夜の国のクーパー (創元推理文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 東京創元社 (2015年3月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488464028

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伊坂 幸太郎
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夜の国のクーパー (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 私個人的には、伊坂幸太郎は当たり外れがある人なのだけど、この小説はとても読みやすかった。

    猫が語り手となって始まるファンタジー。
    クーパーという不気味な植物を倒すために、徴兵される青年たちと、息子はアレながら慕われる施政者冠人。
    そこに鉄の国からの兵士たちが攻め込んでくる……。

    人と、猫と、鼠と、しがないサラリーマン。
    この四者の強弱構造が面白いのだけど、単純明快なストーリーに、強い者の傲慢さと弱い者の理性が上手く絡み合っていると思う。

    最後に進展が明示されるのも、良い。
    一つの訳の分からない出来事が終わって、それぞれが自分の内側に集約していく後味は好きだ。
    喋る猫は、いついかなる時もチャーミングである。

  • ねこが語り聞かせてくれるある国のお話。
    人も馬もそしてネズミもいるねこの住むその国は、戦争が終わって、支配されることになった。

    「俺を信じるかどうかは、おまえたちの自由だ。どんなものでも、疑わず鵜呑みにすると痛い目に遭うぞ。たえず、疑う心を持てよ。そして、どっちの側にも立つな。一番大事なのはどの意見も同じくらい疑うことだ」
    物事を一方的に見ることの危うさ。
    自分の頭で考えることの大切さ。

    付け足し。
    初めて馬をみたねこのトムが、馬の歩き方をまねするシーンがとてもかわいい♡

  • 物語中盤まで読み進めた段階では失敗作だと思った。猫が人間や鼠と喋る設定などは既視感ありありで、展開される物事も安易な小ネタの繋ぎ合わせのようにしか感じられなかったからである。

    ところがどっこい、終盤である事実が明かされるとその観測はいい意味で裏切られる。詳しくは読んで確かめていただきたいが、読み終えて振り返ってみると、懐かしいようだけど実はこれまでにない話であり、起きた物事がいずれも何かしらの示唆を含んでいるんだよなあ。まさに伊坂マジック。

    内容的にはファンタジー作品に分類されると思うけど、ミステリの要素も持ち合わせているので、そちらの方面が好きな人にもおすすめ。

  • 猫の視点から見た話の紡ぎ方が面白い。鼠とのやりとりが伏線になっていて、後の方で成程なぁと思う。

  • オーデュボンに近い雰囲気があって、なんか懐かしかった。好きじゃない人にとっては最初の方があんまり劇的な変化がないから、リタイアしちゃうかも。

  • 久しぶりに小説。
    多分、オチに「え?」と思う人も多いかもだけれど、それすらふっとばすくらいの気になる伏線やら謎やらですらすら読めて相変わらずファンタジーと現実世界の線引きが素晴らしかった。

  •  久々に伊坂さんを読みましたが、このふわっふわとした、いまいち想像がしにくい異世界観に浸るのが、なんだか懐かしくて楽しかったです。猫のトム君による語りが飄々としていて、戦争をテーマにしていながら、大仰な文章にならないところが好みでした。散見する伊坂さんらしいトリックの数々も、今回はご都合主義感が少なく、すんなり受け入れられたのも嬉しかったですね。

     タイトルの「夜の国」。壁や固定観念に囚われて、国民たちには周りのことが何も見えていないから、「夜」なのでしょうか。複眼隊長と「私」の活躍により救われた国にはきっと、長い支配からの夜明けが待っているんでしょうね。

  • 目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める――これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。

    伊坂作品が肌に合わないんだと思う。オーデュボンで挫折したものの人気だしテーマは面白そうだったので読んでみたがやはり苦手だった。つまりは何が言いたいのかいまいちよく分からないんだ。強いて言えば「とらわれないこと」なのかなぁ。途中までは結末がどうなるのか気になったしクーパーの話もわくわくしつつ読んだけど、終盤は現実が虚しすぎて興醒めしてしまった感じに近い。ハッピーエンドと言えるのか、これは。上手くいくことを諦めたら終わりっていうのは事実かもしれないが、相手が悪い場合にそれをろくに責めもしないのはどうなんだろう。主人公に肩入れできなかった。

