人魚は空に還る (創元推理文庫)

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著者 : 三木笙子
  • 東京創元社 (2011年10月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488421113

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人魚は空に還る (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 表紙を見て今流行のBL風味なのかもしれないなあ、と恐れながら購入したがとんでもない。
    とても心地よい物語がつまっていた。

    気取るわけでもなく、しったかぶりの知識をひけらかすわけでもなく
    淡々と綴られる小さな物語たち。
    いろんなものが繋がって、「ああ、そういうことね」と
    作者の頭に蓄えられた様々な出来事や事実がきれいにまとまっている。


    読み終え、実に「気持ちのよい男たち」だ、と某映画の台詞を呟いてしまう。


    最近、これが小説を名乗って出版されていいのかと疑問に思うものに多く出会っていたため、なんだかほっとしたよ。
    ぜひ続編を読みたいと思う。

  • 舞台は明治の帝都。心優しい雑誌記者の高広と、超絶美形わがまま天才絵師の礼が、不可思議な事件を解いていく探偵譚。

    この登場人物たち、とっても素敵です。主人公ふたりのやりとりが愉快で電車の中でもニマニマしてしまいました。ゲスト的な人達も面白いし、編集長など脇を固める人々も申し分なしでした。
    帝都で起こる事件は、「人情味溢れる」という紹介文が表す通りで、難しいロジックに頭を悩ませる……というものではありません。でもいわゆる、日常のささやかな謎を解いてほっこり、という類とも違う。盗まれた真珠や見せ物小屋の人魚など、ぞんぶんに凝らした趣向に人間ドラマを垣間見る形は、私の好みでした。

    どれも良かったのですが、表題作が一番好きかなー。最近はやりの見せ物小屋の人魚が売却されることになり、その最後に観覧車に乗りたいと言い出して……という話。傍若無人な団長に、訓練時でも人目があると必ず仮面を付けている団員達……という怪しげな一座の、真相がことのほか良かったです。この一編こそまさに、解くこと以上に雰囲気や景色を味わうためにある謎といった風情でした。

    怪盗ロータスも興味津々。
    シリーズの続きも読んでみたいです。

  • 時は明治。司法大臣を父にもつ新聞記者・高広と、美しいが高飛車で変わり者の絵師・礼が織り成す帝都探偵奇譚。
    ミステリーというほどではない謎解きものだけれど、明治という時代を美しく情景的に描写してある文章にひきこまれます。

    最初は設定からして、礼がホームズ役、高広がワトソン役かと思っていたら、逆だというのにはちょっとビックリした。
    礼はノリノリで話を聞いてくびをつっこむのに推理は高広にまかせている自称ワトソンだし、高広は自分に自信がないせいか推理をするにも弱気だしそれを告げるときもかなり弱々しい。でもそれが、よくある推理モノでホームズ役とワトソン役がいるコンビの話とはまた違って、この作者のふんわりとした描写に合っていてよかったと思う。

    謎はあまり深くない話の短編集だけれど、今後はロータスというエキセントリックな存在との対決でドキドキ感も味わえるのではないかしら。

  • イケメン天才絵師とお人好しの雑誌記者と愉快な仲間たちが帝都で起こる事件の謎を解く。
    絵師殿は最初引きこもりなのかと思っていたが結構アクティブだった。
    佐野が結構好き。
    ロータスのその後が気になるので続きが読みたい。

    表題作を読んだ期間にロトのCMに出てた米倉さんを見て、花遊鞠子のビジュアルイメージが確定した。笑

  •  いいコンビがここにもいる…

     時代設定もまたいいよね。

  • 表紙につられて読んでみてます。明治時代の探偵もので、助手がいい感じに態度でかいのに探偵の子に懐いてる様子がかわいい。
    優しい雰囲気と明治という時代のノスタルジーとかたまらんバランスで楽しいです。モチーフになってるものが人魚とか真珠とか、そういうのも綺麗で好みドストライクでした。

