魔都 (創元推理文庫)

  • 113人登録
  • 3.80評価
    • (1)
    • (6)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 10レビュー
著者 : 久生十蘭
  • 東京創元社 (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488471118

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村田 沙耶香
ピエール ルメー...
青崎 有吾
恩田 陸
京極 夏彦
ジェイムズ・P・...
有効な右矢印 無効な右矢印

魔都 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • 幻想的な昭和の東京の大晦日から元旦にかけての短時間に起きた出来事を多方向から。
    「作者」目線で物語が進められていくのはかえって新鮮?
    結局はやくざ崩れの抗争でしかなかったというのが肩透かし感なのだけど。
    悪役か、という風貌の真名古が結構、人間味のある人で、重要な役どころであった加十の呆気ない死に様にちょっと残念。

  • 探偵小説であり、幻想小説であり、怪奇小説であり、冒険小説であり…ミステリでもある。

    ルポタージュ風の語り口が独特。物語と世界観の妙を引き立てている。毎度、章のはじめに前回の説明があるのだが、作者の言い訳がましい解説やら補足は微笑ましい。

    不可思議な謎はどこへ行く?事件の謎は、大きな拡がりをみせて、あらゆる方向へ…畳みきれないのね。この熱量はどこへ発散しようか笑

    世界にどっぷり浸かり、味わう。に尽きる作品。そこには、ミステリの概念だけでは言い尽くせない、小説の楽しみと感動が詰まっている。

    文体の読みにくさもあり、とても時間がかかってしまった。それだけ長くこの世界を堪能できたことは幸せという他ない。

    奇書の定義はわからない。が、ミステリ好きに勧めるべき作品ではないと思う。

  • まるで知らない時代の話だけど、郷愁を感じてしまう様な、ストーリーや文体の総てが戦前の昭和そのものを冷凍保存した様な感じ。
    それでいて今読んでも普通に面白いから不思議。

  • 特徴的だが読みやすい文体。

    眞名古は、よその探偵みたいにもったいぶらないし、頑固だけど上下関係の礼儀は通すし、かと思ったら信念を貫く度胸もあるし、朗読の声はいい声らしいし、すべてがかっこいい。
    加十は愛嬌もあってかわいい。
    そんなすてきな二人がああなるのだから、魔都はまさしく魔都なんだろう。

    あと作者! ちょいちょい地の文に登場しては、登場人物が勝手に動くだの、想定外なんですだの謙虚さアピールするのやめてほしい笑。出てくる人間、みな魅力的だよ。紛れもなく作者の技量のたまものだよ…!
    アメリカ打撃王の名前は適当過ぎ。

  • 次から次に起きる怪事件と、現れては消える多彩な登場人物、全体像を捉えがたい複数の事案と魔都東京の姿を、思わず読み上げたくなるようなリズミカルな語り口で鮮やかに描き出している。
    謎はあってもミステリーとは言い難く、アクションはあっても冒険小説とも言い難い、不思議な味わいのある小説。

  • 新青年での連載版を校訂して出版、ということで作品自体は既読ですが東京創元社版も購入(ありがとうございます)。
    昭和9年の帝都東京が持つエネルギー、群像劇に翻弄されながら物語の中を漂う楽しみ。良いですね。あと、講談調といいますか、作者がチラホラでてくる語り口調の物語(解説では「譚」とふれられてましたが、まさに)黒岩涙香の流れだなぁと思いました。

    表紙のイラストが作品の雰囲気に合ってて凄くステキです。

  • ★4.0
    昭和9年の大晦日、帝都・東京を舞台に繰り広げられる30時間の冒険活劇。殺人事件や様々な謎が発生するものの、そのトリックに重点が置かれているわけではなく、昭和9年の空気感に酔いしれ、久生十蘭のリズミカルな文章に乗れればそれで良し!な1冊。また、実際には埋め立てられているらしいけれど、東京の地下に無数の暗道があったなんて浪漫が広がる。それにしても、新聞記者・古市加十と警視・眞名古明の行く末にただただ驚くばかり。特に前者については、それまで抱いていた愛着がものの見事に裏切られた。久生十蘭、恐るべし。

  • 久生十蘭の代表作。
    探偵小説というよりは、群像劇っぽい冒険小説といった趣で、巻末解説にあるように『フェア・アンフェア』を重視するタイプの作品ではない。本書の魅力は十蘭の文体そのものだと思う。

