月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

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著者 : 有栖川有栖
  • 東京創元社 (1994年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414016

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有効な左矢印 無効な左矢印
有栖川 有栖
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月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 衝撃。
    ロジックの美しさといったらない。
    この作品は、所謂「クローズドサークルもの」だ。
    推理小説を読むのは好きだけど、ジャンルについてはあまり詳しくはない。しかしこの作品を読むと、ミステリ用語の知識が増えていく。なぜなら主人公ら4人は推理小説研究会という大学サークルのメンバーだからだ。読んだことがあるものや初めて聞いたタイトルなど彼らはかなりマニアックなミステリーマニアといえる。
    主人公の有栖川有栖は大学1年生。たまたまであった推理小説研究会の部長江神と出会い、サークルに入会することになる。サークルには口の立つ望月、ハードボイルド好きの織田がおり、日々ミステリ談義に花を咲かせている。
    彼らが夏合宿(何の?)と称して矢吹山へ向かう道中、同じキャンプ地へ向かう大学生たちと親しくなる。総勢17人でキャンプファイヤーを囲み楽しくすごしていたが、そのうちの一人、女子大学生の山崎小百合が行方不明になってしまう。さらに矢吹山が噴火したことで救助を待つことになるが、そのなかで殺人事件が発生し…。
    犯人が分かったときにびっくりし、犯人を探偵役の江神部長が特定した過程にもびっくりした。推理物として、論理的な犯人当てを楽しむためには警察が介入できない必然性が要求される。それがこの噴火なのだけど、その噴火でパニックになった状況も利用して事件が起こるのが面白い。指紋や、正確な死亡推定時刻などが分からないなか、犯行の状況を論理的(ロジカル)に推理していく江神部長かっこいい…。
    推理物なのでもちろん人が死ぬ。でもなんと言うか、優しいんです。おそらく作者の有栖川さんが優しいからだと思う。読んだ後、「犯人分かったー!まじかー!」ではなくて切なさが残る。でもちゃんとパズルがカチッと嵌るカタルシスもあって、正直癖になりますね。そして学生アリス2作目へ日を置かず飛び込むことに成ります。
    作家アリスシリーズとはまた違う面白さ。作家アリスシリーズを読んでいると学生アリスシリーズが読みたくなり、学生アリスシリーズを読んでいると作家アリスシリーズが読みたくなる…。どうしよう、エンドレスです。

  • 有栖川有栖のデビュー作である。
    「学生アリス」としてシリーズ化される最初の物語でもある。
    噴火によって孤立したキャンプ場を舞台としたクローズ・ド・サークルもの。

    本格推理小説を意識しすぎたためか幾分固さを感じるけれど、ミステリーとしてのロジック的完成度は高いと思う。
    登場人物が多く個々に描ききれていない部分もあるけれど、いかにも推理小説研究会らしい会話などは読んでいて楽しかった。
    すべてが明らかになったときに思ったのは、「そんな馬鹿な!!」ということ。
    反面、案外こんな人っているかもしれない・・・という気もした。
    人とは理解しがたい存在だ。
    だからこそより相手を知り、互いに理解しあいたいと願うのではないだろうか。
    短絡的な恋をする人は、短絡的思考をする人かもしれない。
    悲観的にしか未来を見ることができない人は、悲劇的な未来が待ち受けているだろう。
    危急のときには、その人間が本来持っている資質のようなものがあらわれると言う。
    青春ミステリーといった感じが強く、初々しいアリスが可愛らしい。
    読みやすさという点からいっても、推理小説初心者でも楽しめる物語だと思う。

  • 久しぶりに本格ミステリを読んだ。不幸にも隔離されてしまった場所で17人から生存者の数が減っていく。よくあるミステリと言えば、を体現したかのような小説。ありきたりと言えばそれまでだけれど、それでもワクワクしてしまうのはミステリ好きの性というものだろうか。
    人が死んでいく緊張感、その中でも求められ、実現される虚構の安息がちゃんと描かれていて、読んでいて取り込まれる。
    誰がどのようにどうやって、を考えながら読み進めていたが、皆目見当がつかない。不可解なことを起こした動機が綺麗に回収されて、そこでやっと自分の目線の狭さを実感した。
    一発逆転のどんでん返し物ではない。単純で、複雑で、見抜くには論理的思考と感情的想像、多くの目線を必要とする本格ミステリ本。
    苦言を呈するならば、殺人に至る動機が少し弱い気がしないでもない。まぁ、ミステリはすぐ人を殺すからね。こんなものでも不満は大きくないけれど。
    シリーズ物だそうなので、続編も読んでいきたい。

  • 私自身初めての有栖川有栖作品。
    作者の記念すべき長編デビュー作だそうです。

    4つのグループに属する学生17名が、とあるキャンプ場で同泊。
    楽しく過ごすうちに近くの火山が噴火し、舞台は思いがけずクローズド・サークルへ。
    断続する地震や噴火の過酷な状況のなか、しだいに行方不明者や死体が...

