少年検閲官 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488419141

作品紹介・あらすじ

旅を続ける英国人少年クリスは、ミステリを検閲するために育てられたエノと出会う。書物が駆逐されてゆく世界で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。気鋭の代表のひとつ。

感想・レビュー・書評

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  • 洪水と津波で世界が水没しつつある中、14歳のクリスはひとり異国を旅していた。
    母は幼い頃に亡くなり、英国軍人の父は潜水艦ごとどこかの海底に沈んで戻らなかった。
    クリスは、森に囲まれた小さな町でホテルの息子ユーリから、町の不穏な噂をきく。
    「探偵」が町の家々に赤い十字架のような印を残し、森に迷い込んだ人々の首を切っている。
    ある夜、クリスは「探偵」を誘き出そうとする自警隊と行動を共にして、森で「探偵」の犯罪を目撃する。

    書物が禁じられ、ラジオのみが情報という世界で、失われた「ミステリ」に思いを馳せるクリス。
    父から聞いた「ミステリ」の「探偵」は正義のはずが。
    「ミステリ」とは「探偵」とはをじっとりと語っている物語。検閲官エノが登場するまではジリジリする展開。
    どうなっていくのか先が読めないので、「探偵」の正体も犯罪の動機もなかなか衝撃的だった。

    ここのところ、タイムリープとか超人たちとか、人体実験とかのミステリを続けて読んでしまって、そろそろ、私の常識が通じる世界のミステリを読みたい気持ちに。

  • 書物のない世界、ミステリを知らない世界で起こる事件…
    この世界観でないと読めない真相だったなと思います
    良い意味で不思議な読書体験でした!

    これからどうなるのか…
    次のオルゴーリェンヌも読みたいと思います!

  • 異常気象により海に飲み込まれ、終わりへと向かう世界が舞台。
    書物を禁じられた社会で、ミステリを求める少年とミステリを検閲する少年の交友を主軸に、この特殊な世界設定を使って「ミステリ」を表現し解き明かしていきます。

    冒頭の青年と女性の冒険や、少年と折りたたまれる少女の話などは童話みたいで暗く幻想的。
    これらの猟奇的で不可思議な事件が「書物が禁じられた世界」というキーひとつで様相を変えるのがおもしろいです。
    いたるところに真相を暗示する場面がありました。

    検閲官の少年と旅を続ける少年の行く先も興味を掻き立てられるところで、シリーズとしての続編が待ち遠しい。


    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・













    「ミステリ」がなければ「犯罪」を知らない、「ガジェット」がなければ「トリック」を知らないというのが、アイテムを手に入れないと攻略できないゲームみたいでした。
    書物がないという事象をミステリや犯罪と絡めるのがおもしろいです。
    クリスの持つガジェットが「記述者」というのがまた意味深。

    人々の思考やラジオなどから「書物が禁じられた世界」を「情報が制限された世界」と連想してしまうのですが、それが「紙がない世界」であり動機につながっていくのが盲点でした。

    しかしあれだけ殺人を犯し、壁紙を手に入れたなら1冊くらい本が作れそうですが、どの程度用意したらみせるつもりだったんだろう。そしてどんな内容を書くつもりだったんでしょう。

  • シリーズ1作目
    世界観は分かったので、2作目に期待でしょうか…

  • 北山猛邦さんの本は「踊るジョーカー」が初読みだったので、こんな幻想的なミステリーを書く方だったんだと驚き。

    本の所持が禁止されている世界。閉鎖的な町にやっていた14歳の旅人クリス。おどろおどろしい首なし死体。
    得体の知れない不安感がつみあがったところで、少年検閲官エノ登場。そこからはさーっと風が吹き抜けるように、謎解きへ。
    どの人物も怪しく見える中で、少年検閲官の部下2名のキャラに癒やされる。彼らのやりとりをもっと見たい。

  • クロック城をはじめとする、いわゆる城シリーズのようなファンタジーな世界観で描かれたミステリーで読み進める中で、様々な情景が目に浮かぶようでした。
    一方で、本格ミステリーのスタイルをとっている謎解きの部分は、そのファンタジーな世界でのギミックをうまく活用してトリックを描き出しています。
    そのように描かれたストーリーなので、この世界に興味をそそられ、この世界の話をもっと読んでみたいと思わせるような読後感でした。

  • オルゴーリェンヌ を買ったので、
    1作目を再読。
    だいぶ前に読んだけど
    世界観がすぐに思い出せた。
    この作者なのかこの作品なのかわからないけど
    すごく読みやすくて入り込みやすい。

    個人的にファンタジーが苦手なんだけど
    ファンタジーと見せかけて
    えげつないくらいちゃんと現実みがある。

    主人公が少年なのと
    ファンタジーのような世界の中で
    突然氷の刃を突きつけられるような感覚。
    とても好き。

    オルゴーリェンヌもすぐに読みだしました。
    3作目が随分出てないらしいけど
    早くもクリスとエノの物語を読みたい。

    それまでに北山猛邦さんの作品を漁りそう。
    オススメあったら教えて欲しいです。

  • なかなかに不思議な話だった。

  • 書物の所持が許されなくなり何十年も経った世界。旅する少年クリスは訪れた町で、首なし肢体が多く目撃されると知り事件へ踏み込んでいく。
    知っていること、知らないこと、読者の常識と作中の常識の境界を探る内に、真実へ案内される。おもしろい感覚だった。

    読み終えて、カバーイラストを見たときの気付きも楽しい。

  • ちょっと回りくどいチャプターもあったけど、しっかりしたミステリーでした。ファンタジーと言うのかもしれないけど、想定外な世界観とかが楽しめる人には二度美味しい、かな?

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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