無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.48
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本棚登録 : 678
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488430115

作品紹介・あらすじ

中学生の望と祖母のお蔦さんが暮らす神楽坂。けれど周囲では次々と事件が発生し、2人暮らしの日々は何かと騒がしい……。粋と人情がたっぷり詰まった、ミステリ短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 西條さんの中では珍しいのかな?現代のお話。
    中学生の望と祖母のお蔦さんが出くわすちょっとしたミステリー。

    お蔦さんの粋な感じも望の中学生なのに達観して気が利く感じも読んでいて爽快です。
    お蔦さんが子供だからって望に気を利かせすぎないのがいい。

    あとまるまるの毬などを読んでも思うのですが、料理が美味しそうで気になる。

    時代物を読んできて、だったのでなんだか物足りなさはありましたが、それでもストーリーが頭に入ってきやすく、すらすら読めた一冊です。

    舞台の神楽坂っぽさはあまりわからなかったのですが(神楽坂も数回しか行ったことないし…)、下町?感はあって、そういうとこに住んでみたいなと思ったりしました。

  • 『九十九藤』で魅了された著者の、現代ミステリーを初読み。
    元芸者でいまでも粋なお蔦さんとその孫という、ユニークな組み合わせの二人が主人公。
    舞台は神楽坂。情緒あふれる街で、二人が日常の事件を解決する活躍を「僕」の一人称で語られる。
    解説では、作品に対する深い洞察もあるが、ジャンルとしては、ほのぼのミステリーといっていいかも。
    代々男が料理する家系ということで、「僕」の料理がそこここに綴られ、特に『熱々リンゴの蒸し焼きパイ』は、詳しくレシピがあり、料理好き食べ物好きの読者は見逃せないか。

  • 著者が初めて手がけた現代ミステリー。
    主人公は中学生の男の子ですが、祖母のお蔦さんに近い年代の私も楽しめました。江戸の粋と人情に触れたい方におすすめします。

  • 読む順番が間違っても面白く読める。望はどんな大人になるのだろう。成長を見守る私は、すでに
    神楽坂の「心の住人」

  •  宮部みゆきなんかの亜流、しかも出来損ない(>_<)

     ミステリーとして成立しておらず、下町人情としても下の下の下(>_<)
     一作目を読んだところでもう「ダメだこりゃ」(>_<)

     ……が、いやいや読みすすめるうち、「ひょっとしたらこれ――単なる駄作ではなく、我が読書史に残る 一 大 ト ン デ モ 本 なのではないか?」と気がついた(゚д゚)!

    (奇しくも今日復活した)「時効警察」の向こうを張るような「カラス推理」で疑念は確信に変わり、後はもう、作者がどれだけ愚体・醜態を晒すのか、ワクワクしながらページをめくっていき、ついにラスト、「シナガワ戦争」に行き着いて思わず快哉( ´ ▽ ` )ノ

     映画で言えば、「実写版「デビルマン」や「幻の湖」を劇場で見た」くらいの経験値( ´ ▽ ` )ノ
     一生、話のタネになる( ´ ▽ ` )ノ

     すごいな、「シナ戦」( ´ ▽ ` )ノ
     ほぼ全登場人物(ひいては作者)の倫理観が現代日本人のそれと完璧にズレてる(女子中学生がDQNに誘拐・拉致され縛られナイフを突きつけられても刑事事件にならない。なあなあで済む)( ´ ▽ ` )ノ
     リアリティゼロの救出作戦(実際あれ、やれるもんならやってみろっての。完全に頭の中だけで考えられた机上のクローン)( ´ ▽ ` )ノ
     これぞまさに、ザ・トンデモ小説( ´ ▽ ` )ノ

     他の作品も大なり小なりそんな感じ( ´ ▽ ` )ノ
     プロフィールによるとけっこうなバーサンで執筆歴も相当重ねてるみたいだけど、書いてるもんは作家志望(見込み薄)の高校生レベル。デビュー時にいい編集者に恵まれなかったんだろうな。本来なら本作なんかボツ確定なのに、へたに馬齢を重ねちゃったもんだから、もう誰もダメを出せなくなっちゃってるんだろう。仮にこんなの新人賞に出したって一次落ち確実だ( ´ ▽ ` )ノ