    場面設定・展開の大仕掛け感と登場人物の多さのせいか、個々の人物掘り下げはほどほど。
    この点、人物描写や人間関係の深み、動機などについて少々物足りなさを感じる方もいらっしゃるかも?

    一方、"that's 推理小説"的に展開するストーリーは、「ああ、これが本格ミステリーか!」と思わせるもの。
    しっかりとミステリーを組み立てていらっしゃると思います。

    ちなみに...
    物語後半に出てくる「読者への挑戦」は、そのような展開になるとはつゆ知らず、個人的にはちょいとびっくり!
    こういうのも「推理小説」の色濃くて面白いですね。
    (とてもとてもワタクシのようなミステリー素人では、私一人で謎解きなんてのは到底難しいですが...)

    時折、織り交ぜられる他の名作ミステリーへの言及はとても勉強になります。
    思わずエラリー・クイーン作品をいくらか購入してしまいました。

    あと、キャンプや山登りをこよなく愛する私としては、特に前半に出てくる自然描写・キャンプ描写がとても良い。
    自然に囲まれ、いつもより多めに吸い込みたくなる空気や、日常ではなんてことはない行動がとても新鮮に感じられることなど、また再び自然に触れたいという想いを膨らませてくれる、心に響く描写です。

    ともあれ、楽しく読ませていただいた、初の有栖川作品。そして初の学生アリスシリーズ。
    作中人物、そして、作者自身をより理解し、作品をより深く味わうべく、今後の有栖川作品読書が楽しみです。

  • 登場人物が多い…キャラクターをたてるという流行は最近のものなのだなぁと改めて思う。キャラクターをたてるより、容疑者としての行動を明確に記述する。
    久しぶりの本格推理ということで、間に挟まる挑戦状でしっかりじっくり考えてみたが…いけないなぁ。しかし、傍点のつくたった一文で否定されてしまうとぐぬぬ。。ってなるね!いやでもちゃんと否定してくれたことをありがたく思うべきか。
    ミステリの部分ではない地の文に魅力があると思う。江上シリーズはまた挑戦しても良いかなぁと思いました!

  •  作品解説:夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼! 有栖川有栖のデビュー長編。
     登場人物が17人という多さだが、それぞれが見事に個性を発揮しており、読み手の混乱を招かないようになっている。この人物設定のうまさが以降の学生アリスシリーズを生み出したのだろう。

  • 以前読んだ「双頭の悪魔」は、
    同シリーズ3作目で
    著者の最高傑作と謳われる作品だが、
    物語もトリックもさほど良くなかった。

    その為、有栖川作品自体を敬遠していたが、
    ラノベとして読めばなかなか楽しめた。

    後半に差し掛かっても、
    真相が全く見えて来ず、
    最後まで楽しんで読めた。

    真相自体は驚くほどのものでなく
    残念だったが、
    本格ミステリを備えた
    青春ストーリーとしては
    なかなかだと思う。

  • とにかく登場人物が多くて、序盤は覚えるのに一苦労。火山の噴火シーンもリアリティがあってよかったし、クローズドサークルものは読んでいてドキドキするのでやっぱり好きだな。ダイイングメッセージや、トリックに至ってはなるほどと思ったが、ちょっと動機が薄くないか?と思うのだが、何が人を鬼にするかは人それぞれといったところか。推理小説であり甘酸っぱい青春小説であり、なかなかに楽しめた作品であった。にしても、救助来るの遅すぎやしないか…?