  • 久しぶりにわたしの知ってる伊坂幸太郎が読めた気がする!最近の伊坂幸太郎の話はついていけなかったけど、オーデュボンの祈りあたりの感じが戻ってきてすごく好きかもしれない。
    もやもやもやもやしてたものが、だんだん繋がっていって全体像を把握していく感じ!最後はスッキリと優しい気持ちになれる。

  • 戦争と猫の話。という帯の文章を読んで、正直戦争の話はあまり好きではないし文庫化するまで待っても良いかな、と思っていた。
    やっぱり伊坂さんだった。
    たいていいつも良い方に裏切ってくれる。
    雰囲気としては「オーデュボンの祈り」のような感じ。
    知らない場所に流れ着いた“私”が喋る猫から不思議な国の状況を聞かされる。
    ストーリーとしては割とシンプル。
    捻りはあるけどヒントも多いのである程度オチは読める。
    先が読めても面白いし、何より作品に込められたメッセージが胸に響いた。
    与えられた情報を鵜呑みにせず、何が正しくて何が間違っているのか自分で判断しろという言葉や、
    どっちの側にも立たず、どの意見も同じくらい疑う事が重要、など現実世界でも、とりわけ今、実際に気をつけなければならないことだと思う。
    考えることを放棄し与えられる情報を鵜呑みにしてしまうと、あっという間に世の中を動かすチカラを持った人たちに流されてしまう。
    冠人にも鉄国にも支配されない国に、日本はなれるだろうか。

  • 383.恐れず、ただ、やってみれば良かった」
    385.「俺を信じるかどうかは、おまえたちの自由だ。どんなものでも、疑わず鵜呑みにすると痛い目に遭うぞ。たえず、疑う心を持てよ。そして、どっちの側にも立つな。一番大事なのは、どの意見も同じくらい疑うことだ」

  • 猫のトムくんの描写がかわいらしくてかわいらしくて。

    そしてネズミを追いかけてしまう時の表現とか、体を駆け上る感情や衝動の描き方が、なんていうんだろう、そう、そういう感じ、っていう。どうしてあんな風に言葉で表現できるのだろう。

    あーこの人の描く登場人物がいつも大好きなのは、その表現方法が素晴らしいからというのもあるんだな、ととても思わされた1冊でした。

    ネコ飼いたいな。

  • 単純なストーリーなのに、すごく引き込まれる。同じことなのに別の視点になると全然違う。

  • 人と動物の違い,それは知性だろうか.だとするなら知性の中に悪魔が潜んでいるのかも.遠い異国の物語でありながら,現在を暗示させる何かがある.とても興味深い一冊でした.
    以下あらすじ(裏表紙より)
    目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。

  • 『オーデュボンの祈り』よりもさらにファンタスティック。
    創元推理文庫から出版されているわけで、当然ミステリーでもある。
    クーパーの兵士、かっこいいな。
    猫はかわいすぎる。
    物語にも登場人物にも、おおいに癒される一冊でした。

  • 伊坂作品の最高傑作、とまでは思わなかったけど、これはこれで十分に楽しめた。”近作は…”みたいな話を耳にしてたけど、これなら全然問題なしす。で、トムとジェリーやらガリバー旅行記やらの要素を盛り込みながら、二転三転物語は進みます。どんでん返しも鮮やかで、かといってトリッキーに過ぎることもなく、一気に読み通せる内容でした。

  • 妻に浮気され、傷心で釣りに出かけた四十歳の主人公。しかしその舟が沈没、目覚めたときには見知らぬ土地で蔓で縛られ、喋る猫に話しかけられていた・・・前半はこの喋る猫トム君が猫目線で語って聞かせる、彼らの世界の物語。

    思いっきりネタバレしてしまうと、この設定はある意味、伊坂版『ガリバー旅行記』ともいえます。伊坂さんらしく伏線はきちんと張ってあるので、勘の良い読者はかなり早い段階で、この主人公とトムくんの「サイズ感」の違いに気づくはず。ガリバーを読んでいれば、蔓で縛られて動けない主人公の姿を想像しただけで、リリパット国がデジャブすること請け合い。

    トムくんの名前の由来であると思しき「トムとジェリー」へのオマージュ(猫たちとネズミとの歩み寄り)、個人的には『指輪物語』のエントを彷彿させられた歩く木の化け物クーパーの存在、喋る動物や動く木というファンタジーでオブラートされているけれど、これは戦争と和解という極めて現実的なテーマも孕んでいる。それでいて単純にエンターテイメントとしてぐいぐい読ませてしまうところが作者の手腕。

