家庭用事件 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 497
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488473075

作品紹介・あらすじ

市立高校に入学したばかりの頃は、こんなにも不可思議な事件に巻き込まれて、波瀾万丈な学園生活を送るとは、僕は想像だにしていなかった――。『理由あって冬に出る』の出来事以前に映画研究会とパソコン研究会との間に起こった、柳瀬さん取り合い騒動を描く「不正指令電磁的なんとか」。葉山君の自宅マンションで起こった怪事件「家庭用事件」。葉山君の妹・亜理紗の学校の友人が遭遇したひったくりから、葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など、5つの謎を描いたシリーズ第2短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 今回は学園ミステリーの5篇からなる短編集。
    何となく裏技的な謎解きが続き、余り心情に刺さらないなぁと思っていたら、最後の

    「優しくないし、健気でもない」
    聴覚障害のお姉さんと、ひったくりのお話。
    沢山の意味でやられました。まさかの妹の秘密。
    「家庭内事件」ではそんな素振りは全く気付けませんでした。

    周りにそういう方々は居ませんが、かなり偏見し思い込みがあった事を指摘された気になりました。自分の中で確かにそんな所があったように思います。
    不便な生活をされていたら、人間的には優しく、しっかりしているはず。そんな一括りにできる訳なく人間色んな人がいるのは、分かっているはずなのに。改めて考えさせられました。

  • 市立高校シリーズ7冊目の短編集。
    些細な推理だけど案外盲点で、
    読んでいて勉強になります。
    最後の話は結構驚きだった。

  • またしばらく読書から遠ざかってしまっていた。
    数冊、読んでは途中でやめてしまったものもあった。
    そこで、もったいなくて読んでいなかったこのシリーズに頼ることにしたが、やはり私はこのシリーズが好きだ。
    本作は短編集で、それぞれ、時系列としてはこれまでの既刊の物語の前か後の時点に位置するようだった。
    そのためか、一つ目の話では、柳瀬さんと葉山くんの距離感が遠くなったのかな、とも感じた。
    最後の短編がやはり一番衝撃的だった。思わず既刊も読み返そうと思ったが、あら探しのようなことをしなくても、おそらく矛盾などないのだろうと思う。
    短編集なので小ぶりながら、個々の物語できちんと不可思議な謎が提示されることと、名探偵伊神さんの謎解きが読めて満足だった。
    しかしとりわけ本シリーズの最大の魅力はコミカルな語り口にあると思う。巻を重ねるごとに脚注の数と内容とが増している気がする。。

  • あーっ、そうだったのか!普通の短篇連作で終わらないのではと、何となく思ってはいたけど、最後の一篇はその期待を上回る意外さであった。やられたわ~とおでこを叩きながら二度読みする、ミステリファンとして無上の喜びを味わいました。唯一の不満は、柳瀬さんの出番がちょっと少ないことかな。

  • 『理由あって冬に出る』の葉山君の連作短編。
    妹とのやり取りでなんとなく違和感があったけど、最期で解けました。
    短編集だから謎も凝っているわけじゃないんだけど、謎解き部分が前作と違ってわかりやすかった。
    伊神さんはちょっと社会生活に不適合だけど、最近の探偵役ってみんなそんな感じだよね。
    最期の章の犯人は、恋人が好きなんじゃなくて恋人に向き合っている自分が好き、だったんだろうなぁ。
    最初は妹が姉の振りして付き合っていたのかと思ってた。

  • 市立高校シリーズ⑦ 葉山くん、妹に過保護だなとずっと思ってたら…7作目にして驚きのエピソードが!短編5話。【不正指令電磁的なんとか】塗り替えられた契約書の文面。いつ、どのように行われたのか?【的を外れる矢のごとく】的枠盗難事件。弓道場に残された自転車のタイヤ痕と足跡【家庭用事件】葉山家を襲った停電の謎【お届け先には不思議を添えて】ビデオテープの損壊と箱の中身のすり替わり。【優しくないし健気でもない】ひったくりの被害額はマイナス100円

  • 短編集。順番が前後したがやっと既刊を全部読めた。
    伊神さんが相変わらずかっこいい。
    (先をよんででいるので彼の行動もよく分かる)
    うすうす思ってたが妹ちゃんかわいいなー!
    そして妹にあまあまな葉山くんよ。笑。

  • 市立高校シリーズ第六弾。今回は短編集。短編集なためどの事件も全体的に小粒ではあるが似鳥鶏らしい毒と甘さは効いている。特に葉山家の秘密がちょっとわかる「優しくもないし健気でもない」ではそれが顕著だった。一話目の頃の葉山くんと最終話の葉山くんではやはり違いというのか成長しているというのがよくわかる一冊だった。

  • 久しぶりの葉山くん。聴覚障害者の話はなんだかぐさりとくる

  • 久々に読んだ葉山くんシリーズ。
    伊神さんの切れ味、じんわりくる味わいの脚注も健在でした。
    最後に衝撃の事実が明かされるのですが、流石にこれは今まで気づきませんでした。
    一見穏やかなコージーミステリーのようでいて、いつも少しほろ苦い結末で解決するところは、弱者目線を得意とする似鳥氏のお家芸でしょうか。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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