五声のリチェルカーレ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ふ 3-1)

著者 :
  • 東京創元社
3.31
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本棚登録 : 189
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488404116

感想・レビュー・書評

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  • マジでやられたミステリ リスト作品

    著者がメフィスト賞を取った「ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス版)」は読んだが、他の代表作のいくつかは積読状態

    10年以上前から知っていて読みたかったが、ついに出番が来た。とはいえ積読消化に選ばれる本はある程度ランダムなんですけどね
    期待度MAX!なんせ10年温めたし!

    〜ざっくりあらすじ〜
    重大事件を起こした少年の対応にあたる家庭裁判所の調査員のパート、いじめられる少年のパート
    の2つが交互に展開

    叙述系の前情報があり、それなりに読んできたジャンルなので序盤から違和感ありあり
    家裁の人パートでは少年の名前は出さないし、少年パートでは掴みどころのない何かをバレないよう隠そうとしている感じ

    突然出てくる音楽の講釈は何だろうか
    全く興味がないので理解しようとしても厳しいものがあるが、タイトルの伏線かな

    細胞性粘菌と大腸菌の講釈はおもろ
    相対する両方をシャーレに入れるとたまに共存・変化するらしい

    ホームレスを「ケラチョ」と呼ぶのは初耳だった
    調べても出てこないけど

    そして突然のエンド
    まだページが残っていたけど短編もついていたのを忘れてたわ

    2時間くらいで読了
    うーんと。珍しく完全に予想通りの結末でした
    最後の1行系に近いけど、あえてそれは外したように思えた

    いまや誰も使わない「厨二病」がテーマとはね
    作品自体は約15年前だからそのワードの全盛期か
    昆虫×音楽×厨二
    読み手の問題だけど音楽が効いてなかったなー
    タイトルもなんだかなー

    総評としては悪くないけど…温めた10年…
    星3つです

    併録されていた短編も読んでみた
    望外の楽しさだったので星1つプラスで

  • ラスト付近の2.3文を読んで「あれ?」と思い、その後の地の文と本のタイトルを見てようやく自分の勘違いに気づいた。もう一回読んだら違う読み方ができるかもしれない。
    リチェルカーレの例えがとてもわかりやすく新鮮だった。こんな風に考えたことはなかった。

  • 深水黎一郎による、学芸タッチの中編ミステリ。
    デビュー作から考えると、特異な起承転結はないが、代わりに文体や表現、セリフ等で所々個性を滲ませている感じがした。
    様々な学術的知識やエピソードをはさみつつ、話の構成は緻密で、上手くまとまった作品だと思う。
    ただし、少し文章は硬質すぎるか。自分の好みの問題ではあるが。
    3

  • 深水黎一郎の作品は,メフィスト賞受賞作の「ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!」を読んでみたいと思っていながらも,未読。この作品が始めての作品。
    予備知識なしで読み終わった。読み終わった段階の感想は,驚くことはできたけど,「なんか違和感があるな?」というもの。パラパラと再読しても,なかなか違和感がなくならなかった。
    本作は,同級生ふたりを殺した少年を家庭裁判所調査官の「森本」が調査をしているという設定となっている。調査がされている少年の名前が伏せられており,この少年が誰か?という点が謎となっている。
    叙述トリックで少年を「昌晴」という少年だと思わせ「,実は「白崎」という少年でした!」という真相の作品のように思われ,そのような感想を書いている書評サイトなどもある。最初読んだときは,そうとしか思えなかったのだが,再読すると,若干の違和感が残る。また,同時収録されている「シンリガクの実験」という作品との関係が希薄なのもしっくりこない。
    「シンリガクの実験」の主人公を「白崎」だとして,本編の真犯人が「昌晴」だと深読みしたサイトもあり,それを読むと,「そっちが真相かもしれない。」と思ってしまった。
    読んだ人によって,いろいろな解釈が成り立つ作品である。意識してそのように作られた作品なのだろう。「好きな作家がクイーン」というような,しっかり考えて読む人には,たまらない作品なのだろう。
    個人的には,そこまで深読みするのが苦手。作者の用意した真相に分かりやすく騙されたいタイプなので,この作品は好みの作品ではない。★3かな。

  • 自分の読み方が浅いからか、結局オチがわからなかった。
    あれでは犯人決まらないのでは・・・?
    短編の「シンリガクの実験」も、主人公違うみたいで、
    なぜこの作品に入れた?というような作品。

  • 音楽薀蓄にのめり込んでたら、足元すくわれた。

  • いじめの描写きつい。

  • 2013/7/28
    急いで読み終えたけど何か読み飛ばした?
    誰が誰を刺したか以外の謎が何かあったのでしょうか?
    違う人が犯人かのように思わせてたのは確かだけどそうしているのがアリアリで、犯人が実は誰だったかが判明してもそのこと自体にはそれほどの驚きはなかったんだけど。
    なんというか興味のわいた子じゃない子に最終的にスポットが当たって不完全燃焼。

  • この本の中における本当の“擬態”を、私は最後まで気づかなかった。
    三声でも四声でもなく、まさしく五声であった。

  • 昆虫好きのおとなしい少年が殺人を犯し、家裁調査官の森本が
    動機を語らない少年に四苦八苦する様を、少年は昆虫の世界を
    背景に過去を回想し、音楽マニアの森本は、事件の構図を
    リチェルカーレという音楽形式に当てはめて解こうとする。
    最後は読者だけが「五声のリチェルカーレ」を認識しているという
    にくらしい演出になっているのだが、完全に騙されました。
    おかしいと思ったことをスルーすると誘導されちゃいます。

    短編の『シンリガクの実験』は狡賢い少年心理が
    うまく描かれて面白かったです。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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