福家警部補の報告 (創元推理文庫)

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著者 : 大倉崇裕
  • 東京創元社 (2016年12月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488470074

福家警部補の報告 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「再訪」に続く第三集。

    今回収録されている三作品は全て中編ということもあり、前回より少し読み応えがあります。

    ”元同人仲間に干される漫画家”、”先代組長の遺志を重んじる元ヤクザ”、”法に変わって犯罪者に鉄槌を下すエンジニア”。程度の差こそあれ、それぞれに手を汚す理由があり、読んでいると切なくもなってきます。

    パズル要素は少なめで、どちらかというと人間ドラマに主眼を置いているのですが、福家警部補の飄々とした様子を思い浮かべながら読むと面白い作品です。

    収録されている作品のうち、個人的には”少女の沈黙”が好きです。

    この物語は、元ヤクザが、元組員に誘拐された2代目の娘を救うために行動します。完全犯罪を目論むというものでもなく、偽装といってもそれほど強くはないのですが、それがかえって潔く映り、ミステリとは違う面白さがあるんですね。ヤクザ相手に一歩も引かない福家警部補の振る舞いも良いですね。

    一方で、”女神の微笑み”というお話の結末はちょっと、腕を組んでしまいます。

    巻末の解説には、警部補のライバル登場、というような書き方がされているのですが、何というか自分の中で物語が解決しないんですよね。
    ライバルといっても、福家警部補の裏をかいて逃れたというわけじゃないですし。

    また、全体的に犯人を追い込むのが少し雑かな、という印象も受けました。
    それだけ犯人側の工作が甘いということなんでしょうけど、ミステリですし、もう少し手順を踏んでもいいのかな、と。

    とはいえ、今回も面白い作品でした。
    前回より少し長いので、これまで短編を読んできた方にとっては変化があって良いのではないでしょうか。

    オススメです。

  • 3篇の中編集.変わらず,粋な倒叙手法を楽しめる.刑事コロンボへのオマージュではあるが,しかし,単なるオマージュに終始せず,業を背負った人という存在への積極的な賛歌,あるいは救いのようなものを,福家警部補の冷徹な為人から感じる.

  • 倒叙モノが好きで、つい集め始めてしまった福家警部補シリーズの第3弾。解説の森谷明子さんのいう「本歌」はあれかな?と思うけど、すべて知っているわけではないので「本歌」ファンほどのワクワクはきっと得られなかったんだろうな。でも、「本歌」に手を出すきっかけになるはず。
    福家警部補シリーズは、倒叙モノの醍醐味である、福家の着眼点や犯人へたどり着く過程も良いし、きっと本歌取りも良いのだろうけど、実は聞き込みで出会う人たちと福家の、何気ない会話がとても良いと思う。福家に背中を押されたり、踏みとどまらされたり…今回の「報告」ではカメラマンとのシーンが最も印象に残った。こういう、シーンの積み重ねが(そして二岡くんの存在が)、福家警部補という人物を魅力的に見せていると思う。

  • キャラクター小説なんだろうが
    犯人側の矜持とも言える罪を犯した理由が
    明らかになった時、重く心に突き刺さる。

  • わあああ文庫版出ていたああああ
    と 本屋さんで発見即購入 翌日読み終わってしまった…。

    ライバル出現 てことは 続編もある!

    ※余計なツッコミ
    ただただ残念ながら、
    「どんなに卓越した画力の持ち主であろうと、同じ構図の絵やサインをぴったり正確に何枚も書くことは「不可能です」…。
    鑑識の調査はもちろんデジタルでしょう、ピクセル単位で照らし合わせたならば(サンプルの解像度にもよりますが)、最初と違うサイン本が紛れているのは、あっさりと解ったと思われます。二岡さんの調査で恐らく、確証はとれたと思います…。
    不可能だからこそ世の中トレパク検証して大得意になる輩が跋扈しているのですわ。
    (トレス技法そのものは悪くありません。トレス元が版権フリーかどうかの問題です)

  • う~ん、面白いです。

    福家警部補のキャラが、中々掴みにくいんですよねぇ。福家警部補のセリフは、頭の中では低めのだみ声っぽい感じなんですが、作品中で福家警部補が話すときに“鈴の音の様な”と言う形容が有るんで、だみ声では無いのかと思ったり、なんとも掴みにくい。なんでもお見通しだし、サブカルチャーから、マル暴の裏の世界まで、色々通じていたりと、なんとも不思議。

    それでも、彼女の捜査能力は驚異的。それでも、今後も出てきそうな犯人も出現して、今後の続編に期待大です。

  • じつに面白かった!収録作品は「禁断の筋書」「少女の沈黙」「女神の微笑」。とくに「少女の沈黙」は中編ともいえる長さ。福家の追求から逃れる犯人との知的格闘はいっきに読ませます。また本作はヤクザモノとしても面白いです。最後の「女神の微笑」ではライバルともいえる人物が登場。次作以降どう絡んでくるのか気になります。いずれにせよ「楽しかったわ。また会いましょう」

  • このシリーズで一番の面白さ。
    あの須藤さんが出てたりと、なかなか楽しめます。

  • 福家警部補は好きな探偵役の5本の指に入る人物です。しかしこのシリーズは倒叙型のスタイルなので、福家警部補自身の描写は少ないのですね。犯人側もしくは事件の関係者から見た福家警部補の姿が描かれるだけです。おっとりしているようなとぼけているような様子からズバズバと犯人を切り崩していく姿は痛快にしてかっこいいのですが、今作では福家警部補の怖さが際立ちました。もしや天然ボケやら容姿への無頓着さもわざとなのではないかとさえ思わされました。
    もう勘弁してあげてと読んでいるこちらが音を上げそうになる容赦のなさは、どこからくるものなのか。「職務ですから」と答えそうな気もするのですが、そこも気になるところ。しかしその真相よりも、話ごとに出て来るマニアック(オタク的)趣味の発露やあらゆることに動じない姿を楽しむことにしましょう。

  • このシリーズ好きです。でもこれが最後っぽい。

    福家警部補のように、ぐうの音も言わせない証拠を丁寧な言葉で突きつけられると、犯人はさわやかに降参できそう。たぶんないけど、自分が逮捕されるようなことがあればこんな刑事さんに逮捕されたいです。

    短編と長編の間の中編というのかな、読みやすいボリュームで大満足でした。できれば続編を。。。

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福家警部補の報告 (創元推理文庫)の作品紹介

天才的技倆を持った漫画家と彼女を潰しにかかる出版社の辣腕営業部長、もとは同人誌で合作していた二人が不幸な結末を迎える「禁断の筋書」、ヤクザが仲間割れのあげく相討ちしたように偽装された殺害現場に佇んでいた栗山比奈が目撃証言を拒む理由とは……「少女の沈黙」、息子なきあと一見穏やかな日々を過ごしている老夫婦が悪党どもを爆弾で吹き飛ばし、官憲の捕縛を逃れて痛快なメッセージをよこす「女神の微笑」、以上三編を収録。

福家警部補の報告 (創元推理文庫)はこんな本です

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