雪の断章 (創元推理文庫)

  • 983人登録
  • 3.84評価
    • (103)
    • (115)
    • (87)
    • (24)
    • (7)
  • 136レビュー
著者 : 佐々木丸美
  • 東京創元社 (2008年12月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488467043

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
有川 浩
有川 浩
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

雪の断章 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 孤児という理由で、引き取られた先の本岡家で虐めに遭っていた少女・倉折飛鳥。その窮地を救ってくれたのは、彼女が孤児院で暮らす頃から偶然の出会いを重ねてきた青年・滝杷祐也だった。祐也、家政婦のトキ、祐也の友人・近端史郎、同じアパートに暮らす森谷厚子たちと交流を重ねるうちに、本岡家での辛い日々が解れてゆく。しかし飛鳥と本岡家の縁は切れていなかった。本岡家次女・奈津子と高校で再会し、長女・聖子が同じアパートへ越してきた時に彼女はそう確信したのだった──。佐々木丸美さんのデビュー作、25年※の時を越えここに復刊。
    (※補足)
    1975年刊行の単行本(講談社)を大幅に改訂した、1983年刊行の文庫(講談社)から数えての年数です。
    (感想)2014年12月10日の日経新聞夕刊書評に紹介され、再び注目を浴びていることを知り再読。やっぱり何度読んでも本作が佐々木丸美さんの最高傑作だと思うわ〜。刊行された時代背景から祐也さんが歌う曲、若者の姿勢に対するトキさんの疑問、飛鳥を学生運動家と勘違いすること、孤児に対する世間の扱いなど、古い設定もあります。しかし、飛鳥が自然に敬意を表し、また本岡家に自分なりの指針のもと戦う姿に毎回惹かれ、このような些末なことは気にならなくなる。ようは本作にベタ惚れなんですが(笑)読者の大半は相手役の祐也さんではなく、飛鳥と同じ境遇に立たされて苦悩してきた史郎さんに惚れてしまうようです。一見ふざけた態度を振る舞うものの、仕事となると会社のため誠心誠意働くギャップは確かに良い。そして最後の手紙に一気に虜にさせることも同様。でも私は飛鳥を全面的に応援してしまい入り込むからか、祐也さんにメロメロです(笑)好青年で頭が良く、無駄のない発言や仕草のひとつひとつに飛鳥同様にときめいてしまう〜!でも飛鳥が家出した時に自信を見失い自暴自棄になる場面、周囲の人々が語る祐也さんの様子が特に好きです。「飛鳥あっての俺だ」には何度も悶絶してしまいます。続編となる『忘れな草』他で明らかになる祐也さんと飛鳥の素性を考えると、今後も2人には困難が付きまといますが、幸せな日々を過ごして欲しいと切に願います。

  • 日経で「一気読みできる」とあったので、読んでみた。
    一言で言うなら綺麗なアート作品だなぁという感想。景色や感情を独自の角度から豊富な語彙で描写していく作風には圧倒された。


    ただ、私には腑に落ちる表現ではなかった。
    単純に言葉で遊んでる感じというのか、自らの世界に落ち込んでしまっているというのか、そんな感じ。
    例えば「悩みの輪転機」っていう表現が出てくるが、言いたいことはわかるが、なんか読み手にはストンとこない。こんな箇所が多いと感じました。輪転機って体の外にアウトプットするイメージなんだけどな。

    ストーリーも私には合わなかった。主人公のような性格が苦手っていうのもあるかも。

  • 日本経済新聞社


    小サイズに変更

    中サイズに変更

    大サイズに変更

    印刷


    読書日記『雪の断章』 立て続けに推薦、運命感じて 作家 青崎有吾(2)
    2014/12/10付日本経済新聞 夕刊

     先々月、あるミステリ好きの学生さんとお会いした際、「ぜひ読んでください」と一冊の本を薦められた。読んだことのない本だった。佐々木丸美『雪の断章』(創元推理文庫)。







    「面白いです。ちょっと分厚いですけど、絶対一晩で読めます」


     それならば、とお借りしたものの、不精(ぶしょう)な性格がたたってすぐには読まずにいた。


     ところがその数日後。某イベントでビブリオバトル(プレゼン形式で本を薦め合うゲーム)を観戦していたとき、参加者の一人が採り上げた本を見て驚いた。同じ『雪の断章』だったのである。


