少女には向かない職業 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M さ 5-1)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488472016

感想・レビュー・書評

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  • 初めて桜庭一樹さん読みましたが、良かった!
    すごく読みやすくて、スピード感もあって、面白かったです。

    2人の少女の境遇や、中学生ならではの友達や大人に対する感情・悩みに懐かしく思ったり、ハッとさせられたり。
    たった10年前なのに、その頃「なんでわかってくれないんだろう?」と思っていたような、大人になり始めているかもしれない、とドキッとしました。

    ストーリーはもちろん、小さな島の美しい光景が目に浮かぶような丁寧な描写も素敵でした。

    2人の女の子の未来に少しでも光がありますように、と願わずには居られません。

  • 島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う―強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。中学2年生の1年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した-。これは、ふたりの少女の、血の噴き出すような闘いの記録。痛切なストーリーが胸を抉る衝撃作。
    田舎町や表面だけの学校の友達そしてアル中の義父に嫌気がさしていた大西葵は、ゴスファッションの優等生・宮乃下静香に導かれて、残酷な遊戯に手を出し始める。絶望的な状況に完全犯罪を武器に戦う青春ミステリー小説。
    葵の「強くなりたい」と願う閉塞感と葛藤、同志愛的な友情に共感しました。天才的な静香が葵に完全犯罪のトリックに必要なものとして用意させるのが、すりこぎや菜種油や冷凍マグロだというおまぬけさが、ゆるいユーモアを醸し出し、ユニークな青春ミステリー小説に仕上がっています。

  • 凄まじかった…!中学生の繊細な描写が上手すぎる。自分が中学生だった頃を思い出し、あの時の苛立ちや葛藤を久々に体感した。
    共感したりハラハラしたりと、とても忙しなく読み進めてしまい、一息着く間もなく読み終わってしまった作品。面白かったです。

  • 桜庭一樹は私の波長に合うのかもしれない。
    この小説も非常に面白く1日で読み終えた。
    少女の中に潜む狂気が友人関係の歪みによって目覚める負の青春小説。最初の段落は現在の立ち位置での告白なのだか、現時点の彼女たちはどうなっているのか?

  • 面白かった〜!5年以上の積読が嘘のように、さくさく読めました。確かに内容は重いけど、続きが気になって読み進めたくなるおもしろさ。
    主人公の置かれている状況、島自体の閉塞感がより感じられる空や海の描写で、なかなかすごい。「おぉ」という描写がいくつかあったけど、控えていなくて忘れました。

  • 友達と一緒だとおちゃらけて明るいけど1人になると悩みやなんだかんだで混沌としてる感じ!
    あの頃をちょっと懐かしく思いながら、2人の登場人物をながめてました。
    反面、そんな彼女たちと殺人、っていう非現実とのバランスがすごい。
    完全犯罪にはならなくて、ツメが甘いのも彼女達らしくて…なんかホッとしました。

  • 女子中学生の壮絶な闘いの記録

    桜庭一樹だから、楽しい物語ではないと思ってはいたけどさぁ……

    ダークなラノベ
    田舎のいやらしさ、思春期の少女たちの人間関係の面倒くささが描かれている

    冒頭、主人公の大西葵が宮乃下静香と共に人を二人殺したという独白から始まる

    教室ではひょうきんなキャラを演じつつも、仲間内に波風をたてないように振る舞っている大西葵
    家では、怪我をして以降は常に飲んだくれている義父と、自分がいるせいで自由が制限されると常に愚痴を言う母親に気を遣いながら生活している
    オカッパメガネで地味な印象のクラスメイト宮乃下静香と交流をきっかけに、大西葵の生活は変化を迎える


    特徴的な章タイトルがいくつか
    「用意するものはすりこぎと菜種油です、と静香は言った」
    「用意するものは冷凍マグロと噂好きのおばさんです、と静香は言った」
    「用意するものはバトルアックスと殺意です、と静香は言った」

    本文中に登場するセリフそのもの
    この言い回しや、章タイトルにするあたりもラノベっぽい


    それにしても、葵の境遇よ……
    人によっては鬱小説と言うのもわかる

    だけど、葵には救いがあるようにも思える

    義父に対する静香
    優しい警察官
    気遣ってくれる友人
    わだかまりなく接してくれる颯太
    何だかんだ言いつつ娘を心配する気持ちはある母親
    静香による本心の評価の叫び
    ラストの行動

    この後を想像するに、最悪な展開にはならなかったとは思いたい


    スパルタの狐の寓話
    狐を盗む事は避けられなかったけど、その後に我慢して隠して死ぬことはなかったという事でしょうか
    ま、その前の境遇があれなので、そこはどうしようもないんですけどね

  • 少女七竃と7人の可愛そうな大人の後に読んだため、温度差が激しく、読むのにすこし苦戦した。
    文自体はすらすら読めるが、内容が重い。
    読むにつれて新事実が浮き彫りになるのが面白かった。


  • 重荷と思わないで。なるべく軽くなるから。

    正直このお話の中の一番の悪は葵の母親だと思う。
    それでもシングルマザー(途中からだけど)の娘には、子供の話を聞かないかと思えば「無口な子」と言い放つ母親しかいなかったと思うと辛い。

    ファミリーポートレートのマコのように不安定な親に振り回される子供のお話は心が痛い…

  • 島の美しい情景と、少女の鬱屈とした感情と
    少女は2人、殺す
    自分のためと誰かのため
    大人は沢山考えてると言うけれど、子どもたちだって考えて傷ついて、沢山の試練に立ち向かっているんだ

    桜庭先生の描く少女たちは本当に心の動きが繊細だ、美しい

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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