  • 心優しき雑誌記者と美貌の天才絵師が、明治の帝都で発生した事件の真相や不思議な謎の秘密を解き明かしていくストーリー 明治の街のノスタルジックで幻想的な雰囲気と登場人物達の優しさ温かさが物語全体に染み込んでいる様な感じがした また各話の題材も、”宝石店から盗まれた最高の美しさを持つ真珠の行方”や”観覧車の頂上から泡の様に消えた見世物小屋の人魚””独特の美学のもと華麗な手口で美術品を盗み出す怪盗” 等、魅力的なものが多かった

  • 誰かが死んだりする訳ではないミステリー。
    雰囲気が素敵でほっこりします。
    高広と礼のやり取りが面白かったです。
    表題作の人魚は空に還るが一番好きでした。

  • ホームズ&ワトソンものは少なからず読んできたつもりですが、これは新しい!
    「思わせぶりイヤミホームズ」「読者以下の推理力しかない卑屈ワトソン」の定型を覆す、「腰の低いホームズ」と「上から目線な美男絵師ワトソン」です(笑)。
    いやー、ビックリしました( ^ ^ )この部分は、ミステリスキーなら楽しめるカタストロフィではないでしょうか(笑)。何が面白いって、ワトソンに役を譲りたがるホームズのヘタレっぷりや、自分の画力と美貌を武器に事件にズカズカ口を出すワトソンの強かさですよ(笑)。

    誰も死なない謎解きものと言えば最近は「日常の謎」ものが人気ですが、今作は失踪・盗難・密室からの消失ときて、極め付けは怪盗と予告状! これは日常の謎ではないよね~(笑)。

    ガチガチな様式美に拘りすぎて人間描写に違和感があるミステリや、キャラ小説が書きたかったのかと訝りたくなるような謎解きは「ついで」扱いのミステリが多い中、これは読み物として純粋に面白いです。キャラクタが強いのに、うるさくない。その上、謎も魅力的。

    時代設定を「明治」にしながら時代考証や当時の生活感を書き込みすぎず、読者の想像に世界観の構築を概ね委ねる書き方も好印象です。

    この作家が本格物を書いたら面白いだろうな~と期待しつつ、でもデビュー作がこれってことは、今後もこの系統で書いていくんだろうな~と予想。いや、読むけどね!笑



    ○点灯人…コンクールで多額の賞金を手に入れた少年が失踪した。彼は「金は全て使った」と言い残して姿をくらませたが、果たしてそんな大金を何につぎ込んだのか?

    ○真珠生成…宝石商から盗み出された真珠の粒の一つが、芸者の金魚鉢から不意に発見された。自分も発見者になって懸賞金を手に入れようと、街はにわかに金魚鉢ブームとなるが…。

    ○人魚は空に還る…見世物小屋で人気を博した人魚が、さる夫人に買い求められることになった。人魚の最後の希望は観覧車に乗ること。ところが、客車が頂上に着いた途端、乗り合わせた男の悲痛な叫び声が上がり、不思議な泡が下界へと降り注ぎ、戻ってきた客車の中からは人魚の姿はかき消えていた(意外なゲストも登場)

    ○怪盗ロータス…怪盗を名乗る泥棒が人々を熱狂させていた頃、ある成金のもとに怪盗からの犯罪予告が届けられた。それまでと手法を変えてきた彼の真意は?

