平台がおまちかね (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1459
感想 : 152
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488487041

作品紹介・あらすじ

作り手と売り場を結ぶ糸をたくさん鞄に詰め込んで、出版社の新人営業、井辻智紀は今日も本のひしめくフロアへと向かう。-でも、自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が会場に現れない!?他社の先輩営業マンたちにいじられつつも、波瀾万丈の日々を奮闘する井辻君の、こころがほっとあたたまるミステリ短編集第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは『本』が好きですか?

    いやいや、本好きの皆さんが集うブクログの場で訊く質問ではありませんね。釣り堀に来ている人に釣りが好きですか?、デザートバイキングに来ている人に、スイーツがお好きですか?と野暮な質問をするのと同じです。失礼しました。

    はい、このレビューをお読みくださっている方、そう、あなたも私も、もうみんながみんな本が大好きな人たちばかりのはずです。そんなあなたは、『本』をどのように手に入れられるでしょうか?もちろん、図書館派の方もいらっしゃるでしょう。ブクログのレビューにも随分と”図書館本”という記述を見かけます。一方で、本屋派という方もいらっしゃると思います。かくいう私も後者です。読みたいと思った時にすぐに読まないと居ても立っても居られなくなる人間、それが私、さてさてです。そんな私は本屋派といっても圧倒的にネット購入派でもあります。身近に大きな本屋さんがないという事情もあります。そんな私の選書はその時の感覚、思いつきであり、ブクログに皆さんが記されたレビューは何よりもの起点となります。

    しかし一方で、たまに本屋さんに入って選書のきっかけを得る場合もあります。それは、本の表紙という場合もあります。”ジャケ買い”という言葉の先に手にした作品たち。そしてもう一つが平積みにされた本に掲げられた『ポップ』の存在です。それまで存在さえ知らなかった一冊の本、書名はおろか作家さんの名前さえ知らない一冊の本、本来であれば手にすることなど、読むことなど決してなかった一冊の本につけられた『ポップ』に惹かれてその本を手にする、そんな先の読書も数多く経験してきました。

    そんな時、私たちが一冊の本を手にするきっかけを作ってくださる人の存在がそこにあることに気付きます。『こんなにも大々的なディスプレイは衝撃に近い』と、私たちにその本の素晴らしさを伝えるためにさまざまな企画を考え、私たちがその本を手にするきっかけを与えてくれる人たちの存在。そして、そんな舞台裏にいる人たちはこんなことを言います。

    『見ず知らずの人でも、多少しか知らなかった人でも、一冊の本により、友だちになることができるんだ』。

    一冊の本が持つ無限の可能性、一冊の本が持つ無限の力、一冊の本に潜在するそんな力を引き出してくれる人たちの存在が私たちに素晴らしい感動を届けてくれるのです。

    この作品は、一人の『新人営業マン』の”お仕事”を見る物語。そんな彼が『営業をクビになったらどうしよう。やっぱり向いていないのだろうか』と仕事に思い悩む様を見る物語。そしてそれは、そんな彼が『見ず知らずの人に、一冊の本を買ってもらう』ことの意味を噛みしめる物語です。
    
