猫とアリス (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 114
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488430078

作品紹介・あらすじ

なぜか心惹かれる「青蛇」と呼ばれる男を巡る、五つの事件の顛末を描いた、芦原すなお渾身の女性私立探偵ミステリ。ふーちゃんこと山浦歩との出会いも描いた、シリーズ最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 女探偵・笹野里子ものとしてはシリーズ2作目のよう。
    図書館で背表紙を見て手に取りました。
    中身は、「青蛇」と呼ばれる孤独な殺し屋の話といったほうがいい‥
    タイトルが「青蛇」だったら読者が減る?(笑)

    笹野里子は夫が遺した探偵事務所を継いで、淡々と仕事をしている40歳ぐらいの女性。
    やる気もなさそうな冷静さだけど、ある刑事に惚れられているのをてきとうに逸しながら情報を引き出したり、実はけっこう有能で、勇敢さもある。
    元教え子の調査を教師に依頼されてから、ある殺し屋の姿が行く先々でちらつくようになるのです。

    里子が訓練を受けているジムのオーナーがかって教えていた青年。
    何かを抱えた激しさのある彼に、スポーツとして格闘技のプロになってほしいとオーナーは願っていたのだが‥

    猫を探してほしいという女の子の可愛い依頼に動き出すと、関係者の勤め先で、思わぬ関わりが出来ていき‥
    猫は賢くて猫らしい猫です。
    しゃれた会話とヒロインのさっぱりした性格で、すいすい読めます。
    ある目的のために技を磨いた美しい殺し屋の思いと過去は痛ましいけれど、鮮烈な印象でまとまり、シャープでカッコいい。
    これはなかなか、めっけもの~読後感は悪くなかったです。
    さかのぼって前の作品も読みましたよ。

  • 超久々に芦原すなおを読んだ。旅のお供として文庫本を見てて偶然。しかも期せずして、「ハート・オブ・スティール」の続編だった。やっぱ面白かった。青蛇の最後はちょっと泣きそうだった。自分まで死ぬ必要ないのに。こんな政治家、死ねばいいのだ。ふーちゃんこと山浦歩のシリーズも読み返したいし、ハート・オブ・スティールも読み返したい。ウィキにシリーズものとしてまとめられてなかったのにびっくり。ファンは何をしてるんだ。今のススキノ探偵シリーズを読み終わったら、芦原すなお読もうかな。ほんと読みたい本、見たい映画・DVDが多くて忙しい。仕事なんてしてる場合じゃないわ。

    2022.10.7
    再読。またしても旅のお共として。でも「ハート・オブ・スティール」とこないだ読んだので借りたのだ。やっぱり青蛇は切ない。ほんと死なないでほしかった。こんな高い能力を持つ人が実在するか分からないけど、こんな辛い人生があるだろうか。こういう嫌な政治家は苦しみつくして死ねばいい。ジェイソンみたいなフラットな人と私も出会いたいものだ。ふーちゃんの話も絶対読むぞ。

  • 夫の遺した探偵事務所を継いだ『わたし』の元へ、元教え子の亡くなった事件を調べてほしいという依頼が舞い込んでくる。それが『わたし』と『青蛇』との出会いとなる事件だった。
    私立女探偵『笹野里子』の語る連作短編集。


    前作と呼べる同じ主人公の作品があるらしい。未読でも支障はなかったが、読んでいれば尚楽しめたかもしれない。
    一冊の中で幾つかの事件が語られているが、通して関わってくるのが『青蛇』と呼ばれる不思議な魅力を持った男だ。いわばこの短編集は、青蛇の生き様を追った話なのである。
    主人公ももちろんだが、その他の登場人物(主に男性)も中々個性的で、事件を追うよりも面白味を感じる。
    前作や他の作品も読んでみたいと思えた

  • 先月読んだ『雪のマズルカ』続編
    女私立探偵のハードボイルド小説
    今回は、「青蛇」と言われる、若く強く悲しい男が絡むお話で
    あっという間に読んでしまいました
    くせになるシリーズになってしまいました

  • わたしが「青蛇(あおへび)」と呼ぶ、どこか心惹かれる男との最初の出会い──それは、元教え子の女性が亡くなった事件を調べてほしいという、さえない男性教師からの依頼がきっかけだった。
    亡き夫が遺した探偵事務所に持ち込まれる、一筋縄ではいかない依頼の数々。

    『雪のマズルカ』から、さらに切れ味と凄みを増した女私立探偵・笹野里子の活躍。

    直木賞作家・芦原すなお渾身の連作短編集。
    解説=中辻理夫

  • 国産ミステリの女性私立探偵といえば、柴田よしきの下澤唯、若竹七海の葉村晶、そしてこの芦原すなおの笹野里子だろうな里子と遠藤警部のやり取りが、悲しみに満ちたこの連作の中で、数少ない癒し。

  • 『雪のマズルカ』から引き続き、里子のカッコ良さは際立つ。ジェイソンの存在は大きい。てか、ジェイソンと青蛇には似た部分があるよなぁ。”向こう側”に行きたくなるような経験をジェイソンがしてたら、とちょっと怖くもある。

  • 【収録作品】青蛇/クリスクロス(いきちがい)・六本木/猫とアリス/ディオニュソスの館/無間奈落

  • 2015.8.15-47
    探偵笹野里子が関わる青蛇に纏わる短編5編。青蛇、クリスクロス六本木、猫とアリス、デォニュソスの館、無間奈落。
    探偵の会話がテンポよく軽く読み進めるものの、青蛇の出生と幕引きが切ない。

  • クールで孤独で偏屈な女探偵といえば、若竹七海の葉村晶シリーズを思い出す人も結構いると思うが、このヒロインもそれに当てはまっています。
    ただ、晶は若さも美貌も武器も腕力も持っておらず、ただ機転と経験で事件を調査するが、このヒロインはそこそこの美貌(刑事に惚れられてるし)と旦那の形見のリボルバーと格闘技のスキルをもっている。
    その分、40女探偵のリアルさがまったくない。
    まー、かっこいいですよ。うん。
    晶みたいに泥の中這いずるようにして事件を追い、傷つけられまくりながら表面上必死で冷静を保ち、足元を見られないように肩肘張っているようなそういう要素が無いというか、まったくもって感じられない。
    芦原すなおの『ミミズクとオリーブ』のような浮世離れした夫婦ほどのキャラがたっておらず、中途半端にリアルにした結果無個性になってしまっている。
    事件そのものも、推理全く関係なしなので、そっちを期待してもだめ。
    じゃあ、どこを面白く読めばいいのかというと、登場人物の軽妙なやりとりかなぁ。
    いかにも芦原節。
    が、それのせいでハードボイルドさが低くなるのもまた事実。
    今回は『青蛇』という登場人物の物語をヒロインが見ているというスタンスに近いです。
    昔のコバルト文庫のミステリものっぽい。
    すごく面白くないわけではないが、物足りなさが残る。

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著者プロフィール

1949年香川県観音寺生まれ。早稲田大学大学院博士課程中退。1990年、『青春デンデケデケデケ』で第27回文藝賞、翌91年、第105回直木賞を受賞する。著書に『スサノオ自伝』などがある。

「2010年 『青春デンデケデケデケ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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