     ツッコミどころは500個くらいあるけど、なんと言ってもお蔦さんのキャラクターが最大のポイントだな( ´ ▽ ` )ノ
     先述の「カラス推理」(痴呆老人の戯言そのもの)に象徴されるように、探偵役の素質がゼロ( ´ ▽ ` )ノ
    「全読者よりも頭の悪い探偵」なんて、ギャグやコント以外ではそうそうお目にかかれないものだ( ´ ▽ ` )ノ
     キップのいいタンカを皆が期待していたのに、終わってみれば「そんなのどこに出てたっけ?」ってほど、江戸っ子ぽさが希薄。こんなんなら、べつに東北のババアでも北海道のババアでも沖縄のオバアでも変わりがないじゃん( ´ ▽ ` )ノ
     まともな推理のできない探偵役と言うのみならず、食事の支度は中学生の孫まかせで平気の平左のクズだし、顔が広いというよりただの金棒引きだし、「シナ戦」では出番なくともストーリーに一切支障なかったし( ´ ▽ ` )ノ

     ノゾミくんの人物造形も、いかにもバーサン作家の書きそうな健全男子中学生( ´ ▽ ` )ノ(オッサン作家の書くバカギャル同様、作者の願望だけの非現実的単純キャラ)



    「解説」、むかしはこういう提灯持ちを軽蔑してたけど、最近「これはビジネスバカなんだな」ということに気づいた( ´ ▽ ` )ノ
     こういうとこで悪口書いたって本は売れなくなるし次の執筆依頼は来なくなるし、いいことはなにもない。ゆえに良心を押し殺し、皮肉にならないように、分かる人には分かるように、本当に言いたいことをぜんぶ裏返しに書いてるんだ( ´ ▽ ` )ノ
     まともなミステリ読みなら「カラス推理」称賛なんてありえないもんね( ´ ▽ ` )ノ


     ほんらいマイナス5くらいなもんだけど、今後「これは無花果よりはまし、これは無花果なみの怪作」って感じの「ミステリ評価基準の下限ライン」を自分にもたらしてくれたことへの感謝を込めて、本レビューの評価を星ひとつとした( ´ ▽ ` )ノ
     


    2019/09/29

  • 中学3年生の滝本望とその祖母、滝本津多代(通称お蔦さん)の二人が主人公で日常の事件を解決していく。
    お蔦さんは元神楽坂芸者で女優、神楽坂の自宅で草履屋を営んでいるが料理が全く出来ない。望は曽祖父、祖父、父親譲りで料理が得意。滝本家では代々男が料理が得意な家系らしい。望の両親は北海道へ転勤して、今望はお蔦さんと二人暮しで料理を担当。
    学校の友達や幼友達、神楽坂のご近所のお仲間、お蔦さんの顔の広さから繋がっている色々な人達、後から関係が判る謎の登場人物などが絡む六つの事件簿の物語。
    独立した短編でありながら、登場人物が重複して絡んできて、どんどん引き込まれていく。続編の「いつもが消えた日」も是非読もうと思う。

  • 良かったねー!!
    こういう、下町とか芸子さんの話好きだわー かつ日常でのミステリー!
    おいしそうなご飯もいっぱい出てくるしw
    1話完結でさくっと読めたのも良かった!!

  • 乗らない

     ホームズとワトソンが、おばぁさんと中学生にかわっただけなんだが、なんか乗れない。第1話の身代わり事件が、そんなはずないだろうと思ってしまったからだろうか。

     筋というか事件そのものに着目して読めば良いのかも知れないけれど、それでは本作の魅力が半減しそうだ。主人公で印象が変わるものだなぁ。

  • 祖母と2人で暮らす中学生の男の子が主人公。
    2014/4/22

  • きっかけは忘れましたが、ずっと読みたいと思っていた作品。文庫化されてやっと手にしました。
    日常の謎といっても、決定力に欠けるところはお蔦さんの勘で進めるところもあるし、そういえばこんな布石が!という驚きは少なく、どちらかというとミステリではなく人情ものの雰囲気です。ただ芸者として生きてきたお蔦さんの独自の価値観や経験に基づいているのがかっこいい。当人の気持ちも事件の背景も分からないうちから「誰かを庇うなんてバカだ」と言いきり、かと思えば反省した犯人には同情的。最終章の「罪を犯して罰を受けないのは本人がいちばん辛い」という言葉にお蔦さんの姿勢が集約されているように感じます。誰かに庇われれば、罪を認めなかった自分も、そうさせた人も恨んでしまうかもしれない。自責の念を抱えて生きていく間に、罪を共有する人さえいなければと思ってしまうかもしれない。罪を犯した人が再び前を向けるように、償いながら生きていけるように。それがお蔦さんの優しさなんですね。
    我が身を振り替えれば、罪を忘れて平然と暮らしてるような人間なのでそんな性善説がまかり通るかとも思いますが。せめて小説の中では通用してほしいです。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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