プリズム (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ぬ 1-2)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488425029

感想・レビュー・書評

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  • 久々の貫井作品、通算5冊目の読了ですが、私には「慟哭」以上に印象に残る一冊でした。

    何故印象に残ったのか?

    本作はミステリー作品のはず、なのに最後まで真犯人は解明されないまま幕を閉じてしまったからです。

    そんなことあります?

    いや、あるんです。

    物語はの本筋は死体となって発見された小学校の女性教師、当初は事故の疑いもあったが、①睡眠薬が入った食べかけのチョコレート②亡くなった女性教師の胃からも睡眠薬の成分を検出③ガラス切りを使って開けられた窓ガラス、以上のことから殺されたものとみなされ、犯人を探すというもの。

    Scene1では教え子である小学5年生の視点で、Scene2では同僚女性の視点、Scene3では元カレの視点、Scene4は不倫相手の視点、それぞれの視点から犯人を推理します。

    それぞれが語る被害者像も同じ人物かを疑いたくなる程に違い、それぞれの推理の結果も違う。

    読み終えた読者には読者自身が推理をし、犯人を追い求めたくなる余韻が残る。

    間違いなく衝撃作。


    説明
    内容紹介
    小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが……。万華鏡の如く変化する事件の様相、幾重にも繰り返される推理の構築と崩壊。究極の推理ゲームの果てに広がる瞠目の地平とは?『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んで話題を呼んだ衝撃の問題作。

    内容(「BOOK」データベースより)
    小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが…『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    貫井/徳郎
    1968年東京生まれ。早稲田大学商学部卒。’93年鮎川哲也賞に応募した『慟哭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 先生が死んだ
    他殺なのか事故なのか
    章ごとに視点が変わり、それぞれが事件について
    調べて語る
    まさかの結末でしたがなるほどそういう展開かと
    思わせました
    あとがき、解説も補足としてよかったです

  • 読み終えると、各目次の意味が分かる。それぞれの人物がそれぞれの立場からから、それぞれの情報を元に推理する。被害者の見方も、子供、恋人、同僚などからそれぞれ違って見えるのも面白かった。
    結局犯人は。最後に、各伏線を回収する意外な犯人は!と思いきや、明かされず、ヒントもなく、というか作者も決めてない?ようなのでやや拍子抜け。
    死因も日付も関係者も、空想の余地が大きい状況設定なので、読者が考えるのも面白いのかも。
    芥川龍之介の藪の中みたいに、山浦先生の霊を呼び出してしゃべらせたら面白かったのに。

  • 3/5読了。

    はっきりとした真相を書いてはないけどきっとそういうことなのねと小宮山先生の考え通りで解釈していいのかな。
    事件か事故かもはっきりしないまま。、
    ちょっとモヤ
    でも生徒側の話、同僚の話、元彼の話、不倫相手の話の構成は中々面白かった
    山名さん大人過ぎ

  • 乱反射というタイトルも良かったけど、本書のプリズムというタイトルも上手だなぁ。

  • 結局、事故なのか事件なのか、その両方なのか。読者に委ねてる。プリズムっていうタイトルの意味が結構深かった。

  • 多重解決ミステリーのおすすめを検索したところ出てきたので、読んでみた。
    https://susumutomaru1999.blog.jp/archives/1069721377.html

    https://300books.net/tajukaiketsu-osusume/


    小学校の先生が死体で発見される。原因は古時計が頭に当たったことだった。事故とも他殺ともとれる状況であるが、直前に食べたと思われるチョコレートと胃の中から睡眠薬が検出される。また、ガラスが切り抜かれ鍵が開けられていた。
    警察は事件の捜査に乗り出し、関係者に事情聴取を行う。関係者の側も事件の真相を突き止めるべく推理を働かせる。推理しては否定され、また別な人物が推理をする形で物語が進んでいく。

    最初の章では被害者の教え子の小学生が登場し、推理を行う。子供の言葉で会話が行われるので少し読みづらく感じた。子供が調査と推理を行うものは宮部みゆきさんの「夢にも思わない」、「今夜は眠れない」を思い出した。次の章からは大人の会話で進むので読みやすかった。

    難しい動機やトリックが出てくるわけではないので全体的には読みやすかったと思う。オチには少し不満もあったが。

  • 面白い!さすが、「貫井徳郎」!結局、事故?事件。結論は出したけど、「貫井徳郎」の結末も知りたい。

  • 慟哭に続いての著作2作目。
    相変わらず読みやすい綺麗な文章。

    タイトルも的を得ていて良い感じ。

    それに、素人探偵の数珠繋ぎの次に私も加わろうって思ってしまうラストの余韻がすごく好き。
    わかり易く誘導してる気すらする…。

  • 被害女性の周りを関係する人物がぐるっと巡ると、女性の
    人物像がまるで違って見える。

    正となる解は多分ないけど、これでいい。

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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