花野に眠る (秋葉図書館の四季) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 263
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488482046

作品紹介・あらすじ

れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館は、今日ものんびりのどか。新人司書の文子の仕事ぶりも、板についてきた。けれど、図書館を訪れる人たちには、人知れぬ悩みがあるようで……やっぱり、毎日ふとした謎が湧きおこる。そんななか、図書館の近隣で大事件が! 季節のうつろいを感じながら、またまた頼もしい先輩司書の助けを借りて、文子は謎解きに挑むが……。すべての本好き、図書館好きに捧げる、やさしいミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 図書館へ足繁く通っていた頃を思い出す。
    今では多くの図書館では正社員ではない司書たちが、少ない予算からベストセラーを書棚に並べている。

    その哀しさを読みながら感じてしまう。

    私も司書の資格を持っていて、秋葉図書館のような所で働くのだ、と信じていた時期もあった。

    残念ながら、図書館とは縁のない建築業の会社に勤めて、バブル期の忙しさを充分に堪能させてもらった(笑)

    そして、自分の給与から本が手に入るようになった頃から、図書館は変わっていったような気がする。

    もちろん、今でも図書館へ行くけれど、大学の図書館であったり、国会図書館に代わってしまった。

    時代といえば、それまでだが、秋葉図書館のような図書館が今こそ必要なのではないかと思うのも事実。

  • ゾクゾクしてしてしまった。
    これは面白かったです。

    短編連作と言っていいのか、長編と言うべきか。
    前作は完全なる短編連作だったのだけど、その時に出てきた登場人物同士の話、やり取りのその後やそれを踏まえた別の話が展開されていく。
    どの話も前作からの伏線が回収され、最後に全部が解決していったのにはゾクゾクしたし、すっきりした。

    田舎の図書館とその町が舞台で、のどかな雰囲気の中に持ち込まれる日常の謎解きの本。
    少し前の世代からのつながり、先代たちが残した謎を今の世代が解くと言うなかなか楽しい設定でした。

  • 「れんげ野原のまんなかで」に続く秋庭市立図書館物語の2作目。5つの短編で構成されているが、それぞれのストーリーはつながっている。

    新人司書の今居文子を中心に、物語は進んでいく。

    児童書がたっぷり紹介され、本好き、図書館好きにはたまらない。

    土砂崩れで白骨死体が表出して…なんていう騒ぎもあるが、殺伐としたものではない。心に染み入るミステリーだ。

    3人の職員が図書館の中で、日常に入り込んでくるふとした謎、人の心が織りなす、謎とまでいえない行き違いや迷路を解き明かしていく。

    最後の一編は、戦前、今でいう行動障害を抱えた一人の男が一人の女性を純粋に愛した様が描かれている。

    とても切なく、愛おしい物語である。

  • 図書館の単行本で。
    最後に全部つながる気持ち良さは爽快!
    田舎の人間あるあるを感じつつ
    人間関係が密だった時代に思いを馳せる。

  • 全ての登場人物を丁寧に扱っているのが
    好感が持てる。

    時代のせいで苦しんできた人って、
    私達が思う以上に多いんだろうなあ。

  • 図書館ミステリとあって思い浮かべるものとはちょっと違った。1話目は祖父の家に遊びにきた少年が図書館で昔読んだ本を司書に探してもらったり本を進められて読んだり、となんとなくイメージする展開があったけれど、2話目以降は図書館というか、昭和?近代?ミステリみたいな感じだった。2作目らしいので1作目も読んでみたい。

  • 短編集かと思ったら普通に長編だった…。ちゃんと本の紹介もあって良かった。しかし前作の使用人孕ませて追放されたおんじがここまで重要人物になるとは思わなかった。すべてはおんじが始まりだったのか…。他の登場人物も前作のフォロー的な話があって良かった。しかし今回は新キャラ佐由留少年が主人公的な立ち位置だったなあ。

  • こういうの好き。
    図書館&本愛に溢れている作品。
    そして、ちょっとした謎を解く話

  • 図書館員が関わるにはちょっと行き過ぎな謎はあまり興味を持てなかったが、普通のレファレンスは面白かった。

  • しまった、シリーズ2作目だったのか。
    1作目を知らなくても楽しく読めたけど、主要人物のことが分かってたらもっと楽しかったよね、きっと。
    途中ちょっと分かりづらさを感じてしまったこともあり(自分の集中力不足だけど)、かつ1作目と以降作への期待をこめて・・・厳しめに、四捨五入での★4つではなく、切り捨てによる★3つ にしておきます。

  • いやー、いい話でした。よくわからない物、よく分からない人が出てきては、謎を残したまま次の話へ。最後は全て解決して素敵な余韻もあって。読みながら、この本は何年くらい前を想定しているのかな?と、思っていたけれど、あとがきを読んで納得。図書館のシステムも少し古い感じがするのはそのためか。

  • 作者さんの作品を読むたびに何とも言えない安心感を感じるのは、きっと、リズムとか波長とかいうものがあっているんだろうなあ、と思っています。謎が一つ一つ解決されていく中で、大きな謎が解かれていく、とても魅力的なストーリー展開。図書館のレギュラーメンバーよりもこの作品で登場してきた人たちのページを繰るごとに変容していくことがとても興味深く、これも、「そうだったのかあ!」「そうだよねえ!」と面白く読みました。
    レギュラーメンバーの和装が大層美しそうで、レギュラーメンバーの今後のそれぞれの活躍を期待したくなります。
    もっと読みたいシリーズです。

  • れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館に勤務する、新人司書の文子。
    図書館にやってきた少年に本を探してあげたり、保育園でブックトークをしたり、業務もなんとか板についてきた。
    そんな中、図書館の向かいの日向山から白骨死体が発見され・・・。

    「れんげ野原のまんなかで」の続編。

    舞台は浮世離れしてのんびりとした印象の図書館なので、ふんわりとした雰囲気のミステリ連作となっています。
    しかし、ご近所の人々が図書館に持ちこむ日常の事件は意外にヘビーでほろ苦く切ないものでした。

    最初は両親の離婚問題に揺れる中学生の話で心が暖かくなりますが、次章の最後に白骨が発見されてからは一転して不穏な展開に突入。
    終盤では、時代に翻弄されたある男の悲しい肖像が立ちあらわれ、胸に迫る結末へとつながっていきます。
    勿論悲しいばかりではなく、物語への作者の温かい心配りが心地よく、気持ちよく本を閉じることができるのですが。

    親の離婚で傷ついた子どもの恢復力が頼もしく、次作が出たら彼の今後も読みたいものです。

  • 電子書籍
    連作だがいろいろな話がつながって終演に向かう。
    秋葉さんの嫌いなおんじが実は…

  • 市立図書館。田舎町。落雁。ミステリ。

  • 図書館ミステリ第二弾。
    新米司書が謎を追う。
    本屋とはまた違う図書館の雰囲気好きです。
    そのレファレンス力に脱帽。
    バラバラだった謎がまとまっていくのが
    とても気持ちが良かったです。

  • 1作目を間違って再度購入してしまったので、再読後に第2作を読了。
    いわゆる日常系の謎の部類なんだろうけど、かなり読みごたえがあって重めで深さがある。
    物語のエッセンスでもある数々の書籍については、読む機会はないだろう。それにしても司書さんという職はみんながみんなこんなにもスキルが高い人達ばかりなのだろうか?
    次回作も期待が高まる。おすすめの一冊。

  • 2017年8月24日購入。

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著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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