- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488403102
感想・レビュー・書評
-
ブロンズの使者
推理小説研究 第2号 1966年7月
夜の冒険
週刊小説 1976年3月19日
百足
問題小説 1976年3月
相似の部屋
問題小説 1976年8月
マーキュリーの靴
ルパン(瑠伯) 1980年夏季号
塔の女
問題小説 1982年6月
あとがき 鮎川哲也
徳間書店「ブロンズの使者」 1984年7月
「夜の冒険」作品ノート 鮎川哲也
立風書房「鮎川哲也短編推理小説選集6 写楽が見ていた」 1979年2月
解説 笠原卓詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロジックよりトリックの短編集。正直、トリックと言うより、アイデア一発みたいな話が多いが、あとがきで作者さんが、単純な話にしないと読者が受け入れてくれないと恨み言を述べている。この頃は(今でも?)そうなんでしょうねえ。やれやれ。「マーキュリーの靴」での〝落語〟のとんでもない理由が笑える。
-
三番館シリーズはなにがあってもすべてはバーテンさんがなんとかしてくれるから、って思うので安心して読めるね。
でも読み終わって、え、どういうこと?ってなるのもあるけど。 -
三番館シリーズ。
泡沫探偵の"私"の一人語り口調が大好きで、何度読んでも面白い。
クスッと笑ってしまうような言い回しが随所にちりばめられていて、読んでいてにやけてしまうこと必至です。
そんな彼の代わりに謎を解いているのは、バー《三番館》の達磨大師似のバーテン。
短編集ながらどれもかなりの本格ミステリ。
「そんな情報聞いてないー!!」っていうものはないし、トリックも明快で納得。
さすがとしか言いようがないです。
洞察力が鍛えられる気がします(笑)
好きなのは「マーキュリーの靴」と「相似の部屋」かな~^^ -
《マーキュリーの靴》(収録作品)
高層ビルの屋上にある邸宅に、独りで暮らす女性推理作家が、深夜に小雪の降った翌朝、胸にペーパーナイフが刺さった状態で、部屋の床に仰向けで死んでいるのが発見された。
邸宅の周りには、うっすらと雪が積もっていたが、帰宅時の彼女の靴跡しか残っていないことから、警察は自殺だろうと考えた。
しかし、私立探偵のわたしのもとへやってきた弁護士は「自殺ではなく他殺だと立証してほしいんだ」…そう依頼してきた。
早速わたしは、事件解明に乗り出すのであった。
タイトルの由来は、作中の次の言葉が語っている→
「他殺じゃないですよね?犯人の出入りした靴跡がないんだから。仮りに一歩ゆずって雪の降る前に忍び込んでいたとしても、足跡をつけずに逃げることは不可能です。西洋の商売の神様のマーキュリーは、羽根の生えた長靴をはいていたそうですが、犯人も空中を飛ぶ靴でもはいていたのでしょうかね」
空を飛んでやってきて、殺し終えるや、再び空の彼方へ飛び去ってゆく…。
…ああ、悪魔の夢想を喚起する、なんてゾクゾクするイメージなんだ!
わずか40ページの短編だが、作者は予想外の結末を用意していた!
見事な作品である。 -
obtnd