  • (あとで追記予定)
    そういえば読んだことなかったなと思ったので購入。
    この作品は夏に読みたいなと思ったので、7月まで寝かせてから手に取りました

  • ミステリが好きだと言いつつ、ミステリの何たるかという小難しいことを語ってくる人や、それを鼻にかけてくるミステリ好きは苦手なのだけど、基本も読んでみたいなぁと思わせてくれる作品だった。

    ただ、登場人物が多すぎて、その上キャラが特筆してたっていないせいか、なかなか把握しずらいので(特に男性キャラ)流れを追うのに誰が何だって?と首をかしげることも。
    何より、主人公であるアリスの惚れっぽさというか、若気の至りなのだろうけど後先考えなさに呆れてしまった……。
    いくら好きな女の子といえど、数日のうちの知り合いで、人を殺したかもしれないという疑いがあるのにも関わらず、その彼女の行為を黙認するような行為……。
    いくら何でも軽率というか軽薄では。
    探偵役は作家アリスと同じようにアリスではなく江神だけれど、主人公としては褒められたもんじゃない……という感が拭えない。
    私が名探偵コナン好きだからなのかもしれないけど。

    江神の推理はわからなくもないけど、なんとなくもやっとする感じは残る。
    犯人本人も言っていたけれど、そんなことで殺人を…?としか言いようがない。
    動機がもっと明確なら納得できたのだろうか。

  • 有栖川有栖のデビュー作。学生アリスシリーズは「双頭の悪魔」→「孤島パズル」と逆走した形で読んだ。アリスは大学に入学したばかりの法学部1回生。入部した推理研究部の面々と共に矢吹山にキャンプに出かける。そこで意気投合した他大学の学生と共に楽しむ筈だった。休火山の矢吹山が噴火するまでは。孤島と化した矢吹山で起こる殺人事件。犯人は?その動機は?登場人物が17人もいる大所帯な物語。アリスのほのかな恋愛。そして全て大学生なので青臭く、恋愛もなんとなく潔癖な所も。全員が極限状態に陥ると心も荒む。関係もぎくしゃく。不安定な精神を上手く出てると思った。

  • 後の作品と随分作風が違うのでビックリした。
    クローズドサークルもので、状況は古典的だけど、ちゃんとドキドキハラハラする。
    謎解きも、へえ〜ってなる。
    それはいいんだが…

    動機が全然納得出来ない!
    美加さんの仮説の方がまだ納得出来るんですけど!
    なんでこうしたの??
    そりゃあ賞通らんわ〜。。。

  • 大学のサークルメンバーでのキャンプ。
    そこで出会った人達と、密室になってしまったキャンプ場。

    楽しいだけのはずが、殺人事件に発展。
    当然犯人はこの中にいる! という状態。
    よくある事態ですが、精神のすり減り具合が
    半端ない状態です。
    しかし、それは犯人にとっても同じ事。
    そんな犯人は、必死に知恵を絞ってどうにかこうにか。
    思いつきもしなかった保管に、案外冷静だな、と。

    動機も分かりませんし、どうやったのかも謎。
    最後の解決編までに、すべてのヒントが出てるそうですが
    さっぱりまったく分かりません。
    言われて、あぁなるほど、と納得するぐらい。
    ミスリードさせるような描写が多すぎです!w

  •  推理小説研究会に所属する4名を始めとする17名の大学生の男女がアウトドアキャンプに訪れた山で火山の噴火によって下界から隔離され、そのクローズドサークルを舞台に、一人が失踪、そして殺人が繰り広げられていく。

     最初は、火山という非現実的に思えた舞台、登場人物の多さ、登場人物たちの方言や口調、ふりがなが振られていないと読めない単語たち、さらっと出てくる知らない単語たち…、それらから、取っ付きにくそうなやや年配の作者の小説、という印象を抱いた。最近若い作者の小説を中心に読んでいたせいもあるかもしれないけれど。後になって調べてみると、作者はタイトルにある88年当時29歳、そんなに古い人ではなかった。そのおかげもあってか、少し読み進めると自らアクセルを踏むように引き込まれていった。
     難点は、登場人物の多さ。カバーの裏、表紙の裏に登場人物の一覧が載っているのだが、できる限りそれに頼らず読もうとした結果、何度も語り手有栖川有栖とその他の人物が出会った場面を見返す羽目になり、そしてそれは犯人を暴くシーンになってまでも続いた。批判するほどには苦にはならなかったが。
     最も残念なのは、動機の弱さ。青臭い大学生で、非現実的な状況だから仕方ないか、では済まないくらいに違和感があった。

     読み手のテンポを巧みに操る改行の巧さ、人物が多い中で誰の台詞で誰がどう動いたのかをくどくなく描写してみせるなど、ストーリーやトリックの巧みさのみならず、そういった作者の力量で、話に引き込まれていったのだろうと思う。
     学生アリスシリーズ、いつかは読み進めてみようと思う。

