- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488427030
感想・レビュー・書評
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ミステリアスな少女と美しい庭、温室…かなり私の好きな世界だった。火夜という少女が、実際いたら私はきっと嫌悪感しか抱かないと思うような人物なのに、何故か物語の中では魅力的に見える。でも火夜の選んだ道はあまりにも不器用すぎて哀しい。
しっとりと絡みつくような温室の空気と、静寂な夜の気配が似合う素敵な物語でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『サクリファイス』シリーズから近藤史恵氏の作品にはまり、近藤氏がたくさんの作品を書き上げてくださっていることにまず感謝(笑)。
クールだけど内面熱い、青い炎のような作風の方かと思いきや、悩める女子をほっとさせ勇気づけるランプの炎の一面もある。作品中のトリックだけでなく、作品自体も多面的。
さて、この『ガーデン』。
『サクリファイス』や、時代小説ミステリ「猿若町捕物帳」シリーズのようなクールさや、『ときどき旅に出るカフェ』や『スーツケースの半分は』のように、仕事に疲れた女子を癒す優しさは皆無。
願わくば、近藤史恵氏の酸いも甘いもひと通り経験したぜぃ!という方が読むべき作品!と私めは感じました。
「名探偵今泉(または「歌舞伎」)」シリーズの1作目にあたる『ねむりねずみ』の前に書き上げられていて、ストーリーも『ねむりねずみ』の前、探偵 今泉文吾の最初の事件という、この『ガーデン』。
クール、テンポ良い明るさ、ありません。
近藤史恵氏の作品とはイメージ違う!と思うのは当然。
「文庫本のためのあとがき」で作者自ら、以下のように語っている。
そこにはわたしの捨てたものか詰まっていた。捨てたけれど、大事だったもの。捨てなければ、生きられなかったものが、そこにたくさん残されていた。
この小説は、愚かで無軌道で、そうして若すぎて、自意識過剰だ。
ふむふむ。仰るとおりでござる。
でも歴とした今泉シリーズ。2作目に位置付けられてると言えば良いのかな。たしかに、『ねむりねずみ』の後に『散りしかたみに』などの今泉&小菊&山本君達のミステリを読み続けてから読んでも差し支えない。
けど、『ガーデン』を後に伸ばせば伸ばす程、ショックと言うか落差と言うか、そういうものを感じる度合いが大きくなると思われました。
だから2作目って言うポジションはとっても的確。
『ねむりねずみ』で、おっ!いいね!このシリーズ読んでみようと『ガーデン』に手を出して、一回頭ぐっちゃにしてから、『散りしかたみに』以降では小菊の語りの小気味良さと今泉の飄々さが、より身にしみると思われます。
または『ガーデン』に比べたら、歌舞伎ちんぷんかんぷんなんて言うのは甘いもんだった!と気付かされ、歌舞伎知識は気にせずシリーズを読み進めていける勇気をもらえます。
(かく言う私めも、ガーデンから先はまだお楽しみに状態なので自分を2段も3段も棚に上げて申しておりますが(笑))
近藤史恵らしくないけど、一番濃い近藤史恵だった作品。
読むか読まないかは、あなた次第。 -
何ひとつ納得も共感もできなかった。
なのに、あっという間に読ませてしまうところが近藤作品の魅力だと思う。
登場人物全員がどこかしら壊れているように思えて、薄ら寒いものを感じた。
先の展開も予測不能で、常に不安感が付きまとう。
火夜を理解することはきっとできない。
だけど破滅的で不器用な彼女を嫌いにもなれないんだよな。 -
ちょっと病的で、ハードボイルドでサスペンスでした。
作者の最近の作品と比べると、きれいにまとまってはいないのかもしれないけれど、こういう、こだわってこだわって書いている作品も良いと思う。
時間軸的には、今泉探偵ものとしては、一番最初の作品になっているということでしょうか?
この時点ですでに、山本君との関係は明かされているんですね。
後からの作品を先に読んでしまったのですが、ネタバレはしていなかったので、ずっと謎なのかと思っていました。
途中、いろんな人物を疑って、推理したり、別の可能性を考えたり、ということが出来て、その点では「散りしかたみに」より面白かったです。 -
火夜と真波が各々気づいたもの・・
最後まで何だろうか推測できず
最後に「えぇーっ」と驚いた。
近藤さんの作品が好きで幾つか読んでいるが
今まで読んだのとは又違う雰囲気で
良い意味で裏切られて楽しかった。 -
時系列的にはこちらのほうが探偵今泉シリーズの第一作として出ていた「ねむりねずみ」より前だった、らしい。なんか読む順番間違った感じでちょっと違和感。
でも、すごく良かった。
思わず読んでる途中で引用に載せてしまったが、「好きな人がいる。だから殺さなくちゃならない」というせりふにもうすべてを持っていかれた。最終的には思い描いたなりゆきとは違ったが、こういう感覚はかなり好きだし、殺人の動機としても悪くはない。
それに、二重三重に罠がある感じでミステリとしても良かったし、嘘から出た真的設定も良い。
まあ、ちょっと暗いし、かなり寂しいし、結構落ち込みもするけど、彼女がとりあえず生き延びているからなんというか物語は終わらないみたいな感じで希望に似た希望とは少し違うものが残った感じ。それにいつもなら法令遵守が絶対みたいな感情が頭をもたげそうなところだけど今回はそんなにとんがってそういうふうには思わなかった。これも、私にとってはこの作品が魅力的だった証拠なのかもしれない。
そして、なによりこれでもかというくらい読みやすい。なぜだかすらすらさくさく読めてあっという間に読み終わった。近藤史恵の作品はどれもそうなのかな?
うん、面白かった。-
前から気になっていた本なのですが、りいこさんのレビューが素敵なのでやっぱり読んでみようとおもいました。初近藤史恵さんはコレにしよう。前から気になっていた本なのですが、りいこさんのレビューが素敵なのでやっぱり読んでみようとおもいました。初近藤史恵さんはコレにしよう。2012/09/04
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勢いばかりのレビューで恐縮ですがこの作品はとても良かったです! ただ、人によってかなり評価の分かれる作品かな、とも思いました。けれど、私とし...勢いばかりのレビューで恐縮ですがこの作品はとても良かったです! ただ、人によってかなり評価の分かれる作品かな、とも思いました。けれど、私としてはjardin de luneさんはお好きなのではとコメントいただいて勝手に直感していたりします。素敵な出会いがあるといいですね。2012/09/04
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衝撃的です。少女が何人も殺される、傷つけられる。
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これはミステリーというのかな?なんともカテゴライズしにくい。普通の事件ではないし、推理小説ではなさそう。
登場人物たちがみんな謎すぎて、あまり好きではなかったかな。