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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)

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著者 : 城平京
  • 東京創元社 (1998年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488423018

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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 第二部を読み終えた時、瀬川のことを考えるととても切なくなりました。
    彼女は何も悪くなく、ただ名探偵として自分に出来ることをしただけなのに。
    でも、人生ってそういうものですよね。
    自分には悪気が無く、出来ることをしただけなのに、他人からはまた違うように取られてしまって自分の思った通りに事が運ばない…。
    そんな当たり前のことをうまく使ったミステリだと思います。

    ***********************************
    スパイラルの時から大好きな作家さんの作品。
    やっと読むことができてとても嬉しかったです。
    スパイラルが好きな方は、きっとこの「名探偵に薔薇を」も口に合うと思います。

  • お勧め度:☆7個(満点10個)。とりあえず、積ん読本になっていた小説でした。でも、設定といい、構成といい、良くできているなあと思います。解説にもあったように、第2部の方が先にできていたんですね。
    内容的には、第1部が前振りで2部が本編とういう形は面白いと思った。それに、1部の毒々しさに対して2部での名探偵「瀬川」の苦悩の対比が面白い。真実を追究すれば必ず、不幸が生じる探偵ミステリーにとって、これほど真に問題意識を持たせる小説はないと思う。ラストの二転三転は面白かったが、彼女の苦悩の方が勝っていた気がした。

  • 第1部 メルヘン小人地獄
    不気味な童話になぞらえた
    猟奇的連続殺人事件が発生。
    33年前に地方紙を賑わせた
    謎の毒薬・小人地獄が
    関係しているらしい。
    友人の三橋に助けを求められ、
    名探偵・瀬川みゆきが事件に挑む。

    第2部 毒杯パズル
    小人地獄事件に巻き込まれた
    藤田家を再び襲った不可解な事件。
    またもや小人地獄が使用された。
    捜査が進展しない中、
    三橋は再び瀬川に事件解決を委ねた。


    第1部はなかなかグロテスクで
    凄惨な事件だった。
    ミステリとしてはさほど
    満足度の高い物ではなかったが、
    筆者の個性的な言葉選びと
    毒薬にまつわる
    ファンタジックで怪奇的な話が
    魅力的な事件だった。
    何と言っても本題は2部。
    多くを語る事はできないが、
    この2部はミステリとしてより、
    名探偵に降りかかる
    名探偵故の苦悩を描いた物語、
    読み物として一級品だった。
    後半の怒涛の展開、
    そしてあの何とも言えないラスト。
    タイトルがたまらない。
    少しはミステリを読んでいる方だが、
    これまで読んだ中でも特に印象に残る
    味わい深い一作だった。

  • キャッチーな前半と核心部の後半という2部構成が効いているミステリー。
    事件自体は王道だけれど、みゆきの描き方が凄まじく重くて悲しい。

  • 名探偵の叫びと祈り
     本書は2部構成になっており、第1部は家庭教師の三橋荘一郎、第2部は探偵の瀬川みゆき視点で描かれています。
     第1部はそこまで優れた出来ではありません。「小人地獄」という毒薬だったり、瞬時に謎を解く名探偵であったり、どこかすっきりしません。しかし、第2部を語るうえでは必要不可欠な要素です。
     第2部は名探偵の苦悩、葛藤を1つのテーマとしており、普通の探偵小説では窺い知れないセンシティブな一面を垣間見ることができます。そして、鮎川哲也賞に落選した要因と思われる◯◯について、これこそがこの作品の最大の栄誉であると思っています。ここまで引き込まれたのは久々でした。
     世の探偵諸君、これが名探偵になるということだ。

  • 誰かが書いていましたが、理想の毒薬の最も下手な使い方という点が面白かった。第2部は本当に切ない

  • いろいろ面白いと思う反面、いろいろ入り込めない部分もたくさんあって。
    少なくとも新年一発目に読む本ではなかったかな(^^;;;

  • いやぁ、見事にしてやられた。もうこの言葉に尽きる。
    まさか第一部が第二部の布石だったとは思わなかった。
    第二部のための第一部だったと言っても過言ではない。
    自分が読んだ中で、今年一番のミステリー小説だった。
    チラッとなかなかのミステリー小説だというのは見たが、予想以上に本格ミステリーだった。