     僕は手を上げ、「ある人からその本は一晩で読めると断言されたのですが、あなたもそう思いますか」と質問した。「読めます」。その方も自信を持ってうなずかれた。


     ほんの数日の間に二人の人から、同じ本を強く薦められることなどなかなかない。なんだか運命を感じてしまい、とうとう僕も読み始めた。


     結論から言おう。


     彼らの言葉は本当だった。夢中で読めた。紛(まご)うことなき徹夜本だ。僕も人に強く薦めたくなったし、それを今こうして実行している。


     雪の街札幌を舞台に、孤児の少女と彼女を拾った青年の、十二年に渡る葛藤を描いた染み入るような物語。今年の冬は、雪が降るたびこの本のことを思い出しそうです。

  • これ結構前に読んでたはずなのに登録わすれてた。
    読み終わるのがもったいない本だった。
    史郎さん……(´;ω;`)

  • 私が学生だった頃、北海道の若い女性にカリスマ的人気のあった佐々木丸美の代表作。
    仲のいい友達に何回も「雪の断章読んだことある?」と聞かれますが、今回初読みです。
    しかし、映画は観たの。若かりし頃。
    結婚する前の10さんが斉藤由貴が好きで。

    ♪さよならねって言いだしたのは~
     私の方が先だったのに~
     動き出す汽車 最後の握手
     まだほ~どけない~ 離せない~♪ってなシーンは、原作にはありませんでした。
    あの映画は何だったのだろう?

    それはさておき、面白かった。
    現実味は全くないです。
    お手伝いさん代わりに小学校低学年の子を引き取るなんていうことが、実際に行われていたかどうかはわかりません。
    しかし、20代前半の独身男性が、小学校低学年の女の子を引き取って育てるっていうことはさすがに当時としてもありえないでしょう。
    しかも、役所の人たちが全然様子を見に来ないし。

    それでも、二年間本岡家で虐めぬかれた結果、飛鳥の心のなかに頑なに人を立ち入らせない部分ができた事は確かで、その事が飛鳥を幸せから遠ざけてしまう。
    周りの人たちから何度も何度も「素直になれ」と言われても、なかなか治すことのできない心の殻。

    本岡家で過ごした二年間を忘れることができたら、素直に幸せを享受することができたらどんなにいいだろうと、一番強く願っているのは飛鳥。
    そして、私自身にもそんな頑なさとか、プライドの高さとかがあるだけに身につまされる。

    殺人事件は起きるけれど、事件の謎を追うよりも、自分の心を見つめることに主眼を置いたこの作品は、なんとなく三浦綾子の小説のようでもある。
    丁寧に書かれた文章は、ストーリーへの興味というよりもまなざしの繊細さに目が離せず、一気に読み切った。

    あと、『孤児文学』というジャンルがあるそうだけど、「赤毛のアン」「少女ポリアンナ」「あしながおじさん」「家なき娘」など、海外のそれは屈託を抱えている割には主人公が素直で逞しくて明るいのね。
    けれどこの作品とか「氷点」とか、あとマンガだけど「ひとりぼっち流花」とか「キャンディ・キャンディ」とか「はみだしっ子」とか日本のそれは、苦労とか不幸の波状攻撃で、なかなか幸せにたどり着かない気がする。
    文化の違いでしょうか?
    あれ?どれも作者が北海道出身って偶然?
    もう少しよく考えてみます。

  • 強情っぱりの主人公。
    こんなに自分の考えに固執していると、いつだって息苦しいだろうと思う。

  • ミステリーではなく、ヒューマン系だな。無理に殺人でなくてもよかった

  • とにかく美しい本だった。
    すっと自分の目の前に現れるような情景の描写と、飛鳥の気持ちが綺麗に絡み合っている。
    タイトルにも入っていて、本編に何度も出てくる、雪というものが、こんなにも様々な表情を持つ小説ははじめてであった。

    また、兎にも角にも言葉の使い方がひとつひとつ美しい。
    人間のエゴや、暗い部分の表現でさえも美しいのだ。
    佐々木丸美さんの作品はこれがはじめてであったが、他の作品もこのように美しいのだろうか。
    ぜひ読んでみたいと感じる。

    しかし内容的には、中々すっきりとはしない。殺人事件をわざわざ入れる必要はあったのか?孤児と、それを育てた親のすれ違いだけを描く恋愛小説でもよかったのではないか?史郎さんはなぜ自殺したのか?自殺する必要性は?
    など、納得行かない部分も多かった。