    『書店の文庫売り場』で『注文書を片手に在庫をチェックしていく』のは主人公の井辻智紀(いつじ ともき)。『ひととおり終えたところで』『担当者を捜』し、接客を終えた彼女に『在庫のチェック、終わりました』と話しかけると『来月の新刊はどんな感じです?』と訊かれ『すかさずチラシを取り出』す智紀。『明林書房で編集のバイト』をしていた智紀は『四年生の秋に正社員の話を持ちかけられ、そのまま入社が決ま』りました。『配属先が営業であるとあらかじめ告げられていた』のも『入社を決めた大きな理由』という智紀。次に文芸のチェックをしようとした智紀は、『あの…明林の営業さんでしょうか』と『見知らぬ若い女性』に話しかけられました。『井辻と申します』と名乗った智紀が『どちらかの、書店員さんでしょうか』、『うちの者はうかがってますか?』と問いかけると『それが…いらっしゃらないんですよね。ちょっと ー 残念だな』と返す女性。『書店のお名前を…』と訊く智紀に『東横線沿線で…』と女性は言いかけるも『ああでも、いいんです』と『そそくさと立ち去ってしま』いました。そんなところに『どうしたの、ひつじくん』と『他の出版社の営業マン』『明林書房の二倍は大きな、佐伯書店』の営業の真柴司(ましば つかさ)が声をかけてきました。『ひつじじゃなくて、井辻です』と文句を言うも『天然ラテン系のノリで』すべてを適当にかわす真柴。そして、会社に戻った智紀は上司の秋沢から『最新の売り上げデータがあがってるわよ… 戦略に役立ててね』と言われ『小さな数字がびっしり並ん』だ資料に目を通します。そうしたところ『ふと、意外な数字に目が留ま』りました。『一冊の本だけ、やけに売れている店がある。「白鳥の岸辺」という文庫だ』というそのデータ。『五年前に出た本』で『すでに大きな書店でもなければ、棚にもさしていないはず』と不思議に思う智紀は、データの先に『ワタヌキ書店』という店名を見つけます。場所を調べ『東横線沿線』を突き止めた智紀は、『明林書房の営業は来ない』と話した女性のことを思い出します。『ワタヌキ書店では何か起きているらしい。全国的に見てもほとんど売れていない「白鳥の岸辺」がこんなに売れている』と落ち着かなくなった智紀は『帰社時間をホワイトボードに書きこみ、いつもと同じ「いってきます」の言葉で飛び出し』ました…そして訪れた『ワタヌキ書店』でまさかの光景を目にする智紀。『作り手と売り場。ふたつを結ぶ糸を、鞄の中にたくさん詰めこんで』走り回る智紀の活躍が描かれていきます…という最初の短編〈平台がおまちかね〉。作品世界に一気に読者を連れて行ってくれる好編でした。

    本屋さんの舞台裏を描く作品でお馴染みの大崎梢さん。そんな大崎さんの代表作でありシリーズ化もされている”成風堂書店事件メモシリーズ”と並ぶもう一つの人気シリーズが”出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ”。そして、その一冊目に当たるのが「平台がおまちかね」、このレビューでご紹介する作品となります。10年以上書店で働かれていたご経験をお持ちの大崎さんがこの作品で描くのは『出版者の新人営業マン』である井辻智紀の目を通して見る出版と本屋さんの舞台裏です。このレビューを読んでくださっているみなさんは、そもそもブクログという本の情報が揃う場に集まられた方々です。そんなみなさんにとってこの作品で語られる、私たちの元に本が届くまでの舞台裏はとても興味深いものがあると思います。まずは、三つの視点をご紹介しましょう。

    ・『本屋って、儲からない商売なんだってね』という視点。『利益率が低く、経費ばかりかかって、薄利多売もいいとこ。個人経営の書店は毎年どんどん潰れていく』という現実について、その裏事情がこんな風に語られます。
    → 『利益率が低いというのはほんとうだ。通常で二割五分。その中に人件費や場所代、光熱費、さまざまな経費がかかってくる』というその内実。あなたは、この割合をご存知でしょうか?作家さんの手取りが一割であることは額賀澪さん「拝啓 本が売れません」に記述がありました。作家さんと本屋さんで三割五分になる、残りが出版社の取り分、なるほど興味深いお話です。

