木野塚佐平の挑戦だ (創元推理文庫(国内M))

著者 :
  • 東京創元社
3.08
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本棚登録 : 140
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488459116

作品紹介・あらすじ

現職の総理大臣が急逝し、世間は大慌て。しかし、ケニヤに桃世が旅立ってから、傷心(?)の木野塚氏は、テレビの中の美人ニュースキャスターとの不倫を夢見る日々。それが、一本の電話で覆される。オタク男からの奇妙な依頼から、いつの間にやら木野塚探偵事務所設立以来の大事件へと巻き込まれることに。ケニヤ帰りの桃世とともに難事件に挑む、木野塚氏の活躍? 乾坤一擲、欣喜雀躍、元警視庁経理課の愛すべき老人探偵の大活躍を描いたシリーズ第2弾、だ。著者あとがき=樋口有介/解説=香山二三郎

感想・レビュー・書評

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  • 警察を定年退職した60歳、木野塚佐平シリーズ第二弾。
    コミカル路線が強く、何かよくわらないままに、国家的な事件が解決?
    読ませる能力はさすがです。

  • ──唯一読んでなかった樋口有介作品でした。

    ──国民的な人気をほこる村本啓太郎総理が57歳の若さで急死した。私立探偵・木野塚の周囲に、総理は暗殺されたらしいという不穏な噂が駆けめぐる。気がつくと重大事件の真相調査に巻き込まれていた木野塚の運命や如何に!

    と某図書館のあらすじ説明には記載されていますが、そのような緊迫したサスペンスミステリーではありません。
    警察を定年退職したおっさん木野塚佐平が、ハードボイルド探偵に憧れ、一年発起し私立探偵事務所を起こし、そこに巻いこむ事件を解決していく話ですが、まあユーモアミステリーです。
    警察を退職したといっても、彼は刑事だったのではなく、37年間ずっと経理課だったのですから(笑)
    気の弱い、美女に弱い、酒も弱い、力も弱い、推理力も弱い、なんとも情けない探偵なのです。
    それでも見事に事件を解決できるのは、若くて優秀な秘書兼助手桃世ちゃんのおかげ。
    この桃世ちゃん、結構なお家柄の女の子で、いろいろなところにツテがある。
    前作「木野塚探偵事務所だ」で事件解決後、ケニアに行ってしまった彼女が突然帰国してきて、今回も大活躍し、見事に問題解決。
    めでたしめでたし、というお話です。
    昨年、一世を風靡した「謎解きはディナーのあとで」の男女逆バージョンですね。
    そう考えると、同じパターンで出版社が売り出せば、そこそこ売れるかもしれません。
    でも時代がかなり前ですから、少し無理があるかな。

    樋口有介は休筆宣言をしてしまったので、このシリーズは2作だけ。
    本来の作者の持ち味である独特のハードボイルド文体とはかけ離れていますが、ユーモアセンスもなかなかあるので、軽く笑いながら読み流すには楽しい小説です。
    彼の作品はすべて読破したと思っていたのですが、私これは読んでなかったんですね。
    人間の記憶とはあてにならないものです。
    でも、まあ面白かった。

  • 3.5
    相変わらず木野塚氏の言動が面白い。還暦でこのバイタイリティはすごい。
    桃世の策士な名助手な感じも面白い。
    時の内閣を相手にするスケールのでかすぎ感はあるが、なかなか面白い。

  • 警官生活37年、警視総監賞も受賞した木野塚佐平。ハードボイルド気取りだが、美女に弱く妄想の日々。だが今度の事件は国家を揺るがす大事件だ。
    シリーズものだが、前作からはかなり年月が経っているので、独特の空気に慣れるまで時間がかかった。いちばん面白いのは木野塚氏の妄想タイムだが、最後の最後に、日本犯罪史に深く刻まれるあの事件が登場するのに驚く。

  • 桃世さんシリーズ第二弾。
    アフリカから帰国した桃世さんと,警察を停年した冴えないハードボイルド探偵が,壮大な事件に挑む。
    前作のこじんまりした活躍から一気にスケールアップした今作だが,おっさんの妄想癖は健在。

  • 前作に比べて、今作のなんとスケールのでかいことよ。
    そしてアフリカに行ってしまった
    「押しかけ助手」桃世の、まさかの大活躍(^ ^
    前作の「せこい大活躍」に慣れてる読者は
    びっくりすること請け合いである(^ ^

    いや、ご安心あれ。
    木野塚氏の「妄想老人」っぷりは健在(^ ^
    あこがれの女性キャスターとの不倫も、
    まさかまさかの展開を見せる。

    そして、巻末の解説にも書かれている通り、
    もはや「バカミスすれすれ」の大ネタ勝負(^ ^
    一国の政府の行方を左右するのが、
    まさか我らが木野塚氏とは(^ ^

    難しいことはいっさい考えずに、
    「んなアホな」とか突っ込みを入れつつ
    気楽に読みたい一冊です(^ ^

  • 木野塚探偵シリーズ第2弾

    若き総理大臣が突然死し、世間はてんやわんやの大騒ぎ

    そんな中、半年前にインドに旅立った助手の桃世が帰国し
    木野塚氏のまわりは、にわかに活気づく。

    こっけいな哀しみと妄想は健在のまま
    話は日本をゆるがす大事件へと繋がって
    あれよあれよと読んじゃいます

    快調!

  • 『木野塚探偵事務所だ』に続く、木野塚佐平シリーズ第二弾。
    前作は連作短編集、今回は長編。
    そして、事件も何だか、でっかくなりました。
    個人的には前作より、面白かったのだけれど(あとがきによると”文体”が前作から変わっているとのこと、そのため?)、前作の愛嬌のあるキャラクタたちと珍妙な事件の絡みが好きであった読者は、色々とギャップを感じてしまうだろうなと思った。
    前作にもひとつはまりきれなかった私も、「あれ?こんな作品だっけ…」と思ったくらい。
    総理大臣の死、それに関する妙な説。
    木野塚氏の希望通り、大事件が迫ってくる。
    木野塚氏が空回りしている面も今回はあるものの、けっこう彼の望みが叶っている方なのでは?

    ”警官生活三十七年、警視総監賞を受賞”、暗記してしまいそうな、木野塚氏の口癖というか、キャッチフレーズというか。
    これをことあるごとに述べ、ハードボイルドを気取る(決まりきっていないことが多いけれど)木野塚氏と頭の回転が速く、木野塚氏の理想の女性像とかけ離れたボーイッシュな桃世のキャラクタは相変わらず。
    桃世ファンの私としては、ケニアから戻ってきて、嬉しい。
    著者曰く(こちらもあとがきより)、この作品は”大バカ大ナンセンス小説”。
    本作については「ちょっと調子にのりすぎたかな」だそう。
    その著者のくだけた感じがうまく作用しているのが、この作品には良い弾みを与えてくれたように、私には思えた。

    第3弾があるならどういう方向へ持ってゆくのか??

  • これがなかなか面白かったです。シリーズ前作は僕にはイマイチでしたが、今回は壮大なスケールで一気に読んでしまいました。

  • 一見何の関係もなさそうないくつかの事件が裏で絡んでいて・・・と言う長編。病死した首相は本当に自然死だったのかと言う問題から思いもよらぬ陰謀が飛び出してくる。前作のような軽いテイストで実在の未解決事件の真相に迫ると言う狙いは理解できるが、あまりにも奇想天外過ぎるのはいただけない。主人公の妄想もしつこすぎた感も。短編で少しずつ楽しむくらいの方があっているような気がする。

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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