- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488423124
作品紹介・あらすじ
酉乃との距離が縮まったような、そうでないような。悶々と過ごすポチこと須川くんが遭遇した、バレンタインをはじめ学内外の出来事。『午前零時のサンドリヨン』に続く第二集。
感想・レビュー・書評
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女子高生マジシャン酉野初とその同級生須川君が高校の様々な謎に挑む、『午前零時のサンドリヨン』の続編となる連作ミステリ。
前作ラストで須川君も成長したのかな、と思っていましたが、相変わらずですね(苦笑)。ヘタレで臆病ですが、でも変わらずに誠実で優しいです。
そんな須川君の語りは相変わらず面白い。自虐的な言葉や特に2話目の「ひとりよがりのデリュージョン」の彼の受難っぷりは申し訳ないながらもとても笑えます。
各話のミステリのロジックも面白いですが、この作品の読みどころはその動機だと思います。
楽しいカラオケに行くはずが突然帰ってしまった同級生、入れ替わった封筒の中身の謎、教壇に集められたバレンタインチョコの謎
それぞれの裏にあるのは、青春時代の甘さであったり苦さであったり、人への微妙な気遣いや人間関係、カーストであったり。
そうしたものが不可思議な謎としっかりと結びついているのがやっぱりすごいな、と思います。
そして連作としての仕掛けも見逃せません。読み終えるとある登場人物の振る舞いの裏にどんな思いがあったのか、ついつい考えてしまいます。
謎を解いていく初も須川君も臆病で傷つくことを、傷つけることを恐れながらも、それでも謎の裏にある時に残酷な事実を明らかにします。
その行動の根底にあるのは、何とかなるかもしれない、奇蹟は起こせるかもしれない、魔法はあるかもしれないという希望を、そしてその魔法を人のために使いたい、という優しさが二人は持っているからだと思います。
臆病な二人が傷つき悩みながらも魔法を信じ行動し続けるからこそ、このミステリには単なるミステリを越えた”何か”が詰まっているように感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
好きなことを好きって言える居場所があることは本当に嬉しいことなんだな。
自己防衛のために知らないうちに誰かを傷つけているかもしれない。
『心の声と自分の声をまったく一緒にするだけのことなのに、どうしてこんなに難しいのだろう。』 -
『午前零時のサンドリヨン』の続編
須川君はヘタレで思うことをハッキリと言えない。酉乃さんは、マジックのときは饒舌だけど、普段は孤独
クラスの中の主流派と被疎外者の恐ろしい力関係。必死で主流派に食らいつく人。生まれる犠牲者
犠牲者の気持ちが分かる須川・酉乃。優しさと勇気で奔走する -
一気に読んでしまいました。前作に続いてこちらもとてもおもしろかったです。
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2021/05/05 幅広帯バージョン読了
須川くんと酉乃さんの付かず離れずのもどかしい関係にモヤモヤしっ放しでした。
マツリカシリーズ、小説の神様に続いて読みました。
本作は青春のほろ苦さが際立っていたと思います。
またいつか続編が読めたら良いなと思いました。
幅広帯バージョン
http://www.webmysteries.jp/archives/24900123.html -
「アウトオブサイトじゃ伝わらない」
突然変わった彼女。
片思いしていた相手の事情を人伝に聞いてもショックな情報なのに、目の前で秘密裏に行われてた状況を見てしまった時は絶望だろうな。
「ひとりよがりのデリュージョン」
入れ替わった封筒。
きっかけはちょっとした事だったのかもしれないが、ここまで貶す事が出来る人達の人間性を疑うと同時に群れなければここまでの事は出来ないのだろうなとも思うな。
「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」
集められたチョコレート。
確かにバレンタインとはいえ匿名のものを貰ったら、どうしてもそのチョコレートを渡してくれた人を知りたくなるだろうな。
「スペルバウンドに気をつけて」
連絡がつかなくなった訳。
いくら自分がしてきた事が自分の憧れていた人を傷付ける事だったとはいえ、何故気づいた時点で謝らず罪を重ねてしまったのだろう。
「ひびくリンキング・リング」
謝りたい心。
簡単な事ではないが彼女が自分の犯した事を認め謝りたいと思ったのなら、許して貰えるかは別として後は行動にどれだけうつせるかだろうな。