  • ずっと朝日文庫でも絶版だったものが創元推理文庫から復刻!実はすでに青空文庫でも読めるのだけれど、どうもやはり長編は紙の本で読まないと頭に入ってこないもので、書籍化嬉しい。そんなわけで念願の魔都。

    事件は昭和9年の大晦日から元旦にかけて、500頁くらいあるけど、実質物語の中の時間は二日間かな?とにかく登場人物が多い上に各々の肩書もややこしく、覚えきれなくて大変。場面があちこちに飛ぶから時間の経過もわかりにくいし、何より謎のすべては解き明かされない(苦笑)十蘭先生の講談口調の文体は好きだけど、それは作者も知らない、と言ってみたり、かと思えば○○くんは非業の死を遂げる的なことを先にネタバレしちゃったり、自由すぎる(笑)謎がとけてすっきり!なミステリーというよりは、この十蘭先生の語り口と、当時の帝都東京の空気感というか、まさに「魔都」とでもいうべき猥雑で混乱した時代の空気と細部を楽しむのがきっと正解なのでしょう。

    一応主人公と呼ぶべき人物は二人。一人は三流新聞記者の古市加十。大晦日の晩、たまたま連れ込まれたバー「巴里」で、お忍び来日中の安南国の王様と知り合い、彼が愛人・鶴子を囲っている有明荘という高級アパルトマンに招かれるも、その直後に鶴子が死に王様が失踪したことで、事件に巻き込まれてしまう。記者という職業柄、巻き込まれながらも独自の推理をすすめる古市に対し、もう一人は王様失踪事件の調査を命じられた警視庁の真名古警視。敏腕刑事だけれど融通がきかず真面目すぎて上からは嫌われるタイプ、見た目も性格もおよそヒーロー的造形とは程遠い死神系(笑)でも部下からは慕われている。

    この二人がそれぞれ事件の謎を解き明かそうとするも、ちょいちょいミスリード、さらに有明荘のうさんくさい住人達複数名に、警察のおエライさんや政治家、古市の上司である新聞社社長とその愛人の父、王様の部下や王様に恋するお針子、安南国の利権を争う建築会社=ヤクザの親分子分たちまで入り乱れて、王様の持つダイヤモンドをめぐってそれぞれの思惑が絡まり合い、たいへん複雑な展開。

    日比谷公園の噴水の鶴が歌ったり、時計台に死体が吊るされたり、帝都東京の地下に迷宮があったり、奇想天外でファンタスティックな要素はとても好きだし、悪人だと思ってた人がそうでもなかったり、逆にまさかの人物に裏の顔があったり、二転三転、飽きずにぐいぐい読んでしまうという意味では抜群の面白さ。ただ順序だてて謎解きされないので、え、結局真犯人は誰で、何が目的でどうなったの?ていうか、あの件(伏線)はどうなったの?という回収されないモヤモヤがいっぱい残る上に、謎とき役の二人がいずれも全然報われないのが可哀想。これが一般的な推理ものなら、事件を解決した記者と刑事はヒーロー、事件を通じて知り合った可愛い娘さんとハッピーエンドになりそうなものなのになあ。十蘭先生はいつも登場人物を不幸にしてしまわれる(苦笑)

    余談ですが安南国ってどこかと読む前に調べたら、当時のフランス領インドシナ、現在のベトナム。なるほどマルグリット・デュラスの小説でいつも舞台になっているあの国ね、と納得したところで結果、王様の顔が髭をつけたレオン・カーフェイ(※デュラスの「愛人(ラ・マン)」映画版キャスト)でしか浮かばなくなりました。それはさておき、きちんと伏線を整理して映画化とかしてくれたら一大娯楽作になりそう。

全10件中 1 - 10件を表示

魔都 (創元推理文庫)の作品紹介

日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか――昭和九年の大晦日、バーの片隅で交わされる噂話を端緒に、帝都・東京を震撼せしめる一大事件の幕が開く。安南国皇帝の失踪と愛人の墜死に巻き込まれた新聞記者・古市加十と捜査に臨む眞名古明警視、二人を待つ運命や如何に。「小説の魔術師」久生十蘭の代表長編にして、探偵小説史に燦然と屹立する金字塔的作品。新改訂版で、創元推理文庫に遂に登場。

魔都 (創元推理文庫)はこんな本です

魔都 (創元推理文庫)のKindle版

ツイートする