春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 9978
感想 : 1063
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488451011

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  • 小市民を目指す高校1年生の、頭のいい小鳩くんといつもその後ろに隠れている小佐内さんのペアは、恋愛関係ではなく互恵関係。目立たない高校生活を望んでいるが、いろいろな問題が降りかかってきて、小鳩くんはつい推理をして解決してしまう。一見、ほのぼのした日常の推理もののように見える。ところが、小佐内さんの自転車が盗まれたことが解決していないなあ、そのまま泣き寝入りなんだと思っていると、最後の短編で思い切り打っちゃられるのだ。米澤穂信さん、なかなかやるね。

  • 小市民シリーズ第一弾。
    いろいろと「やり過ぎな」性格をやり直すために、同じ考えを持つ小佐内とともに小市民を目指そうとする。しかし、身の回りの謎に直面した時には過去の自分が出てきてしまい、後悔するという流れが基本的な話の流れになっている。
    小鳩は波風を立てずに、穏やかな高校生活を送ろうとするという所や本当は自分の能力を使いたくないという所は同作者の『氷菓』シリーズの折木奉太郎と似ているが、ヒロインの小佐内は千反田えるとは違い、危険な考えを持ち徹底的にたたきのめさないと気が済まないという真逆な性格をしており、読んだときはとてもびっくりしました。
    この本の構成は、短編集として成り立っているが、全体として伏線をはり最後の「狐狼の心」で自分の機嫌を損ねた人物の粗を探しそれを使って叩きのめしていくという所はとても強かな人物だと思いました。この2人の対比として堂島健吾の中学の時から何も性格が変わらないキャラクターがいることでより2人の人間性が際立っていて読んでいてとても面白かったです。
    次の夏・秋と続いていくので順々に読んでいきたいです。彼らが小市民になれるのか、とても楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    小鳩常悟朗:福山潤
    小佐内ゆき:黒沢ともよ
    堂島健吾:日野聡
    堂島知里:ファイルーズあい

  • これ、面白かったなあ。
    タイトルとカバーのデザインから、ただのお気楽ライトノベルだと思っていたのですが。
    小市民を目指す男女2人はカップルではないのにその目的を同じくする同志でありしょっ中行動を共にしてお互いをリスペクトしている。
    こんな相手がいたらさぞ楽しい高校生活だろうと想像するのだけれどご本人達はなかなか悩みが多いよう。

    作品の表現の中でなかなかライノベ読者層には理解できないのではないかと思う言葉がチョクチョク出てくる。
    その違和感が私のような年配者には面白い。

    そして彼らが小市民デビューする前はどんな学生だったのか、とても興味があるが現状では作品の端々に浮かぶ表現を拾って想像するほかないけれどそれもまた一興かもしれません。

  • 小山内さんのギャップ萌え。小動物的見た目なのに中身は狼って。いまだかつてこんなにギャップがある登場人物はいただろうか?
    小鳩君と小山内さんが恋愛関係にないっていうその関係性も好き。
    健吾は良い子だなぁ、ちゃんと小鳩君の中身見てるのね、変な人って自分が変だと理解しているから、他人はそんな自分を理解出来ないものだと知っている。小鳩君の場合は知らしめされたか。
    なので、そんな小鳩君には健吾という同性の友達がいるのは心強いんじゃないかと。認めてくれる人がいるって大事だよね。

  • 氷菓のような、青春・日常の謎を解くミステリー。読みやすく、さわやかな読後感。「おいしいココアの作り方」が特によかった。意図せずできた日常の謎。簡単に解けそうだけど、考察するほど不可能に思えてしまう。答えを知れば、そんなことかと思うけど、他人の行動を読むことの難しさがよく分かる。彼らの目指す小市民像は幻ではないだろうか?

  •  全然期待していなかったのに、予想外に面白かった。古典部シリーズより好きかもしれない。小市民を目指すことになった2人の過去が気になる。ココアの作り方の謎や2枚の絵の謎などすぐピンとくるものもあるが、全作品楽しめた。ココアの謎はそれをやってしまうと、傷むだろうな。
     2人の関係は互恵関係らしいが、恋愛関係を超えていると思う。青春小説を読むといつも登場人物が羨ましくなる年齢になってしまった…。

  • キャラが立ってて面白い。
    ミステリーとしても楽しめたし良い作品。

  • 読みやすく、かつおもしろい!米澤さんの十代向け?ミステリが大好きです。

  • 青春風味の軽やかなミステリー。
    人が死なない故緊張感に欠けるが、日常を懸命に生きる人々の姿にリアリティがあっていいと思います。

  • 小市民シリーズその1。小鳩くんと小佐内さんが小市民……要するにモブキャラを目指す話。
    古典部シリーズと同じくミステリなのに誰も死なない日常の謎系、青春ミステリ。

    個人的にはココアの入れ方を推理していく話が一番良かった。
    一つ一つの話は独立してるから連続短編みたいに読めるけど、実は微妙に裏で繋がってるし、ちゃんと最後には山場があり閉まりもよかったし……なにより二人のやりとり、考え方が面白い。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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