    ・『書店営業はどうしても首都圏偏重になりがち』という視点。『大型店が狭い中に乱立しているので、営業マン同士でエリアを分け合い、それぞれ需要に応じて週に何度も顔を出す店、一週間ごとの店、ひと月ごとの店、ふた月ごとの店と選り分けて訪問プランを立てていく』という出版社の営業の考え方が語られます。
    → 『地方には”切り捨てられ感”』が生まれる。『話題の本は思うように入らず、刷りすぎて余った本だけが過剰に送りつけられ、客注の入荷も滞る。人件費のカットで店の活気は失われ、ベストセラーに沸く都会の大型店はまるで別世界』。そのため『ある日突然現れる営業マンを歓待してくれる』。こんなところにも地域の過疎化に繋がる問題が潜在していることがわかります。

    ・書店営業の独特さという視点。『ふつうのセールスとちがい、本は返すことができる。無理やり注文だけ取っても、そのまま利益には結びつかない。返本されればおしまい』であり、『書店員さんとのやりとりは不可欠』という実態が語られます。
    → 『注文品が店に届いたあとも、なるべくいい場所に並べてもらうよう頼み、たとえ動きがにぶくても一日でも長く置いてくれるようお願いする』。基本は『本を紹介し、注文を取って帰る』だけだが、『店にいる人の協力が得られるかどうかで大きな差が生じる』という現実がそこにあることに気付きます。そこに複数の出版者の書店営業が一つの『平台』を巡って凌ぎを削る余地が生まれる、なるほどと思いました。

    そして、この作品では本屋さんの『平台』に欠かせない『ポップ』に関する興味深い記述も満載です。『平台は多くの買い物客の注目を浴びる』と私たちが目にする『ポップ』の位置付け。それが故に『そこに好意的な応援文がつけば、さらなる広がりが見込める』と、売上増加に直結していく展開が『ポップ』には期待されていると大崎さんは記述されます。そんな『ポップ』について、この作品の中にはストーリー展開の中で他の作家さんの実在の作品がリアルに登場し、なんと大崎さんがその作品の『ポップ』を登場人物の作として創作されています。私が知っている作品の中では加納朋子さん「ななつのこ」が物語の展開の核として登場します。そんな「ななつのこ」につけられた『ポップ』はこんな感じです。

    『作者に宛てたファンレター、そこにちょこっと書き添えた身近な不思議。すると、返事が返ってきます。あざやかな解決のヒントと共に。誰もが夢見るとびきりのシチュエーションをこの一冊で!』

    『身近な不思議』は、「ななつのこ」の一番の魅力。たった88文字でこの作品の良さを見事に表現する大崎さん。さすがに言葉のプロは違うと思いました。とにかく、この作品は『本』が好きな人にはさまざまな切り口から『本』に関するあれやこれやが記述されているため飽きることなく最後まで怒涛の如く読み進めることができる一冊だと思います。

    そんなこの作品は『出版社の新人営業マン』である井辻智紀の成長を見る”お仕事小説”の側面も持ち合わせています。『個性的な面々に囲まれつつ今日も書店で奮闘中!』という智紀はとても魅力的なキャラクターです。『営業が向いているとも思えない。どちらかといえば口べたで地味で不器用で、人前で何かしゃべるのは大の苦手』という智紀。そんな智紀は一方でなんとも憎めない、危なっかしくて手を差し伸べてあげたい気にさせるそんなタイプの人間でもあります。そして、智紀はライバル社である佐伯書店の同じく営業を担当する真柴司との絶妙なやりとりを繰り広げます。『ねえ、ひつじくん』と親しげに語りかけてくる真柴に、『ぼくの苗字は井辻(いつじ)です』とムキになって否定する智紀というやりとりが全面にわたって繰り広げられますが、それはもう漫才のネタのようでもあり、なんとも微笑ましい二人の関係が伝わってきます。また、ある件でその解決に突き進む智紀というシーンでも『貸しひとつ』、『貸し、ふたつ目ね』、そして『貸し、三つで』となんだかんだでその解決に力を貸していく真柴という構図。出版社間の営業担当の関わり方の実際がこのように親近感を伴う密接なものなのかどうかは分かりませんが、ドロドロした足の引っ張りあいではなく、清々しいまでの関係性がそこにあることで、この作品の読み味を随分と左右しているように感じました。

