アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 3824
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488464011

感想・レビュー・書評

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  • 引き込まれる展開…うーん読ませる!
    やはり、さすが伊坂幸太郎さんですね。

    登場する人物それぞれの悲哀が淡々と描かれているのに、その背景がなぜかすごく気にかかる。
    物語全体としては哀しい結末とも言えるのだけど
    でも妙に納得させられてしまう。

  • またまた伊坂幸太郎さんの素敵な作品に出会えて嬉しい。
    センスあるセリフが盛りだくさんで伊坂節をたっぷり味わえるので、個人的に好きな作品の上位に浮上!

    物語は、大学進学で東京から東北にきた主人公:椎名目線の〔現在〕とペットショップで働く:琴美目線の〔2年前〕に分けて描かれている。
    〔現在〕では、椎名がアパートの隣人:河崎のペースに乗せられて関わっていく2人のやり取りが面白く、〔2年前〕では琴美がとある事件に巻き込まれてしまい、ヒヤヒヤしながら読み進めた。

    素敵な言葉も物語全体も読み進めていくと見事に伏線回収されて出所がわかり、切ないけれどじわじわと心に響く。

    〔2年前〕の物語では、主人公:琴美の同居人としてブータン人のドルジが登場する。ブータンといえば「幸福度が高い国」のイメージしか知らなかったけれど、考え方や穏やかさは読んでいてほっこりした。
    「すべての生き物は死んだら生まれ変わる」という考え方はステキだけれど、急に親しかった人と会えなくなって1人になったらやっぱり悲しい。

    自分の身に起きた経験を通して前向きに変化できる場合もあれば、どうしていいか分からず立ち止まってしまうこともある。過去に耳を傾けて心の中にはいつまでも思い出を残しながらも前に踏み出すきっかけができるのは良いことだ。

  • 2020(R2)11.17-11.19

    図書館への返却期限が迫っていたことと、二つの時代のそれぞれの物語がどう進んでいくのか我慢できなかったため、一気読みしてしまった。
    あと15分で図書館が閉館!
    てな時に最終末にさしかかり、87°くらいの斜め読みで本を返却したので、この物語の醍醐味を充分味わうことができなかったかもしれないが、それでも面白く、やっぱり切なくなった。

    何が面白いって、二つの時代の物語のテイストが違っていること。片やミステリーっぽく、片や青春群像劇っぽく。互いが何となく絡まっていることが匂わされ、その絡まり方が気になって仕方なくなる。

    そして訪れる二つの物語の終わりに待ち受けている切なさ。
    しかもそれは叙情的ではなく淡々としているところに余計切なさを感じる。
    これって伊坂幸太郎の得意技なのかな?
    「切なさを切なく描かない」というか「恐ろしさを恐ろしく描かない」ことで余計にその感情を際立たせる作風。
    図書館の蔵書点検休業に合わせて3冊借りて来たので、この辺りを検証しながら、引き続き伊坂ワールドに浸かってみます。

  • 「一緒に本屋を襲わないか」から繋がる、過去と現在。
    たくさんの伏線も、あれこれ考えながらも、次が知りたくて読み進めた。
    終わりは切ないけど大好きな作品。

  • もうね、伊坂さんは最高だと思います。過去と現在を行き来しながら物語が進み、あらゆる所に張られた伏線を回収していく…読み終わったあと、余韻に浸って10分間は放心してしまいます笑

    伊坂さんの作品には、毎回のように私の心に刺さるセリフが出てくるのですが、今回は外人に対するある登場人物のセリフが大変深く刺さりました…。「ああ、私も大学入学時は世界を知らなかったし、知る努力もしなかった。見ず知らずの他人を思いやる気持ちも持たなかったなぁ」と、昔を思い出しました。大学生以上の方にオススメしたい本です。