    第一部は、鶴田が際立ち過ぎてなんとなくではあったが、真犯人が鶴田であると分かった。
    でも、第二部ではその第一部での瀬川の活躍という先入観があったからこそ、瀬川の推理こそが真実たり得るのだと思っていた。
    そればかりに真相を全く見抜けず、瀬川同様、どんどん明らかになる事実に三橋の掌の上で転がされてしまった。
    瀬川の推理こそが物語の真実だと思っていたから、まさか単純に鈴花ちゃんが殺人を犯したとは…。
    それに動機も殺害に至るまでの経緯も明らかになればどうということでもなく、よくある悲劇的なものだった。
    まあでも、女性である瀬川に惚れていたってところはちょっとだけ特殊なことになるか。
    異性であれば本当によくある動機だった。
    恋しい人に会いたい、という。
    経緯も、単純に容量を把握してなくて誤った量を使っただけで悲劇が起こってしまった。
    構成力が見事過ぎた。

    瀬川の過去も悲劇的だよなぁ。
    まさか実の妹が名探偵になるきっかけの事件の渦中の人物だったなんて。
    てっきり友達とか入れ込み過ぎた事件の人かと。
    もっと瀬川の話が読みたい。
    過去のでもいいし、今後のでもいいし。

    これシリーズ化してくれないかなぁ。
    とにかくなんでもいいから続編なるものが読みたくて堪らない!続編求む!
    最後の瀬川が切なすぎて、救いを与えてほしい!

  • 話が二転三転する。
    もう一度読みたいなと思う作品。

  • なんとも感想が難しい。一部と二部の謎解きにおける探偵の能力の描き方に差がありすぎるような。

  • 小人地獄という完全犯罪が可能な毒をめぐる事件。
    だけど、たぶんその事件は飾りにしか過ぎなくて作者はきっと探偵個人についてを描きたかったんだろうなと思った。

    第一部は怪しげな童謡を使っての見立て殺人に完璧な毒、猟奇的な雰囲気という乱歩好きは好きなんじゃないかなと思える感じで私も読んでてワクワクした。
    でもあっさりと事件が解決したし、結構先が読める内容だったので二部はどうなるんだろうと思ったら二部は全然違った。
    あぁ、こっちを書きたくてあれは飾りなんだなと…。

    第二部は始終切ない感じで最後のオチが最も切なかった。
    でもどんでん返しの連続で先が気になって一気読みできた。

    文章がやたら大袈裟というか言い回しがなんとなく気になる部分もあったけどそれでも結果的には面白かったです。

  • 2016年5月4日読了。
    ラストうわー、て感じ。
    そんでもって瀬川みゆきのキャラ設定が「まさしく」って感じだ。

  • 完全犯罪を可能にする毒薬と
    それに翻弄される人々

    第一部では真実を暴くため
    第二部では希望のために呼ばれた名探偵

    用意された真相が崩れて
    全てが明らかになったとき
    タイトルの意味がわかる

    真実と向き合い
    生きることから逃げない彼女

    瀬川が気の毒でしかたない…

  • 『小人地獄』という完全犯罪が可能なファンタジックな毒薬を巡る中編が2本。各々どんでん返しとして完結しているのと通しで読んでも繋がっている話なのが秀逸。むしろこんな凡タイトルではなく『小人地獄』というタイトルが良かったくらい。

    惜しむらくは"名探偵"(という概念がある世界)であるはずの瀬川が第2部で一般人に翻弄されてしまう凡人ぷりやね。

    第1部の容疑者・鶴田文治が脅迫した段階で脅迫罪でしょっぴけるのではないか(少なくとも恵子の汚名を即時公開されるのを防げる&警察も容疑者と踏んでるのでじっくり取り調べできる)、とか第2部の2番目の推理における三橋は殺人教唆罪でしょっぴけるのではないか(まあ真相が違うのであれですが瀬川がその段階ではぐぬぬとなるほどでは…)、とか1998年はそんな罪はなかったのかもしれないが、名探偵ならその辺突いてほしいところでした。

