赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

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著者 : 桜庭一樹
  • 東京創元社 (2010年9月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488472023

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 米子に旅行に行っている間、ずうーっと読んでいた。そして2日で読み終わった。「こんなの、読んだことないっ」という気にさせてくれる面白さ。作中の鳥取弁が、異国の赤い言葉に聞こえる。ここであって、ここでない世界。ようこそ、ビューティフルワールドへ。

    語り手の瞳子の祖母・千里眼の万葉と、母・漫画家の毛鞠。それに比べて、現代の語り手である瞳子の、なんとふわふわと薄っぺらいことだろう。
    そう嘆きたくなるくらい、万葉と毛鞠の時間は謎めいた驚きに満ちている。時代とともに駆け抜けていく彼女たち、しかしそこにはまだ知らないもの、見たことのないもの、そして出会ったことのない人とのまだ見ぬ出会いがある。未知であることが不思議を生み、希望を生む。それらは時に残酷で、恐怖ですらあるけれど……それでも見えないからこそ、立ち向かえることもあるのだと思う。

    わたしたちは、悩み多きこのせかい、広大でちっぽけなこのせかいに生まれた。周りは自分と同じような人ばかり……なんでもできるけれど、特になにもできない。どこに行けばいいの? わたしはこのせかいで誰なの? 
    それでもわたしは、真っ赤なこのせかいで生きていく。せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。

  • やっと、読み終わりました~っ。

    戦後の昭和から平成の今までを生き抜いた、女三代の生き様を書いた小説です。

    あとがきにもあったけど、有吉佐和子さんの『紀ノ川』みたいな感じをミステリー調に仕上げた本だな~。
    でもミステリーというよりは、ドラマを読んでる感じ。

    社会背景を踏まえながら、その時代に生き抜いた女の有様とその女に絡んだ男の生き様をとてもよく表現してると思う。
    物語は一見すると淡々と語られてるように感じるんだけど、要所要所でスパイスが効いてて私は楽しめた。

    私の時代は毛鞠を一緒なんだけど、読んでると万葉の時代がとても面白かったし、この本は彼女を中心に書かれてる気がするな~。
    一番つまらなかったのは、瞳子の時代。

    ミステリーさは、ほんとに最後の方にしか出てこないんだけど、でもこれはやっぱりこの長い前置きを読んでからじゃないと分からないんだな~。
    仮に「万葉が殺した」という死体の正体が早々分かっちゃっても、当人の心理描写や万葉との関係は、最後読むまで分からない。
    なんか、最後は胸があつくなった。
    最後、やられたな~~~。

  • 昔の話でなんだか現実だか幻想だかわからないような不思議な話が読みたい、とつぶやいたら友達が貸してくれた。
    たしかにそれっぽい。
    読みごたえもあって、時々出てくる文章にはっとさせられる。

    あらすじ
    ”辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の”千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに書き上げた稀代の雄編。

  • 鳥取県紅緑村に構えるお屋敷、赤朽葉家の女3代の物語。
    村の描写や現実の流れ(オイルショック、バブル崩壊、家庭崩壊など)、人物の描写台詞すべてがばちっとはまった感じ。

    昔のジブリ映画観てるような感覚だった。

    物語の強さや現代の物語のお役目など、読みながら考えたこともたくさんあった。

    物語のための物語といったおもむき。

    桜庭一樹は少女向け短編よりも「私の男」とか「赤朽葉~」みたいな濃厚な長編がいいな。

    暗さを持たせずに惹きこむ感じも良かったと思います。

    語り手である現代の瞳子の空虚な感じが暗いといえば暗いが時代背景とのバランスが取れてると思いました。

  •  桜庭ー樹の初期の代表作を書け、と編集に言われた。さらに、桜庭さんは全体小説が書ける人だと思います……
     そう言われて、大きな物語を書くことにワクワクして書いたのが本作である、と作者は語っている。
     そうして本当に代表作を紡ぎ出した手腕は見事。さびしい山だしの娘が語る素朴さと、山陰の暗さと赤朽葉のあざやかさ。楽しい読書だった。