  • 「一緒に本屋を襲わないか」と本屋襲撃を持ちかけられる現在と、動物虐待犯を追う二年前。この二つを交互に行き来しながら話が進んでいきます。
    一見関係無さそうな二つの話が次第に交わっていく過程と、そこからの伏線回収が面白くてページを捲る手が止まらなかった。
    そして最後に待ち受ける結末は切ないながらも、心地の良い読後感だった。
    伊坂作品は初めてだったんですけど、登場人物の言葉回しや、テンポがリズミカルで、読んでて楽しかった。
    他の作品も読んでいきたいな〜。

  • 再読。現在の椎名に起こる不可解な事柄と2年前の出来事が徐々にリンクしていく。10年以上前に読んだ作品でしたが、やっぱり面白いです。伏線とその回収が気持ちがいいです。まさか、叔母さんがあの作品のあの人だったとは、今回気づきました。伊坂さんの作品はこういうサプライズがあるから嬉しい。

  • 映画のアヒルと鴨のコインロッカーを見た

    最初原作を読んだ時には
    ただただ後味が悪くて
    あまり好きではなかったし
    ふーん、くらいでしか、
    思わなかった

    それを好き好んで読むなんて
    それは映画のおかげだ

    冒頭で流れる「ディランの風に吹かれて」
    そして口ずさむ「ぼく」

    そして、「一緒に本屋を襲わないか?」

    ――おかげで
    ボブディランのベストも買ってしまうし
    なんてミーハーな、と思わず自分を笑ってしまう

    映画の雰囲気が、
    とても飄々としていて
    風みたいで
    不思議と
    爽快だった

    そうして読み返すと
    いつものことだけど
    なんて緻密な、と思う

    淡々とした雰囲気が
    あまり好きではなかったんだな
    と思ったし
    淡々としてないと
    後味が悪いくらいじゃすまなかったかもしれない
    と思ったし
    これは、伊坂氏なりの
    心の繊細な人が
    傷つかないようにした
    一つの優しさで、配慮だったのかもしれないと
    思ったりする

    どうしてか
    伊坂氏の小説を読むと
    人が好きになる

    人間という生き物が
    愛しくなってしまう

    そしてどうしてか
    泣きたくなってしまうのだ

    • まことさん
      私は詩や音楽のことはよく知らないのですが、
      ボブディランが受賞されたときに、真っ先にこの作品のイントロを思い出しました。
      映画も観ればよ...
      私は詩や音楽のことはよく知らないのですが、
      ボブディランが受賞されたときに、真っ先にこの作品のイントロを思い出しました。
      映画も観ればよかったかな。
      2018/10/07
    • 大野弘紀さん
      まことさん

      コメントありがとうございます。
      映画を見ると、たびたび流れる風に吹かれてと相まって、なんだか不思議と、歌と物語がセットに...
      まことさん

      コメントありがとうございます。
      映画を見ると、たびたび流れる風に吹かれてと相まって、なんだか不思議と、歌と物語がセットになって入ってきやすくなると思います。

      私は映画を見てから改めて小説を読んだら、冒頭で風に吹かれてが頭の中で流れました。それだけで、作品の楽しみ方が深まった気がします。
      2018/10/07
    • じゅさん
      コメントありがとうございます^_^
      映画、ぜひ観てみたいと思いました!
      コメントありがとうございます^_^
      映画、ぜひ観てみたいと思いました!
      2019/01/19
  • 現在と2年前が交差しながら進んでいく物語。「一緒に本屋を襲わないか」ひょんなことから2年前の3人の物語に参加させられた大学生の椎名。アパートで出会った川崎との会話がテンポよく、面白い。2年前に起こった悲劇が現在と繋がったとき、全ての紐が解けていくように、本当の川崎は誰なのか、2年前の人達はどこへ行ってしまったのか、本屋を襲った目的、そして題名の意味が分かった。ブータン

  • 冒頭から突拍子もない展開に面食らったが、まさかここまで切ない話とは思わなかった。
    物語の内容もさることながら、鮮やかに張り巡らされた伏線、随所に見られる粋な遊び心が、とても良かった!

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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