- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488448110
作品紹介・あらすじ
さる旧家の美人姉妹の恋のさや当ての果てに〝強欲な羊〟はこの世に生まれた。圧倒的な筆致で、第七回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」を収録。女性ならではの狂気を描いた連作集。
感想・レビュー・書評
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背徳の羊:我が子と友人の子が似すぎていて,男は妻の不貞を疑う。思っても見なかった結末。
ストックホルムの羊:塔に幽閉された王子と4人の側仕えに1人の女が加わる。真相がわかると不快感が増す。 -
完全にやられました! 滅多打ちのノックアウト! ホラー&イヤミス&どんでん返し...。特に「ストックホルムの羊」には絶句...。そりゃあ生きている人間(女性)の方が怖いよねぇ...。
クセになる面白さ。他作を手に取ることは必然だ! -
'22年7月10日、Amazon audibleで聴き終えました。美和和音さんの作品、初です。
好きなブックチューバーの方が紹介していて、気になって…audibleに有ったので(ラッキー!)、トライしてみました。
いやぁ…お見事!ミゴトに、持っていかれました!
連作短編集で、最後の「生贄の羊」で、ミゴトにつながる…好きなタイプの短編集、でした!
二作目「背徳の羊」に、「オエッ」っとなってしまった(ᗒᗩᗕ)かなり、気持ち悪い…。
でも、五作品、どれも素晴らしい出来!の、いわゆる「イヤミス」で、芦沢央さんの「火のないところに〜」を、思い出しました。読後感は、僕的にはかなり近かったかな┐(‘~`;)┌
余談ですが…表紙のイラストも、素晴らしい!と感じました。
今迄、全然知らない作家さんでしたが…他の作品も、トライしてみます! -
表題作の「強欲な羊」が1番好みだったかなぁ
短編集だけど、最後の「生贄の羊」で
それまでの作品とリンクしているのは驚いた。
不快と面白さは同居するんだなって
イヤミス作品は数あれど、今作を読んで再認識しました
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2022年2月23日読了。
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初読み作家・美輪和音氏の作品。
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『強欲な羊』
巷で呪われていると噂される屋敷。
この屋敷にはある姉妹が暮らしていた。
薔薇のように艶やかで、気性の激しい姉の『麻耶子』
桜のように可憐で、優しい妹の『沙耶子』
ある日、何者かによって姉の麻耶子が殺害されてしまう。
その容疑者として警察に連れて行かれてしまったのは妹の沙耶子だった。
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「あの優しい沙耶子様が人を殺める事など出来るわけがない。」
屋敷に仕える女中が沙耶子の無実を証明するように告白を始める。
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『背徳の羊』
どこにでもある幸せそうな家族。
篠田と妻の羊子。
双子の兄妹・真と実。
羊子のお腹には3人目の子供が宿っていた。
真と実は双子だが二卵性だからか全く似ていない。
娘の実は父親似で、角張った顔に細い目、低い鼻と美人とは言えないが愛嬌のある顔立ちをしている。
一方、息子の真は母親譲りの大きな瞳が印象的な美男子で、性格の面でも父親とは少しも似たところがないのだった。
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ある日、家族ぐるみの付き合いをしている水嶋夫妻の別荘にお邪魔し、息子の理くんの顔を見た瞬間、篠田の体はぞくりと震えた。
真とそっくりなのだ。
だが篠田以外の皆は何の反応も示さない。
自分だけが感じる違和感なのかもしれないと考えるのを辞めた。
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後日、水嶋の妻・初音から呼び出された篠田は衝撃的な質問をされる。
「真くんは本当に篠田さんと羊子さんのお子さんなんでしょうか?」
やはり初音も同じ違和感を感じていたのだ。
初音の元に届いたある一通の手紙で、旦那とある人物の浮気を疑っているのだという。
一文だけの短い手紙。
『ご主人のすぐそばに、「背徳の羊」がいます』
篠田は『羊』という文字から目が離せなかった…
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『眠れぬ夜の羊』
小室塔子は酷い夢から目を覚ました。
自分から婚約者を奪っていった幼馴染・『須藤明穂』を灰皿で殴り殺し、公園の植込みに掘った穴へ埋めるという残忍な夢であった。
寝汗で全身がぐっしょりと濡れ、灰皿を振り下ろした衝撃や掘った土の匂い、明穂が着ていたゼブラ柄の服の記憶まですべて覚えている生々しい夢だった。
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住居の一階部分で経営しているコンビニの開店準備を進めていたところ、店の前を警察車両や救急車が次々と横切って行く。
何事かと野次馬に尋ねると、すぐそこの公園で死体が見つかり、その身元は昨夜の夢に出てきた須藤明穂だというのだ。
塔子の心臓はビクリと跳ねた。
『あれは夢だったはず。私は殺してなんかいない…』
そう思いながら見た自分の手の、爪と皮膚の間にわずかな土が入り込んでいた。
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その日は店の経営コンサルタントを頼んでいた『丸岡幸弘』の娘を預かる約束になっていた。
丸岡が連れてきた娘・花ちゃんと挨拶を交わしたその時、その子は誰もいない壁を指差し思いもよらない事を口走った。
「あのおうまさんの服を着た女の人はだれ?」
お馬さん、シマウマ…そんな、まさか…
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『ストックホルムの羊』
20年もの間、塔に幽閉されているある国の王子。
その王子に仕えて働く4人の女。
古株でまとめ役のカミーラ。
料理番のヨハンナ。
掃除係のイーダ。
洗濯担当のアン・マリー。
王子だけでなく、仕える女達も塔の外へ出る事を禁じられ、外界の人間と一切関わりのない生活を続けてきた穏やかな日々を破ったのはマリアという1人の若い女だった。
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他国から来た姫君だというマリアは、働きもせず王子のそばにいるだけ。
それについて王子は何も咎めたりもしないのであった。
そんな待遇を良く思わない女達と、王子を交えた愛憎劇が繰り広げられる。
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『羊』というワードをテーマにした短編集。
上記の4つの短編が独立した話だったので純粋に短編集だと思っていたら、ラストの作品『生贄の羊』で全てが絡み合い、連作短編集である事に気付かされた。
ホラー要素もありのイヤミス作品で自分的に各々の作品が正直、及第点といったところだったが『生贄の羊』で上手くまとめられていたので高評価。
続編『暗黒の羊』も評価の高い連作短編集らしく、今作を読んでから読むのが正解らしいので是非とも読みたい。 -
それぞれの話の羊が狂気に満ちて怖かった。
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羊をモチーフとした短編集。どの話も羊、女が怖すぎる。どの話も最後にゾワっとするのに、それが癖になる。うわぁ、と思いながら読みつつ、ラストには思わず唸った。どいつが羊の皮を被った狼や、と全方位に疑いを掛けながら読むのも楽しい。