ブロンズの使者 (創元推理文庫 M あ 3-10)

著者 :
  • 東京創元社
3.26
  • (2)
  • (3)
  • (17)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 92
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488403102

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブロンズの使者
    推理小説研究 第2号 1966年7月

    夜の冒険
    週刊小説 1976年3月19日

    百足
    問題小説 1976年3月

    相似の部屋
    問題小説 1976年8月

    マーキュリーの靴
    ルパン(瑠伯) 1980年夏季号

    塔の女
    問題小説 1982年6月

    あとがき 鮎川哲也
    徳間書店「ブロンズの使者」 1984年7月

    「夜の冒険」作品ノート 鮎川哲也
    立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集6 写楽が見ていた」 1979年2月

    解説 笠原卓

  • ロジックよりトリックの短編集。正直、トリックと言うより、アイデア一発みたいな話が多いが、あとがきで作者さんが、単純な話にしないと読者が受け入れてくれないと恨み言を述べている。この頃は(今でも?)そうなんでしょうねえ。やれやれ。「マーキュリーの靴」での〝落語〟のとんでもない理由が笑える。

  • 三番館シリーズはなにがあってもすべてはバーテンさんがなんとかしてくれるから、って思うので安心して読めるね。
    でも読み終わって、え、どういうこと?ってなるのもあるけど。

  • 『ブロンズの使者』
    ある雑誌社の賞をとった松浦。しかし授賞式直前に同じ同人会に所属する宝泉寺から盗作と訴えられる。調査の為に人吉に向かった編集者・南の殺害。探偵の調査。調査終了後自殺した松浦。宝泉寺が書いたという原稿と登場人物の名前。

    『夜の冒険』
    ある女性から夫・中森の素行調査を依頼された探偵。尾行を続ける内にキャバレーで「浜野」と呼ばれる中森に気がつく。尾行途中に投身自殺に巻き込まれ死亡した中森。バーテンダーが気がついた事件の真相。

    『百足』
    宝石のセールスマン水谷。親友の加藤が開くパーティで宝石のセールスを行う。パーティ会場に現れたおもちゃの百足。百足を暖炉で燃やした加藤。騒動の隙に加藤が購入した猫目石が消えた。事件の三日後に何者かに殺害された加藤。犯人が分かったと水谷に話していた加藤。現場に残された煙草から逮捕された谷。百足を焼いた理由。

    『相似の部屋』
    貝の収集家・重岡が訪問客に自分の持つ貝について話している隙に殴られ意識を失う。殺害された重岡。容疑者として逮捕された作家の中山。彼の牛乳箱から発見された重岡家から盗まれた貝が納められたコインロッカーの鍵。中山の元恋人で重岡により別れに至った桑山。桑山のアリバイ。

    『マーキュリーの靴』
    雪の降った翌日、作家・今江の元に原稿を受取に行った戸山が発見した今江の遺体。雪の上に残された足跡から自殺と考えられたが、死亡時刻より後に被害者に電話をかけた友人の証言。電話口から聞こえてきた落語。今江と作品のアイディアでもめていた作家の川添。バーテンダーが電話した翌日、心中した戸山と川添の秘密。

    『塔の女』
    タワー東京の展望台から階段で上に登っていった女。彼女の所属するバンドでの賭。消えた女。バンドのマネージャーからの捜索依頼。全員同じ衣装で展望台ひ現れたメンバーたちの秘密。

  • 三番館シリーズ。

    泡沫探偵の"私"の一人語り口調が大好きで、何度読んでも面白い。
    クスッと笑ってしまうような言い回しが随所にちりばめられていて、読んでいてにやけてしまうこと必至です。
    そんな彼の代わりに謎を解いているのは、バー《三番館》の達磨大師似のバーテン。

    短編集ながらどれもかなりの本格ミステリ。
    「そんな情報聞いてないー!!」っていうものはないし、トリックも明快で納得。
    さすがとしか言いようがないです。
    洞察力が鍛えられる気がします(笑)

    好きなのは「マーキュリーの靴」と「相似の部屋」かな~^^

  • 非常に無駄の無い文章で構成されたミステリー。教科書的ですらある技術力に溜息を吐き出すしかない。
    なるほどなーと感じさせるトリックと私とマスターのキャラクターが短編と言う読みやすさもありとても心地良い。
    足跡トリックとか、よくあるネタのはずなのに、すとーんと落とされてしまう構成力や文章力、塔の上で消滅してしまう女性など、叙述トリックに近い手法であるのに騙され感より納得感があるのは見事としか言いようが無い。
    もっと沢山の鮎川作品に触れるべきだ。そう感じさせられた一冊だった。

  • 《マーキュリーの靴》(収録作品)

    高層ビルの屋上にある邸宅に、独りで暮らす女性推理作家が、深夜に小雪の降った翌朝、胸にペーパーナイフが刺さった状態で、部屋の床に仰向けで死んでいるのが発見された。
    邸宅の周りには、うっすらと雪が積もっていたが、帰宅時の彼女の靴跡しか残っていないことから、警察は自殺だろうと考えた。
    しかし、私立探偵のわたしのもとへやってきた弁護士は「自殺ではなく他殺だと立証してほしいんだ」…そう依頼してきた。
    早速わたしは、事件解明に乗り出すのであった。

    タイトルの由来は、作中の次の言葉が語っている→

    「他殺じゃないですよね?犯人の出入りした靴跡がないんだから。仮りに一歩ゆずって雪の降る前に忍び込んでいたとしても、足跡をつけずに逃げることは不可能です。西洋の商売の神様のマーキュリーは、羽根の生えた長靴をはいていたそうですが、犯人も空中を飛ぶ靴でもはいていたのでしょうかね」

    空を飛んでやってきて、殺し終えるや、再び空の彼方へ飛び去ってゆく…。
    …ああ、悪魔の夢想を喚起する、なんてゾクゾクするイメージなんだ!

    わずか40ページの短編だが、作者は予想外の結末を用意していた!

    見事な作品である。

  • obtnd

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鮎川哲也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×