- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488413071
感想・レビュー・書評
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シリーズものと知らず
タイトルの「太宰治」に
惹かれて購入
「女生徒」と
津島美知子さんの
「回想の太宰治」を
読みなおししたくなった
岐阜駅本の市にて購入詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
円紫さんシリーズです!
まさか続編が出るとは思わなかったです。嬉しい。
前四部作からしばらく経ってからの続編ということで、主人公の「私」は40代になり、円紫さんとの関係も前作とは違います。
前作では円紫さんは私に謎を解いてくれる名探偵のような人だったが、今作はそうではなく、ヒントだけをもらって私が自力で答えにたどり着ける。
太宰治について知っていることが前提で話が進むため、最初は全くついていけなかった。
ピエールロチから始まり、太宰治、芥川龍之介など作家やその作品が出てくるが、それぞれの作家の書いた小説を取り上げ、その一部分に作家が何を訴えたかったのかを読み取っていく。
次々出てくる話がどんどんつながり、またそれによって別の本や作家の話が出てきて、少しずつ謎に迫っていく。
後半は作家や作品がわからなくてもついていける。
でも、ここに出てきた話を全部読んでからまた読みたいと思った。 -
このシリーズを読むのは久しぶり。帯にでかでかと書いてあるように、すっかり完結したシリーズだと思っていたのに、新作が出たことにまずびっくり。そして作品世界でもちゃんと時間が経過していて、「わたし」が大人になっていることにさらにびっくり。同窓会で久しぶりに旧友に会ったような気持ちになった。そして、年を取った彼女もちゃんと魅力的で、変わった部分も多いけど変わらない部分がたくさんあって、それがなんだかとても嬉しかった。
「日常の謎」というジャンルは、この作者が切り開いたものだと理解しているけれど、こういう書誌学的なミステリも、この作者独自のものだと思う。広く言えば「時の娘」のような歴史ミステリを言えないこともないと思うが、本作はそれとも少し違っていて、どちらかというとエッセイ的というか、作者の興味のあることについての発見を、探求の過程を含めて小説の形にしたようなものに感じる。僕個人は、内容にも作品世界の描かれ方にも興味があったからおもしろかったけど、「ひとつ、日常の謎ミステリを読んでみよう」と思ってこの本を手にすると、ちょっと拍子抜けするというか、「いったいいつ本題が始まるのだろう」と思って拍子抜けするかもしれない。
端的に言えば、謎を解くことよりも、謎を発見する目がおもしろい。そういう意味で興味深い作品だったけど、正直言って懐かしいこの世界に再び浸れることが一番のしあわせだった読書であった。 -
「円紫さんシリーズ」の最新刊だと思って読みはじめたものの、なんだか冒頭の「花火」が難しくて内容が頭に入ってこず、難しかった。
六の宮の姫君ではじめて「円紫さんシリーズ」を読んだ時はおもしろすぎて興奮したのに…
でも、2番目の「女生徒」は原作を読んでみたくなったし、それ以降は読み進められたので、順番がよくなかったのだろうか… -
本の表紙を見て、
まさか円紫師匠と私シリーズ?と喜び勇んで手に取った。
学生だった「私」も、もう中学生の母親に。
『空飛ぶ馬』や『夜の蝉』を読み始めたころは、
「私」の繊細な心の動きや描写の様子から
北村薫さんは女性だろうか?と思ったものだった。
「~といえば…」と思想がポンポン飛躍するのも健在。
楽しく懐かしい気持ちで読んだ。
若かった「私」のような瑞々しさや軽快さはないが、
それも年相応なのだろう。
同じように読み手の自分も年を重ねているのだ。
太宰治の本の中の謎を解き明かしていくので
どうしても引用が多い。
日常の謎を解き明かしていた初めの方の作品の方が好みなので
星3つで。 -
「六の宮の姫君」のような書誌学ミステリーで、わたしには少し難しかった。今回は太宰治。
《私》はわたしよりも大人になり、円紫さんとの会話にもあらわれている。変わったところ変わらないところはどちらもある。正ちゃんとの関係も読めて嬉しかった。
巻末の北村薫さんのエッセイも含めて、物事の巡り合わせの不思議には驚かされる。 -
大学生だった「私」もすっかり大人になって、私の年齢を超えてしまったことがなんだか感慨深い。
彼女が解き明かすのは本の中の謎。
本から本へと旅する姿を見ていると、その飽くなき探求心が羨ましくなる。
円紫さんとの関係性にも変化が見られるけれど、時の流れがそうさせるのだろう。 -
日常の謎が出でこないのは寂しいと思ったけど、再読では小説の謎を楽しめた
紙の本だと、あっちこっち読めるからいいよね
こういう内容のときは特にそれを感じる
北村さんの本は電子書籍化されないんだろうな -
円紫さんと私シリーズが出ていることを文庫化したのに気がつかなかった。こんな風に続編が読めてうれしい。主人公はもう中学生の息子がいる年齢。表紙の高野文子のイラストもそれに合わせたのだろうか。
謎解きの要素より、文学評論に近いのではないか。昨日の読み方はいろいろなんだな。
「白い朝」は円紫さんの子どものときの話だな。
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■あれから20年―――
”私”は結婚していてもう中学生の息子がいる。
………”オレ”には誰もいない。
”私”はみさき書房一筋、今では立派な編集者。
………”オレ”は職を転々として、何一つ大きなことをなしえていない。
なぜ、こうなった? ………円紫さん、あんたこの日常の謎、解けるか?
■三島、ピエール・ロチ、芥川、太宰、朔太郎……。本を巡る知の冒険が再び始まる。