  • 創元推理から出ていても、ミステリ小説というよりは時代物の浪漫譚。
    そしてこれが最高に面白い。

    貧乏だけど人情家でお人好し、でありながら頭脳明晰・腕っ節も強い探偵と、自分に自信ありまくりの超美形売れっ子絵描きの男二人コンビという、
    また女子の大好きな設定だなぁ…と思いながら、ちょっとそっち系に媚びた作風を邪推して読んだのだけど、とても期待を裏切ってくれた。

    不可思議な出来事と、そこに潜む人たちの不器用な想い、ままならない出来事への主人公たちの憤りや心配や思いやりがまっすぐ心に届く作品。

  • 明治時代の帝都東京で不思議な事件に巻き込まれるお人好しの雑誌記者と美貌の天才絵師。絵師が探偵役かと思いきや、お人好しで優しい記者が探偵役(しかも武芸にも通じているらしいという)というギャップ。殺伐とした事件ではなく、ちょっと不思議な幻想的な出来事が題材で、人情味があって優しい雰囲気に仕上がっている。事件が当時の時勢を反映しているのも面白い。
    切なく幻想的な雰囲気の第三話「人魚は空に還る」と、鮮やかな怪盗の手口を通して被害者側の行動の謎が明かされる第四話「怪盗ロータス」が好みです。
    読み口は軽めで、登場人物に嫌味がなく読後感が非常に爽やか。
    続編も読みたい。

  • どうか、この心を、誰かがわかってくれますように。

    超絶美形の天才絵師・有村礼と、雑誌記者・里見高広の“帝都探偵絵図”シリーズ第一作。礼がこよなく愛するホームズの物語を翻訳する、それが高広の役割。そして、二人が出会った謎を、優しく解き明かす高広。ちょっと不思議なホームズとワトソンの物語。短編集で、どの物語も、切なさと優しさに満ちている。ままならぬ浮世で、それでも優しく、誠実に生きようとする、不器用な切なさに。

    「人魚は空に還る」浅草で話題の興業「蝋燭座」の出し物の目玉は人魚。しかし、人魚を買い取る人が現れ――。空に還った人魚の秘密とは。さりげなく小川未明が登場する表題作。真相を見抜いた高広は、しかしその罪を問おうとはしない。彼が真相を語るのは、礼のため。

  • 明治・大正時代を舞台にした話を探していて巡り合った一冊。時代特有の描写がとても細かく詳しい。この時代を扱ったミステリーの中でも群を抜いて詳しい方だと思う。まるでその時代を見てきたかのように書いてある。言葉遣いも凝ってる感じ。でも、堅苦しさはなく読みやすい。
    解説によると作者さんは昔の新聞を読むのが趣味とのこと。なるほど。ちょっと私も探して読んでみよう。
    雑誌社に務める青年と、美丈夫の天才絵師、二人がタッグを組んで調査をする。ホームズ&ワトソンの関係。
    5編からなる短編集で、人が死なないミステリー。

    ・第一話 点灯人
    森恵という少年の抱える「何故?」に、偽札事件が絡まり、事態が複雑化している。
    森少年の「何故?」が健気で良かった。

    ・第二話 真珠生成
    犯人(幸一)の予想はすぐにつき、おとがめなしという綺麗ごとみたいな結末になるんじゃないかと心配してたけど、まあ納得の終わり方だった。
    幸一の姉・珠子をつけまわしていた男の正体が婚約者の御曹司で、結婚する前に珠子と仲良くなりたいがために好機を伺ってたというくだりがとても良い。なんかもういい夫婦の予感。

    ・第三話 人魚は空に還る
    表題作。
    人魚はどうやって観覧車から消えたか。それがメインの謎だけど、それよりも「何故、人魚は消えなければならなかったのか」ということのほうが大きい。
    人魚を食べようとする毬子婦人がコワイ(笑)。
    一人で叱る練習をする座長が切ない。
    そして小川青年が小川未明だったとは。

    ・第四話 怪盗ロータス
    本家ホームズと対決する怪盗と言えば、ルパン。
    それに話の中で直接言及してる箇所があったけど、このロータスはまさにルパンで、高広たちのライバルとして堂々の登場。
    ロータスの挑戦状が大黒の仕込みで、株価の操作をしようとしていたという話の筋は良くできてるなーと思った。
    それにちゃっかり便乗するロータス侮れん。
    続編に出るとのことで楽しみ。