  • 今まで読んだ事がないタイプの不思議な感覚。
    孤児院から引き取られた先でいじめられ、その境遇から救い出され・・とつかみはシンデレラ風。

    繊細な気持ちの揺れ、動きを兎に角、丁寧に書いている。その繊細さを雪に照らして表現しており、雪の描写は非常に文学的で美しい。

    ストーリー自体はあまり大きく動かないが、突然、次の一行で展開が大きく変わったりする。
    でもジャンル的には推理小説。
    とにかく不思議な感じ。


    日経夕刊で、一晩で読める本と言う事で紹介されていたが、確かに一気読みできる系だと思う。

  • 幸せになってほしいなと小説の話なのに心から思った。
    飛鳥の祐也さんや史郎さんじゃなければ誰でもいいって気持ち、凄くよくわかった。偽善者呼ばわりされた祐也さんの気持ちもよくわかった。
    お小遣いくれたり、いつも飛鳥を庇った史郎さんの気持ちも。
    登場人物皆に感情移入してしまって、一気読み。おかげで一年近く読書出来ない病に罹ってたのがこの一冊で完全に治ってしまった。
    ちなみに私は史郎さん派。

  • 再読。かなり以前に読み、その時は凄く感動した記憶があったので、もう一度読んでみた。
    まだ大学を卒業したばかりの青年が縁もゆかりもない孤児の子供を引き取って一緒に生活するという設定は、女性にしてみたら憧れるようなシチュエーションで、光源氏と若紫みたいな昔からあるパターンだけど、子供を育てるお金や家政婦を雇うほどの収入はあるのか?とか余計なことが気になってしまった(笑)
    ヒロインも、こんなに強情で、生意気な子だったけ?
    なんて思ったり。
    若い頃、楽しめたものが楽しめなくなり、逆に前に読んだ時はそれほどでもなかったものを、今は面白いと想ったり、それだけ、自分が年齢を重ねたということなのだろう。
    表現が少し固くて古臭い感じがあるのは、昔の小説だから仕方ないかな。
    雪が降る情景などは美しいと感じた。

  • 飛鳥の抱える悲しみ、苦しみ、妬み、恨み…は、私が推し量るよりも、ずっとずっと根深いものだろう。
    誰しも、他人の本当の心の内はわからない。自分自身でさえわかっていないこともあるのだから…。でもきっと、「分かり合いたい」「分かち合いたい」と、互いに思いやる気持ちこそが大切なんじゃないかな。その点、飛鳥は苦境に立ちながらも、裕也さん、史郎さん、厚子さん、順子さん…彼女を強く優しく包んでくれる人々にめぐり会えて良かった。
    毒殺事件が起こり、ミステリー小説かと思っていたら、マルシャークの童話「森は生きている」を軸にして、交錯する人々の思いや、心の葛藤を描いた繊細なお話だった。

  • 4年前に見かけたとき表紙が好きだなと思ってた本。
    関東で雪が降ったのでなんか雪の本が読みたくなって購入。読んでるときにはもう雪溶けてたけど‥。

    文章や表現の端々から雪への愛が伝わってきます。「白」をイメージさせる文章です。いろんな意味で。
    飛鳥や裕也さん、みんないろいろな葛藤を抱えながら生きている。飛鳥の強情な性格や考え方は好きじゃないけど、この子かわいい。
    そして私は史郎さんとメロンジュース屋?のおじさんがすきでした。

    ページをめくる手が止まらなかった本は久々です。暇つぶしで読めない。

  • 孤児、飛鳥の辛い境遇、祐也との奇跡的な再会。そして同居。守ってくれる人のいる安心感。しかし、毒殺事件によって揺らぐ飛鳥の心。
    ミステリーであり、恋愛小説でもあり、飛鳥が成長するなかでの心の葛藤が痛々しい。

  • 精緻で詩のような文章。大人びつつも、ところどころ幼気なヒロインの心情描写は、多感な少女時代を経験したからこそ書けるものに違いない。
    ミステリーは本筋ではなく、かつて孤児だったヒロインの成長とそれを取り巻く大人たちの物語。少女漫画やら乙女ゲーム的と揶揄されかねない展開だが、散りばめられたリアリズムに胸が痛む。小説の登場人物に感化されたのは久しぶりの経験だった。

  • よ、よかった、最後に一気に収束した。あと残り数ページしかないとこまで来て、伏線回収できないんじゃないかとハラハラした。

  • いくら孤児とはいえ、あまりにも切ない純情物語。育ててくれた人を一途に愛し、守ってくれた人を一途に守る。入り乱れる心の果てに、最後は二つの愛を守り抜く。哀しいはずなのになぜかハートウォームな気持ちで読み終えた。