    でもトリックのロジックがすばらしいので☆4やね。

  • 第1章は凄惨でグロテスクな描写に溢れつつも、名探偵が気持ちいい程がつっと事件を解決。ただ、タイトルに「名探偵」が付く割には章のページ数に対して名探偵の活躍シーンが少ないなと、首をかしげながら読了。事前情報は得ないで読むようにしているので、第2章からは別の話だと思っていたら、登場人物欄に第1章と同じ名前が、さらに後妻の名前があるではないか…。なにこれ面白いと鳥肌が立つ。第2章は名探偵の主観で進んでいき、二転三転する状況に翻弄されていく。…が、その展開がたいして面白くない上に結末もいまいち。もう少しいい着地点はなかったものかと思ってしまう。とはいえ、「小人地獄」というフレーズはインパクト大でしばらく頭から離れないかもしれない。

  • タイトルからハードボイルド系を想像していたら全然違った。「小人地獄」という謎の言葉と怪しい男、童話に見立てた連続殺人。最初から引き込まれたし、面白かった。最初から最後まで小人地獄の因果が関わっている。2話構成で、1話ごとのテンポが良い点も良かった。

  • 面白いけど悔しいような、モヤモヤ。

    解説によれば第二部のために第一部が組まれているらしく、集約の仕方は本当良かった。
    城平さんの本はこれを含めまだ二作しか読んでいないけれど、どちらもキャラクターが魅力的で「シリーズ化しないんですか。なんでしないんですか」と嘆きたくなる。

    ともかく本作。
    登場人物、全員壊れてませんか。
    と思ったら、別に壊れてたってほどではなかったし第一部以外はだいたい善人だった。
    二転三転ころがされるのが、醍醐味なので、うまく転がされたのは楽しかった。
    名探偵なのに転がされちゃうのはどうなの!と思わないではないが、第一部でおっさん相手に鉄面皮した瀬川さんが、第二部でオロオロしてた(ように読めた)のは可愛かったから個人的には問題なかった。

    そして、オチは八百屋お七ですか。

    八百屋お七は私がパッと思いついただけなので、お七でなくてもいいのだけど。
    まあ、タイトルに百合入れちゃうと完全にネタバレしちゃうから裏返して薔薇にしたのかな?(そんな不純すぎるタイトルではないかもしれないので失礼か)

    叙述トリック、というモノなのだろうか?
    (ミステリーに詳しくないので違うかもしれない、叙述トリックということばを使いたいだけ、的な)
    ともあれ、最後まで気持ちよく騙された。
    うん、だからモヤモヤは多分騙されたからなんだろう。うーん…。もう少し他のも読みたい気持ちになってきた。

  • 第一部よりも、第二部の方がスピード感があり、さらに人間的なドラマがあるが故に、名探偵と称される瀬川も惑わされている。ラストでは自分の存在意義をもとめて名探偵であろうとする彼女の「助けて」という悲鳴にも近い声がありありと聞こえる、気がする。
    私は単純なので、ミステリを読むとき挑戦はできない(そもそも謎解きの楽しみは求めていない)のだけれど、先入観だけは捨てて読もうと決めている。が、今回も無理だった。結局、人は見たいものしか見れない、そこを突くのが、ミステリ作家の腕でもあるのか。
    タイトルは謎。作中に登場する少女を百合に例え、それにかけて何か花をもってくるのであれば、名探偵にこの世界が少しでも優しくあれ、という意味を込めてせめて棘のない花を選んで欲しかった。たとえば「名探偵にたんぽぽを」とか。(うーん。タイトルとしてはいまいちだ)
    誰かすっきりする答えを教えてください。
    それにしても、帯はよろしくないかと。解説の最後もまた然り。

  • 「タイトルはこれ以外ありえない!読後100%確信!
    第一部で読むのを止めないでください。」

    と書かれた目立つ帯がその本を手に取らせた。黒い表紙にはどこか臓器を思わせるような毒々しい深紅の薔薇。

    「衝撃を与える脅威の二部構成
    隠れたロングセラー、今再び売れてます。
    ※こんな傑作ミステリを今まで知らなかったことをきっと後悔します。」

    裏表紙の方も仰々しく、喧嘩を売るような文句が並んでいる。思えば帯で買った本で大当たりしたことはないのに、この時の私は忘れてしまっていたのだろうか。いや、覚えていてもこの挑発的な帯の文句に乗せられてしまったのかもしれない…