    猫たちのキャラクターにいやされ、複眼隊長のかっこよさにほれぼれし、クーパーの伝説の真相を解くミステリ的楽しさもありつつ、現在の世界情勢についても考えさせられる、完成度の高い1冊でした。

  • これぞ大人の童話世界。
    どうなることかとハラハラしながら読み進めたけれど、凄く素敵な結末でした!
    数ページに一回は毛繕いをする猫たちが可愛すぎる、中でもトム君は格別に可愛すぎる。確かに「トム」というより「トム君」というのがとてもよく似合うよねぇ。
    最後の節の複眼隊長の「みんなで帰るか」が、なんて温かい。
    待ち焦がれていた「おかえりなさい」と「ただいま」がどれほどの数交錯したのだろうと思うと、胸が熱くなります。
    そして、大国と小国、猫とねずみ。自分よりも小さな者に出会ったとき、私はこれからどのように接していく事ができるでしょうか。

  • 再読。最初に読んだ感想は猫が可愛いだった。今回も猫が可愛いと思った。舌をしまい忘れたり、足を体の下に折込み休む仕草だったり、猫がよくする仕草の描写がありたまらなく可愛い。
    戦争・支配の話だが、猫が語っているからかどこかのんびりした印象を受ける。住んでいる住民もどこか楽観的。巨人が去ったあと、あの小国は自国を守れるのかは疑問が残る。

  • 大小あるけれど、バックグラウンドは戦争。作者も北朝鮮の件から戦争を考えて色々と意見を述べていたとのことで、今日、核実験を行った北朝鮮が何ともタイムリーで皮肉。

    主人公は、猫のトムと人間の僕。猫と暮らしていた経験があるので、猫の動作の描写が何とも言えず、ほんわかした感覚になった笑。

    また、作品の半分くらいまではスピード感無くて、後半はあれよ、あれよとい間に進んだ感じで面白かった。。

    好きな言葉
    「疑うのをやめて、信じるのも一つのやり方」
    「どんなものでも疑わず鵜呑みにすると痛い目に遭うぞ。絶えず疑う心を持て。」
    「知る勇気を持て。自分の理性を使う勇気を持て。」

  • かなりの長編だ。正直に言うと途中でちょっと嫌になった。物語は猫との会話から始まる。これはいったいなんの話なんだ?と困惑する。次第に戦争に負けた国が鉄国(つまり敵国)に支配される。ガンジイやらカントやら、登場人物の名前がアレで、キャラクター設定までかけているのかはわからないが、不思議な感覚にはなる。物語は後半で一気に霧が晴れるが、結局のところクーパーが実在したのかしないのかよくわからない。戦争というか統治の仕組みがよくわかる。

  • 面白かった。どちらかというと昔の作品の雰囲気を感じてストレスなく読むことが出来ました。トムの淡々としてるところと、やっぱり猫なところがよかったですね。最後のオチは他の作品ならあり得ない驚愕?のやり方でしたが、この作品ならありですね。

  • 猫と悪徳政治家の物語。
    猫目線で語られる人間世界の争いごとにまつわるごたごた。

    クーパーをめぐる言い伝えとしゃべる猫が極めて強いファンタジー性をもたらすが、根本は実に人間くさい話。
    中盤、ねずみが猫に持ちかける提案が真実を予見させるとともに、淡々と語られるところが人間世界との対比を際立たせ、シュールで印象深かった。

  • 一行目から読者を惹き込む語り口で、次から次へと風呂敷が広がっていくのに最後には綺麗に畳まれていくところが流石の一言、そして畳まれた風呂敷の行く先は読者へ渡す感じもいい。

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夜の国のクーパー (創元推理文庫)の作品紹介

僕の住む国では、いろんなことが起きた。戦争が終わったんだ――猫は摩訶不思議な物語を語り始める。伊坂幸太郎10冊目の書き下ろし長編は、世界の秘密についてのおはなし。

夜の国のクーパー (創元推理文庫)のKindle版

夜の国のクーパー (創元推理文庫)の単行本

夜の国のクーパー (創元推理文庫)のKindle版

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