チョコレートビースト: インディゴの夜 (創元推理文庫 M か 5-2)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488468026

作品紹介・あらすじ

なぎさママの店に押し入った強盗に、晶が投げつけたバッグには、四十三万円ことまりんが入っていた!?そのまままりんは強盗たちに連れ去られ、晶はホストたちと共に事件解明に乗り出すことに。表題作「チョコレートビースト」をはじめ、indigoに持ち込まれたストリートのトラブルにホスト探偵団が挑む。スタイリッシュな文体で、個性的なキャラクターを描いた、シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • インディゴの夜シリーズ第二作。
    これまた久しぶりの再読

    第一作よりも少しだけ事件はマイルドになったように思える。殺人事件は起こるものの、晶周辺への直接的な衝撃はない。

    前作では『多様性』について触れたが、この第二作では晶がフリーライターを選んだ理由について書かれている。
    『既存のレールに乗りたくない』からだが『この世界(出版界)でも生き残っていくには、結局限られた選択肢から一つを選ばなくてはならないらしい。矛盾を感じてなやむほどピュアではないが、それだけというのもなんだかなあという気はする』

    人生を重ねていけば当然様々な挫折や矛盾にぶつかるわけで、indigoという充分すぎる収入もあるから思い切りライター業にも邁進出来ているように見える晶にも様々な屈託はあるようだ。

    今作では塩谷の義理と人情に篤い部分が第二話で発揮されている。日頃晶に対して嫌味ばかり言っている憎まれ口男なのだが、良いところもあるじゃないかと思える。
    そう言えば最近読んだ最新作では塩谷はかなり人の好いおじさんになっていたような。案外そっちが本性で照れ隠しの憎まれ口なのかも知れない。

    憂夜は相変わらず謎過ぎるキャラクターだが、この第二作からハーブティにはまっていったのかと発見する。
    ファッションも王道系からマオカラースーツ、ネクタイの動物柄シリーズなど、晶同様、私も興味津々だ。
    晶が事件捜査で無茶をするたびに整った眉をひそめて丁寧な言葉遣いで説教をするのだが、驚異の情報通だったりカンフー技だったりとにかく頼れる存在の彼がいるから晶も無茶を出来るのだろう。

    そしてなぎさママの愛犬まりん(通称四十三万円)はチョコレート色した見た目は愛らしいぬいぐるみなのだが性格は狂暴そのもので特に晶に対しては敵意むき出しだ。なのに晶がまりんの窮地の原因となったためにまりん救出に奔走することになる。晶とまりんの関係は変わるのか否か。

    今回も様々な個性派ホストらが登場する。
    全身タトゥーだらけのKAZOO(カズ)に心臓病を抱える吉田吉男、『歌って踊れて金勘定も出来るギタリスト』を目指しているキャッシャーのジュン。
    特に吉田吉男のホスト選手権と手術の行方は気になった。続編で出てきただろうか。

    そして王道ホスト・空也もまたまた登場。
    彼の必殺技は『唇の両端をほんの少しだけ上げ』『代わりに目に力を込め、相手の視線を真正面から捉える』笑顔で、この技を使えば赤ちゃんから(多分)ご年配の淑女まで皆を虜にするのだろう。
    だが晶は毎度『私には通用しないから』と跳ね返している。

    冒頭にこの第二作はマイルドになっていると書いたが、第一話の最後の一文はハードボイルドっぽくて好きだ。
    『ほんの一瞬笑顔を交わし、私と空也はそれぞれの夜に向かって歩き始めた』
    それぞれが生きる道、生きる場所がある。だが時折互いに交錯しともに進む瞬間がある。
    それがこのシリーズの面白さの一つなのだろう。

    ※シリーズ作品一覧
    ★はレビュー投稿あり
    ①「インディゴの夜」★
    ②「チョコレートビースト」(本作)★
    ③「ホワイトクロウ」★
    ④「Dカラーバケーション」
    ⑤「ブラックスローン」
    ⑥「ロケットスカイ」★

  • インディゴの夜、シリーズ2作目。相変わらず読みやすく内容も各話ただただ面白い。

  • ホスト達と主人公の温度差もまた見どころかと。私は空也と主人公のコンビが好きです。
    おもしろかったので文庫版も買いたい。

  • 色モノ?ホストクラブclub indigoのオーナー晶と塩谷、ホストの面々が事件を解決!相変わらずどぎつい事件にクビを突っ込んでいるというか、巻き込まれているというかという感じだが、元気なホスト達や人情味のある晶、何だかんだで頼りになる?塩谷など、キャラクターが魅力的。憂夜さんの正体が明らかになる日はくるのか。
    吉田吉男の話はグッと来た。再登場を待つ。そして、なにげに活躍したのは塩谷さんであった。

  • 「インディゴの夜」に続く、シリーズ二作目にあたる作品です。
    前作はそこまではまらなかったのですが、今作の方が面白かったように感じました。
    マネージャーの憂夜さんは存在自体が謎すぎます。非常に気になる存在です。

  • なぎさママの店に押し入った強盗に、晶が投げつけたバッグには、四十三万円ことまりんが入っていた!?そのまままりんは強盗たちに連れ去られ、晶はホストたちと共に事件解明に乗り出すことに。表題作「チョコレートビースト」をはじめ、indigoに持ち込まれたストリートのトラブルにホスト探偵団が挑む。スタイリッシュな文体で、個性的なキャラクターを描いた、シリーズ第2弾。

  • 四十三万円は今日もお元気そうだ。
    そして吉田吉男が元気でいることを祈ってる。

  • 晶が経営するホストクラブには、裏の顔がある。やっかいな事件を解決に導く、夜の探偵団。4つの事件に挑む短編集。
    -----
    なぜだかシリーズ第二弾から読むことになってしまった…。読みやすいし、キャラクターも魅力的なのだけれど、展開が読めてしまうところがあったかな。気分転換に読むのがちょうどいいかんじ。

  • 『インディゴの夜』シリーズ第2弾。表題作はなぎさママの愛犬43万円ことまりんの誘拐事件。ツンデレなまりんちゃんが可愛い。第一弾よりキャラクターたちが生き生きしてきたかな。2012/603

  • 続編だったのか。ちょっと失敗。でもこんな設定もアリなんですね。憂夜に会ってみたいなぁ。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。2003年「インディゴの夜」で第10回創元推理短編賞を受賞しデビュー。同作は書籍化され大人気シリーズとなり、ドラマ化、舞台化、コミック化された。他著に「モップガール」シリーズ、「アー・ユー・テディ?」シリーズ、『チャンネルファンタズモ』『ご依頼は真昼のバーへBarホロウの事件帳』『風が吹けば』『桜田門のさくらちゃん』『学スクール園王キングダム国』『ゴールデンコンビ 婚活刑事& シンママ警察通訳人』「メゾン・ド・ポリス」シリーズ、『警視庁レッドリスト』などがある。

「2023年 『警視庁アウトサイダー The second act 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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