    結果、帯の文句に踊らされて買うことは二度としまいと思いました。
    内容自体はあえて文語を多用した古めかしいミステリを意識している感じながらもとても読みやすく、猟奇殺人の犯人やトリックが暴かれていく一部、名探偵の苦悩を掘り下げる二部ともに面白かった。先の展開が気になって一気読み。最後の一文に至るまでワクワク読み進めた。

    しかし、タイトルはこれ以外ありえない!と100%思ったかというと100%そんなことないです。
    薔薇には深い意味があるのか?と花言葉を調べたり、「名探偵に薔薇を タイトル 意味」で調べたりしたけど、腑に落ちない。他の人も検索しているようですが、特に隠された意味はないみたい。

    ラストで救いを求める名探偵のいく先に光りあれ、とは思うものの、何で薔薇なんだろう。瀬川さん、薔薇とかいる?いるならまぁあげるけど…

    これがもし帯の文句なしで読んでいたら全く悶々としなかったと思う。なのでこの帯に帯をつけたい。

    「タイトルはこれ以外ありえないとか煽る意味がわからない!読後感100%台無し!
    帯の煽り文句は気にしないでください」

  • 非常によく練られた1冊。

    読者を楽しませたい、自分の能力を示したい、小説家が1冊の作品の中で作品の方向性を変えていく理由には色々あるだろうが、それが成功している作品は多く無いように思う。

    この2部構成では、それが不思議なくらいうまくいっているように感じた。ロジカルに不可能な謎を解く女探偵が活躍する第一部、ロジカルに感情を切り離して生きてきたがゆえに解けない謎が生まれる第二部、どちらも素晴らしい。

    小人地獄という実際には存在しない毒物の設定もユニークで妙に時代がかった雰囲気のある作風にマッチしている。

  • 二部構成から成っておりますが一部は王道なミステリーとして、二部はミステリーながらも一部とは違いページを捲る度に一転二転と慌ただしい人間模様が描かれ、だけど悲しい程の優しさを讃えた作品だなと思いました。
    二部を読み終えた後、一部の内容はほんのさわりにすぎないなと感じました。
    個人的にはとても気に入ってしまいました。

  • 城平京はのイメージは,「中二病」っぽさ満載の作品を書く作家である。最初に城平京の名前を知ったのは「絶園のテンペスト」という漫画の原作者としてであった。この漫画も「中二病」っぽさ満載の漫画だった。本書も、「中二病」っぽさ満載である。
    主人公は「人がよく,責任感があり,頭もいい。童顔ではあるが美形の部類に入る」という三橋荘一郎。探偵役は,「人を寄せ付けない雰囲気を持つ」,「170センチはあろうかという長身」で,「容貌は冷たくはあるが,わりあい美形に見える」という瀬川みゆきという女性である。なんとも「中二病」的な設定である。
    物語は第一部と第二部からなる。第一部単体でもミステリとして及第点だが,所詮,第一部は第二部の引き立て役。第二部では,第一部の事件で名探偵に出会った「壊れやすそうで可憐な美少女」藤田鈴花が,愛しい名探偵に逢うために事件を起こすという事件が描かれる。
    いや,もう,この作品のどこをとっても完全に「中二病」である。狙ってのことなのか,文章・文体も「中二病」っぽくなっている。ここまで徹底されていると感心してしまう。
    第二部のダミーの真相も十分満足できるものであり,本格ミステリとしての完成度は高いと思う。金田一少年の事件簿あたりからミステリに触れた少年・少女が,小説でミステリを読むきっかけとして読むには最適なのでは?少女が読むと,それはそれで別の影響があるかもしれないが…。
    「中二病」っぽい作品は結構好みだし,本格ミステリとしての完成度は高いと思うので★4をあげたい。なお,犯人が名探偵に逢うために事件を起こすというプロットの作品は,過去にも有名どころだけで4作品ほど存在するらしいが,どれも読んだことがなかった。これらを読んだことがあれば★3にしてたかも。

  • 事件の関係者が、犯人が、ラストに冷笑的に語る、名探偵であるが故の悲劇。それをとことん突き詰めて抉る作品。骨太なミステリであることは間違いないのだが、それでもなお、ある種のアンチミステリと言っても良いのかもしれない。7.75

  • グロいけど、筋立てが面白かった。

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創作童話『メルヘン小人地獄』をなぞるように発生した事件を名探偵が推理。

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