  • 読み応えのある小説だった。札幌旅行のお供にできて幸運だった。

    飛鳥が孤児院から出てから、祐也さんに育てられ、史郎さん、トキさん、厚子さん、順子など個性豊かな仲間たちに囲まれて成長していく日々を描いている。

    雪が印象的だ。純真なだけではない、厳しさや諦めも映し出す。飛鳥の憎しみと復讐心がひたひたと胸に迫る。強情と言われようとそれが飛鳥の心なのだ。
    祐也さんへの思慕を隠そうとして隠しきれない飛鳥。トキさんの鋭い瞳。気づかなかった史郎さんの想い。

    マツユキ草の物語が時折挟み込まれる。なんて詩的なんだろう。どろどろしているようでこんなにも透き通っている。札幌の冬の空気のように。
    飛鳥はその後どうなるのだろう。幸せになれるといい。誰も憎むことなく、自分と祐也さんを信じて生きていけるといい。そう祈っている。

  • 津原泰水の推薦で知り、結構期待して読んだのだが、どうにも合わなかった。
    叙景の美しさはわかるが、言葉遣い、男女の性役割、養子?に関する常識、などが現在とかけ離れすぎていて。
    全共闘、ロストジェネレーション、高野悦子、森田童子、あたりを連想しながら読んで、あとで調べると同年代。
    またミステリでは、ないね、これは。
    ミステリというのは基本的に読者へのサービス精神だと思うが、本書では中盤の何でもない推理がそのままどんでん返されない。
    偏屈な少女が、決して成長するわけでもないし、理屈をこねてばかりで結局は幸せに向かっていく。
    ああ、これは変型判「マイ・フェア・レディ」か。

  • 史郎さんの最期が突然で残念、

  • とても読みやすい本でした。

    飛鳥の性格は、順子と出会った最初のうちは割と好きだったけど…。確かに躾が足りなかったのかもしれないですね(笑)。

    最後の衝撃は、夏目漱石の「心」を思い出しました。

  • 読み終わったあとの感想が、綺麗な物語だな。って思いました。

    孤児の少女が施設から引き取られた先で理不尽な虐めにあいます。
    二年間辛抱したが自分は間違っていないのに仕事をさせられとうとう家を飛び出します。

    そこで出会った青年が彼女の人生を正しい方へと導いてくれる存在になるのです。

    何を信じて生きるのか、守りたいもの、大事な存在、ひとを愛すること、

    価値観が似ていて二人だったからやってこれたんだと思います。

    登場人物誰1人欠けてはいけないと思うほど
    少女を大事に思ってくれる存在がいたから
    彼女は成長できたんでしょうね。

    何度も読み返してしまうくらい大好きな作品です。

  • 自然の描写?がとっても多くて、それが物語の雰囲気を作っていた。いい意味でも悪い意味でも読み進めるのに時間がかかった。
    主人公はあまり好きじゃないなあ。と思った。そして結局可愛ければ物語になるんだなあ、と。別嬪さんならわがままでも心配ばかりかける娘になる。

  • 本屋で徹夜本というPOPを見て購入。この作者は初めて。
    ずいぶん前の作品だけど、今読んでもなかなか面白かった。
    徹夜本とまではいかなかったが文章が綺麗で読みやすく、映し出される情景が美しく感じたのでじっくり読んでその雰囲気を味わうほうがいいかも。
    内容も殺人事件は起きるがミステリー要素は薄く、人間ドラマ・成長物語・恋愛小説的なところが作品に合っていてよかった。
    ただ他の人も書いているが、自分も飛鳥のわがままさがあまり好きではなかった。そこが残念かな。
    機会があれば他の作品も読んでみたい。

  • 良い雰囲気ではあったけれど、主人公の気持ちが理解出来なさすぎてのめりこめなかった。
    理解出来ないような心の動きが表現されている、ということなのかも。
    160802

全136件中 1 - 25件を表示

雪の断章 (創元推理文庫)に関連する談話室の質問

雪の断章 (創元推理文庫)に関連するまとめ

雪の断章 (創元推理文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

雪の断章 (創元推理文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

雪の断章 (創元推理文庫)の作品紹介

迷子になった五歳の孤児・飛鳥は親切な青年に救われる。二年後、引き取られた家での虐めに耐えかね逃げ出した飛鳥に手を伸べ、手元に引き取ったのも、かの青年・滝杷祐也だった。飛鳥の頑なな心は、祐也や周囲の人々との交流を経て徐々に変化してゆくが…。ある毒殺事件を巡り交錯する人々の思いと、孤独な少女と青年の心の葛藤を、雪の結晶の如き繊細な筆致で描く著者の代表作。

雪の断章 (創元推理文庫)の単行本

雪の断章 (創元推理文庫)の文庫

ツイートする