    ・第五話 何故、何故
    絵を描く理由、そして高広に謎を解いてもらう理由が、幼いころに絵草紙を見てワクワクする気持ちから来ている、と言った有村。
    パートナーの、少年の心を持ち続けるさまを見て、何も言わずに彼をそのまま受け入れることにした高広。
    二人の今後がはっきり決まった一遍。
    短い中で、強盗事件の謎も解かれている。

  • 購入。時代背景については分かりやすいが、主人公二人の性格が比較的大人しいせいか話があっさり終わってしまう感じです。謎解きもとんでもない仕掛けがあるわけでないし、読みやすいのですが、惹き込まれるほどではないという。次作はあらすじだけでよいかな。

  • 明治時代のライトなミステリー。面白かった。

  • 明治40年代の東京を舞台に、雑誌記者の高広と天才絵師の礼のふたりが謎に挑む。
    ミステリのネタとしては至極真っ直ぐでトリックもわかりやすいのですが、その世界観にぐいぐい読ませる力があります。明治という時代や道具立てもさるものながら、この作品の魅力の第一は高広と礼のコンビでしょう。
    稀代の天才絵師にして超絶美形しかもエキセントリックな性格となれば、どう考えても探偵(ホームズ)役となりそうですが、彼の方が自らワトソン役を買って出ているのが面白いです。こんな偉そうなワトソンは初めてですよ。そのふたりが挑むのは、盗まれた真珠、天に消えた人魚、美術品を狙う怪盗などなど。大仰さが話を盛り立てます。

  • なんとなく衝動買い。全体読みやすく面白いと思います

    このシリーズは初めてだったので油断していましたが、少しキャラクターが綺麗すぎると申しますか漫画的な空気感なのが個人的には少し苦手でした。

  • 帝都にも名探偵ホームズが!
    明治の時代のステキな物語

  • ホームズ、ルパン繋がりで読み直し。
    ただどうも、1話目の落ちのつっこみが気になってしまって…。

  • 幻想的な事件を廻る、お人好しなホームズ・高広(雑誌記者)と美形ワトソン・礼(売れっ子天才絵師)。一話完結短編集。
    最初、美形な方がホームズでお人好しの方がワトソンかと思ったけど、違いました。
    ちゃんとその理由も、文庫版の書き下ろしで説明されているので、読むなら文庫がお薦め。

    全体的に題材が綺麗で幻想的だと思いました。舞台が明治時代というのも相まって、良い雰囲気を醸し出しています。私は「人魚は空に還る」と「点灯人」が好き。特に「人魚~」の方はトリックや内容が気になって夢中になって読みました。

    p114〈『じゃが、美しいものは美しいから価値があるのではないぞ。美しいものに接した人間が、勇気づけられ、正しい心を持てるから価値があるんじゃ。だがそれをいちいち説明しておると面倒じゃから、簡単に「綺麗なものはよい」と言っておるのだろうな』〉

    この小説内では特に「美しいものを大切にする」ということを意識している印象を受けました。礼の絵や容姿は何かと美しいと言われるし、各章でも何かしら「美しいもの」が注目され、それについて語ることがあったので。

    主役コンビが付かづ離れず(しかし離れる事を心配しつつ)展開してますのでそういう人物関係が好きな人も楽しめるのでは。

  • 再読。礼が高広に「おまえは馬鹿か」と言う口癖がたまらない。他の人には心を許さない美貌の絵師礼が高広にだけは信頼し甘えるのは好きな本を翻訳してくれるからだけではないと思う。

  • ちょっぴりファンタジーな軽いミステリ。
    さくっと読めました。

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人魚は空に還る (創元推理文庫)の作品紹介

富豪の夫人の元に売られてゆくことが決まった浅草の見世物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。だが客車が頂上に辿りついたとき、人魚は泡となって消えてしまい-。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きる彼らの交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれる作品集第一弾。表題作を含む五話収録。

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