  • 有栖川有栖や江神二郎は英都大学推理研究会のメンバーとともに山のキャンプ場へやってきた。
    そこで居合わせた大学生の客たちと意気投合し楽しくキャンプを始めるが、メンバーの殺人や失踪が次々に起こる。
    更に休火山が突然噴火し、山に閉じ込められてしまう…。
    「学生アリス」シリーズ第一作。

    久しぶりに再読しました。
    作者の長編デビュー作なので、「本格ミステリ」への思い入れと気合が伝わってきます。
    閉鎖状況下での謎解きとか、いかにも「ザ・新本格!」って感じで、読んでてこちらの背筋がぴんとなりましたね。

    いつものように私には推理などはできないのですが、刻一刻と変わる状況にページをめくる指が止まりませんでした。

    大仰な道具仕掛けも無いのでどちらかといえば地味な謎解きストーリーなのですが、それがかえってリアルさを醸し出しており、パズルとしての面白さと小説としてのそれがかけ離れていないのが良かったです。

    青春群像劇でもあり、今読むと青臭くて気恥ずかしいモノローグもあって若書き感は否めないと思いますがなかなか面白かったです。

  • 最近、「ミステリー」と銘打った本が多すぎる。日常モノも、キャラクター重視のものも好きだけれど、なんとなく物足りなさを感じ始めた今日このごろ。

    思えば、私のミステリーの入り口は、アガサ・クリスティでした。

    というわけで、原点回帰で本格ものを、ならば今こそ、一時あえて避けていた「新本格」と呼ばれるものに手を伸ばしてみようと思い立った一冊目。

    まずは、登場人物の名前から懐かしい香りがします。が、彼らみんな、洋モノに出てくるような際立った個性のキャラクターの持ち主ではなく、普通の大学生ばかりなので、登場人物の区別が難しい・・・

    強引だなと思える部分もありましたが、大学生だから起こってしまった事件、と思えたり。全体的に、イメージが「青い」感じの作品です。

    やっぱり「謎解き」は良いなと思い知らされる一冊。

  • まさに『推理小説』という感じ。読者への挑戦といい、本人がとにかく推理小説を愛し、とても楽しんで書いている感じがあって、デビュー作ということも手伝いなんだかすごく初々しくてかわいらしい。
    登場人物が覚えきれず、冒頭の人物紹介を参照すること幾千。バカだから。
    江神さんとルナはかわいいなー。そして理代、おまえ……。

  • 有栖川有栖のデビューだか長編デビューだかの作品。
    かなり昔の一冊ではありますが・・・今読んでも色あせない面白さがあります。こういうベタな本格ものが自分の好みってのが大きいんですが。
    ついでにあくまでも個人的な難点をあげるとすると、みんな「洋館に住む奇妙な人々」みたいにキャラがとんがってるということもなく基本的には無害な大学生なので、いっぱいいる登場人物たちが読んでいて「こいつは・・・誰だっけ?」とわからなくなったりするのが困りました。

  • なんだか少し腑に落ちない。動機もよくわからない。

  • 有栖川有栖デビュー作で学生アリス一作目。
    大学生が噴火によるキャンプ場に取り残され、殺人が起こる。ダイイングメッセージが残されるが誰にも明確なアリバイがない。

    読者への挑戦もはさまれフェアな犯人当てにこだわっている。なにより本格推理の醍醐味だけでなくさわやかな青春を味わえる。とても楽しめた作品。

  • 噴火する火山で起こる殺人事件。
    推理したくても登場人物が多くて覚えられなかった。。

  • このパターンのミステリー、大好きだなぁと改めて思った。

    トリックや動機やダイイングメッセージに多少無理があっても、やっぱり面白い。

    1日で一気読みしてしまった。

    自分なりに推理してみたものの、作者のミスリードにしっかり引っ掛かり、自分の実力を思い知らされたのも楽しかった(笑)

  • 懐かしい香りがする…。 読んでいて、どこかホッとしたり、謎解きにワクワクしたり、推理小説を読んでいるのだなぁと実感できました^^ ですが、いかんせん登場人物を覚えきれず、すらすらと読み進められなかったのが残念。 殺人の動機もイマイチ私には分かりませんでしたが、本格推理小説として楽しめました。

  • 学生アリスシリーズ第1弾。
    火山の噴火によるクローズドサークルという珍しい舞台設定で起こる殺人事件。

    登場人物が無駄に多すぎて把握し辛かったというのが率直な感想。
    ダイイング・メッセージに関してもやや強引な印象が否めなかった。
    迫力は劣るが、単純に受け取る側が誤認しただけの方が違和感はなかったはず。

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