。交通事故により重体となった村瀬と組合の副委員長・鳴海秀作。死の直前西ノ幡社長が訪れた貸し金庫。貸し金庫の中の半分にちぎられた写真。菱沼文江の勧める縁談。文江の過去の秘密。

     2011年1月6日読了

  • 1959年発表

  • 妥協を許さない鬼貫の捜査方針は時には呆れてしまうが、本作も粘り勝ちで犯人を追い詰めている。たった一本の糸を手掛かりに足を使って捜査するシーンが強く印象に残る。メイン、サブともに鉄道トリックを用いた希少な作品である。ともすれば、危険なトリックになりうるかも知れないものを、作者は堂々と論理的に披露している。レールに乗って一級の本格ミステリを堪能するのもいいが、たまには推理に参加したいものだ。

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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