少女には向かない職業 (創元推理文庫)

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著者 : 桜庭一樹
  • 東京創元社 (2007年12月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488472016

少女には向かない職業 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ページをめくる手が止まらず、一気読み。

    しかし、なんて切実で、
    美しく痛い小説なんだろ。

    やはり桜庭さんの小説は
    自分の琴線に触れまくる(>_<)


    島に閉じ込められた少女たちの
    ジリジリとした焦燥感と苦悩、
    大人たちへの嫌悪、
    ガラスみたいな音を立ててパリンと割れる少女の心、
    追い詰められた者たちの咆哮が
    文章の隙間から聞こえてくる。


    山口県の小さな島に暮らす
    中学二年の主人公、
    大西 葵は
    育児放棄した美人のママに疎ましく思われ、
    お酒を飲んでばかりの義父を
    殺してやりたい衝動に駆られる。

    ある日、葵は
    学校では地味な図書委員だが、
    私服ではゴスロリファッションに身を包む
    宮乃下 静香という不思議な少女と出会い、
    やがて殺人の共犯者となっていく…。



    言わなきゃいけないことを
    いつも言えずに、

    アル中の義父に
    虐待を受けながらも
    強くて優しい大人になりたいと願う葵と、

    大人になるまで目立つことなく
    息を殺して生きなきゃいけないと願う静香が
    本当に切ない。


    大人たちからの理不尽な制圧から
    なんとか生きて抜け出すために
    殺人を犯していく
    愚かで悲しき少女たち。


    同級生への淡い恋心と併せて
    思春期特有の残酷性や
    葵の心の揺れなどを
    克明に描写したリアルさは、
    少女を書かせれば
    右に出る者はいない
    桜庭さんの真骨頂だし、

    貴志祐介の「青の炎」やサガンの「悲しみよこんにちは」との共通点や、
    「わらの女」や「悪魔のような女」など
    様々なミステリー小説のオマージュが散りばめられたストーリーも
    読書好きにはたまらない魅力でしょう。


    大人たちに弄ばれる弱者の
    反逆とあがき。

    お互いを救うために
    絶望的な闘いへとひた走る少女たち。


    いい歳をしたオッサンが
    静香が葵のことを誇らしげに話す
    物語終盤の言葉に
    不覚にも胸が熱くなってしまった…



    大人は判ってくれない。

    血にまみれた絆であっても
    生き抜くために
    固く固く繋がる二人を
    誰が笑えるだろう。


    誰もがみんな13歳だった。

    少女たちは大人たちと
    どう闘い
    どう散っていったのか。

    エモーショナルに胸を撃ち抜く
    ラストシーンを
    いつまでもいつまでも
    忘れることはないだろうと思う。

  • みなさんおっしゃってますけど、女子中学生版「青の炎」ですね。

    この話の中で私が一番「死んだ方が良いのでは?」と思ったのは、主人公・葵の母親です。
    話の噛みあわなさや、親として人として弱く人に迷惑を掛けているのに権利だけ主張してくる所がイライラしました。
    でもこの主人公は母親のことは好きなんだよね。そこが一番心に痛かった。

  • なんとも稚拙で愚かで不安定な2人の少女がよく書けてるなぁと思いました。
    2人は過激な表現や暴力的な言動があっても、根っこは純粋で繊細で弱っちい。呆れるほどに子供。

    これはミステリーではなく、中学生の、少女の魂の脆さを味わう小説だと思います。
    展開の安っぽさも、それが2人の未熟さを演出しているようで、いい味わい。

  • 女子中学生版の『青の炎』が頭に浮かぶ。
    でも大きく異なるのは櫛森少年が綿密な電子工学を駆使した完全犯罪の企てに対し、彼女達は衝動的に鼠取りを仕掛けるような陳腐な発想と流されるがままに人を殺めてしまう。
    物語の舞台は漁師町。母親の再婚した義父はアル中・虐待・ヒモ の3拍子揃いからして大筋は読めてしまいますが、殺害後の徐々に追い詰められていく描写が秀逸です。
    学校では本当の自分とは真逆の道化に興じる裏側に潜むSOSの声…。ゲームに出てくる武器との絡みも大人でもなく子供でもない彼女達にリアリティをもたらし、アイテムの使い方が巧いな~と唸ってしまった。

  • 桜庭一樹は二冊目。読みやすく、すらすら読めた。自分の立場を守るために家と学校で自分を演じ分けていた主人公が、自分の犯した罪や年頃の少女特有の人間関係によって追い詰められていく様子が綿密に描けている。弱者である彼女たちは仲を深めていく中で静香の考える計画に沿って殺人を目論む。しかし、未熟な少女たちの計画が何もかもうまくいくはずもなく悲劇的なラストへ向かう。砂糖菓子のほうが評判はいいようだが、奇妙な信頼関係を育みながら、罪を犯してまで生きようともがき続けた彼女たちに私は軍配を上げたい。

  • なんて救われないラスト…。アル中オヤジの殺害を企てるというのは貴志祐介の『青の炎』を思い出した。桜庭一樹はやはり少女の描写に長けている。中途半端なお年頃の中学生たちの危うさが丁寧に書かれている。ふたりは加害者であると同時に被害者だったのだから。誰か彼女たちに救いの手を差し伸べる人がいてほしかった。2011/313

  • 今まで読んだ桜庭一樹の中では薄くて、似たような感じ。
    浩一郎さんと静香のキャラが…描写(主人公が感じる畏怖)と実際の2人が噛み合っていない印象を受けた。

  • 現実的に見ると、確かに、「殺人者」とは、少女には向かない職業かもしれない。
    けれど、虚構の世界なら、少女程「殺人者」に向くものは無いのではないかな、と、ふと思うのです。

    後、斧を振り下ろした相手が、実は地球に侵略してきた宇宙人なら、大槻ケンヂ。
    斧を振り下ろす瞬間で物語が終わったのなら、嶽本野ばら、かな、とも思いました。

    内容そのものも面白かったのですが、それとはまた別に、大晦日に、大晦日で終わる小説を読めて、良かった。

  • 一般的で心に闇を抱えてる少女とミステリアスな少女な構図は砂糖菓子の弾丸はうち抜けないと一緒だけど、内容的には及ばない印象。
    物語に救いがないし、どん底の絶望感も物足りないかな。
    でも、文章はいつも通り好き。

  • 義父をトリックを使い殺害してしまった少女、大西葵。
    その友人の宮乃下静香。

    甘い乙女時代と揺れ動く女の血。
    儚いはざまに生きる限定の時期。

    切ないなー…。少女でいられる時間は儚い。
    それでいて、だから甘酸っぱい。


    殺人バトルアックスは少女には必要ない。

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少女には向かない職業 (創元推理文庫)の作品紹介

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから-。これは、ふたりの少女の凄絶な"闘い"の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。

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