百万のマルコ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M や 3-4)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488463045

作品紹介・あらすじ

黄金が溢れる島ジパングで、大冒険の末、黄金を捨てることで莫大な黄金を手に入れた-。囚人たちが退屈に苦しむジェノヴァの牢。新入り囚人"百万のマルコ"ことマルコ・ポーロは、彼らに不思議な物語を語りはじめる。いつも肝心なところが不可解なまま終わってしまう彼の物語。囚人たちは知恵を絞って真相を推理するのだが…。多彩な謎が詰まった、文庫オリジナル連作集。

感想・レビュー・書評

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  • フビライハーンに仕えたマルコポーロ。

    ジェノヴァの牢に幽閉され、そこで三人の囚人と過ごすことになる。

    退屈に苦しむ彼らに、東方見聞録を聞かせ、一時の脱獄を与える。

    法螺吹きマルコの語る物語はいつも肝心なところが解せぬまま終わってしまう。

    そこで、三人は知恵を絞るのだが...

    マルコポーロの東方見聞録を下地に創作されたミステリだが、ちらりほらりと「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓が見え隠れするのあたりが柳氏らしい気もする作品でした。

  • ホラ吹きマルコとゆかいな仲間たち。笑


    退屈に蝕まれる牢の囚人たち。そこに新たにやってきた囚人は、世界の果てを旅したというマルコポーロ。彼は、自分の冒険譚を、他の囚人たちに語る(騙る?)のだが、その話には必ず一つ謎が残されていた。
    囚人たちはその謎を解き明かそうと躍起になり、そうして退屈という牢獄をその時ばかりは抜け出すことができた・・・。

    短篇集ですが、◯分間ミステリーみたいな感じ。全編牢屋の日常⇨マルコの語り⇨クイズ⇨牢屋で話し合い⇨マルコの解答⇨オチという流れ。だもんで、気が急くと「牢屋で話し合い」をすっ飛ばしたくなります(笑)

    楽しくどんどん読み進められますが、小説を読んでいるというよりは、クイズ本を読んでいる気分でした。マルコ含め、囚人たちのキャラがいいですね。

  • 捕囚となったマルコポーロ(果たして本物か偽物か?)が捕囚仲間に語って聞かせる小話を集めた、という体の短編集。最後にきちんとオチもついている。本編は気楽な読み物だしそれなりに難癖をつけるようなところは特になしだが、おまけの解説がなんとも頂けないものでマイナス評価したいほど。

  • うまいよ、柳さん!
    マルコ・ポーロが獄中で囚人たち相手に、自分が元のフビライに仕えていた時の話を聞かせるのだが、その話にはいつも謎解きが含まれている…という脳トレみたいな面白さ。
    一話ずつはすごく短いのに、すごく充実してる。
    解き明かされると「ああ〜」と思うのに、自分じゃ全然わかんないんだよね。
    まあだからこそ、私はミステリを楽しめるんだな。笑

  • 10年以上ぶりの再読。手にとって読みすすめてから、再読したいと思ってたのは、楠見朋彦「マルコ・ポーロと私」だった!と気づくが、こちらもおもしろい。捕虜としてジェノヴァの牢に放り込まれたるは、物語作者ルスティケロと、船乗り、貴族、仕立て屋、僧侶の若者たちと、ホラ吹きとよばれる「百万のマルコ」。いざキミらを外の世界に連れ出さん、と語ってくれるのは、大ハーン・フビライの治めるモンゴル帝国のさまざまな珍奇な話、その話には必ず、語り残された謎の部分があり、それを解こうとやっきになってるうちに、ここ(退屈)にいることを忘れてしまう、と。そうして書き留めたものをルスティケロが写本作家に頼んで出版したところ…全員分の身代金となり、といった枠組み。この世界でいちばん遠くの景色は、望遠鏡をのぞく自分の後ろ頭だ。結局のところ私にとってこの世界の一番遠くの景色というのは生まれ故郷ヴェネチアだったのかもしれない。というのが、ありきたりかもしれないけど肝かな、と。どんなに遠くへでかけ珍奇なものを見、食べ、出会い、語り、多くのことを経験してから再度見た故郷はまた違って見えただろう。たしかにこれは「東方見聞録」も読みたくなる。

  • 文庫本の表紙の地球儀とタイトル。「マルコは、俺たちをここから連れ出してくれる。」というように、ここから連れ出してくれる。

  • イマイチで、中断終了

  •  ジェノヴァの牢屋の中で、囚人たちの退屈を紛らわせているのは、百万(ホラふき)のマルコことマルコ・ポーロが若い頃に大ハーンに仕えていた時の不思議な冒険譚。

     黄金を自国のものと交換したり持ち帰ることのできないジパングから、どうやって黄金を持ち帰ったのか、など13のミステリー短編が収められている。謎解きというよりも頓智というか、人間の心理的な盲点をついた”頭の体操”的な話が多い。そういう意味では、同じ作者の『D機関』シリーズにも通じるものがあるが、本書はもっとライトな雰囲気で楽しめる。

     米澤穂信氏がテレビ番組で推薦していた作品だが、変化球好きの米澤氏がいかにも好きそうな話がたくさん詰まっていた。

  • アイザックアシモフのユニオン・クラブ綺談に似た雰囲気の短編ミステリ。ジェノヴァで戦争捕虜として捉えられている,船乗り,仕立て屋,僧侶,貴族という四人の若者に,百万のマルコと呼ばれているマルコ・ポーロが,牢の中での退屈を紛らわせる不思議な話をするという設定になっている。13本の短編からなるが,謎の質は,いわゆる日常の謎系のミステリというよりもっとシンプルであり,なぞなぞやとんちというレベル。ジパングから,一人では収集しきれないほどの金をどうやって収集したのかという謎(第1話:百万のマルコ)などの,たわいのない話が続く。しかし,設定が面白く,キャラクターの造形がうまいので,たわいのない謎ではあったが,楽しく読むことができた。一番面白かった作品は,片膝と片手を床につき,神戸を垂れた姿勢で跪拝せよという指令と,そのような卑屈な態度を取ればその首を打ち落とすという使者の言葉の両方を満たす機転を見せた第6話:半分の半分だった。
    面白い…!というほどではないが,小粒ながらそこそこ満足できるデキの作品。★3つで。

  • 何も考えずただほうほうと読んでしまった。頭の体操なのね。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二〇〇一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で第十二回朝日新人文学賞受賞。〇八年に刊行した『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞。他の著書に『象は忘れない』『風神雷神』『二度読んだ本を三度読む』『太平洋食堂』『アンブレイカブル』などがある。

「2022年 『はじまりの島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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