  • めっちゃ面白い。
    こんな小説初めてです。
    すっかり桜庭一樹ファンになった!!
    女性作家ぽくない骨太な小説。
    海外ミステリーを知り尽くしている著者。
    うなずけます。
    まさにそれが裏付けるようだと思いました。

  • 先週末に「私の男」を一気読みしてあまりに面白かったので、文庫版解説で北上次郎さんが強く薦められていた「赤朽葉家の伝説」を購入して、これま面白くて一気読み。

    これは好き好きだけど、「私の男」よりこちらの作品のほうが心に残っていく一冊。作家自身のあとがきに「担当編集から初期の代表作品をつくりましょう」というプレゼンから生まれたというだけに、まさに力作。

    作家自身は、ガルシア・マルケス「百年の孤独」やヴァージニア・ウルフ「オーダンドー」などが書き始める前に抱いたイメージだったとあったが、個人的な読後感としては、ジョン・アーヴィング「ガープの世界」「ホテルニューハンプッシャー」なども頭を過った。

    またこのような作品を「全体小説」と呼ぶということもこれまで知らなかったのでググってみると、中上健次三部作「岬」「枯木灘」「地の果て至上の時」などがジャンル的にはその代表作ということで、なるほどなあという想いに駆られる。それで言うとこの作品の第一部は「鳳仙花」にも雰囲気がとても近い。

    「全体小説」は好きなジャンルなんだと知れたので、しばらく漁ってみたい。全体小説について解説されているサイトで、高村薫「晴子情歌」は中上三部作の影響を感じるという感想があったので、まず読んでみたい。

  • 鳥取の旧家・赤朽葉家の万葉、毛毱、瞳子という女三代の壮大な物語。ほとんどの話が屋敷の中と周辺で展開するのに、本当にスケールの大きな物語を読み終えた気分だ。万葉の秘めた思いと、冒頭に出てくる「未来視」の謎が最後に解けた時には何とも言えず切ない気持ちになる。時代に、社会に翻弄され、でも必死で生き、その生を全うする人たちの強さを見た。目を閉じればそこに、巨大なお屋敷とそこを出入りする人々が浮かんでくるようなリアルさと、なんとも言えない不思議さが同居した物語で、桜庭一樹作品特有の美しい余韻が残る。

  • 題名から推測されるように、おどろおどろしい脚色でありながら、尚且つどこかコミカルな雰囲気もある長編小説です。伝説とあるように時代背景は1950年代、場所は山陰地方の辺境と称される一帯が話の発端になります。語り手は、この地で財をなした旧家、赤朽葉の系統者であるわたし、赤朽葉瞳子、彼女はその祖母、赤朽葉万葉の生きた時代、その母、赤朽葉毛毬の生きた時代、そして今の自分のことと、過去から未来に向けて三代に亘る一族の尋常ではない軌跡をたどります。
    祖母の万葉の超能力ともいうべき、「千里眼」、10歳の少女がその時視えた未来がこのお話をひもとく鍵になっています。
    祖母や母、その兄弟友人など登場する人物も多く、さらに時代の移り変わりと共にその時代の出来事などの記述も多いので、散漫になる部分も否めませんが、祖母、母も亡くなり、残ったわたしが、祖母の「遺言」ともいうべき言葉の謎を探る辺りになると、急に視界が開けた感じになります。

  • 戦後から現代までの日本を軽快に描いています。
    人が時代を動かしているのではなく、
    時代に人が翻弄されているように感じました。
    「ようこそ、ビューティフルワールドへ」という台詞は胸にくるものが…。
    旧家に生きた祖母、母、わたしと続く三世代の物語です。
    面白おかしくもあり、赤朽葉家の人々のつながりや生き様に、
    じんときたりします。
    近代から現代にかけての歴史的背景を織り込みつつも、
    伝説とか神話が似合うファンタジーで、とても読み応えがあり、
    濃密な時間を過ごせました。
    時代の大きなうねりと主人公の生きざまが自然に
    リンクしている迫力あるエンターテインメント小説です。

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赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)の作品紹介

"辺境の人"に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の"千里眼奥様"と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。-千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。第60回日本推理作家協会賞受賞。

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)のKindle版

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