    そして、この作品にはさらなる工夫が存在します。この作品は五つの短編が連作短編の形式で構成されていますが、その各短編の後半にはそれぞれ、そんな『新人営業マン』である智紀が書いたという位置付けで『新人営業マン・井辻智紀の一日』という『報告書』が記されているのです。『アンケート調査なの。井辻くんの今日の一日でいいわ』と上司の秋沢からの指示に基づいて記すようになったというその『報告書』には、智紀が目にする会社のあれこれが記されています。『初版部数は常に、微妙なバランスの上に成り立っている』という出版の厳しい裏側や、『出版社って、もっとずっとライバル同士が火花を散らす間柄だと思っていました』という出版社の人間同士の関わり方など、『出版社の新人営業マン』という立場の智紀に語らせるからこそ、とても新鮮で、飾り気のない『出版』の舞台裏が読者に伝わってくるのだと思いました。兎にも角にも隅から隅まで、『本』に関するあれやこれやに徹底的にこだわった見事な作品だと思いました。

    『店頭には常にカラフルな雑誌が並び新刊本がひしめき、さも豊かそうに見えるが、それらがどんどんはけてくれなければバイトの時給さえ払えない』。

    街の本屋さんに人が少なくなり、ネットでの購入が増え続けるなど、私たちが本を手にする流れにも大きな変化が生じています。また、活字離れが叫ばれ、本自体を手にする絶対数にも変化が生じています。

    『扱っている商品そのものに”文化”という付加価値がつくとしても、経営者の生活を文化は保証してくれない』。

    街の本屋さんはボランティアではなく、それをもって生計を立てられている以上、本が売れるか売れないかはそんな店舗の未来にも関わってくるのは当然です。この作品では本屋さんや出版社が私たちに本を身近に感じてもらえるようにさまざまな努力をされている、そんな出版の舞台裏が丁寧に記されていました。

    『たとえネット書店があっても、本を目にする機会が減れば興味そのものが薄れていく』。

    そんな危機感を共有しながら、少しでも本を手に取ってもらえるように日々努力を続けられる人たちの存在。そんな場を深刻にならないようにコミカルな登場人物たちの存在をもってわかりやすく提示してくれるこの作品。主人公が『新人営業マン』だからこそ、私たち一般人にも分かりやすい目線でさまざまなことごとが見えてくるのを感じるこの作品。

    本屋さんに10年以上勤められてきた大崎さんだからこその強い説得力と、大崎さんならではの優しい文体の一方で、大崎さんならではの身近なミステリーが上手く織り込まれた、そんな素晴らしい作品でした。

  •  中堅出版社の新人営業マン・井辻智紀を主人公とした、お仕事小説・成長物語です(5篇の短編集)。
     一方で、流石は元書店員の大崎梢さん、主人公の視点から、出版・書店サイドの認識のズレや誤解から生じるトラブル、書店員のプライド・悩み等、仕事の素晴らしさと同時に大変さや課題を浮き彫りにしていきます。裏事情を知る故の成せる技?
     またこれら諸々のことを、深刻になり過ぎずにゆる〜いミステリー仕立てで読み手に提供してくれ、楽しく読み進められます。
     各話の最後に「新人営業マン・井辻智紀の一日」があり、リアルな出版営業のあるある事情が日記風に付記され、こちらも興味深く読みました。
     
     大崎梢さんの著書には、「成風堂書店事件メモ」等の書店ミステリー・シリーズもあるようで、未読ですがいずれも心がホッコリする作品なんだろうなと想像に難くないですね。
     書店員のリアルについては、いまがわゆいさんのコミックエッセイ『本屋図鑑』等、仕事の詳細や興味深い情報が満載の本も次々と出版されているようです。それだけ本に携わる人・仕事に関心があり、支持されている裏返しなのだと思います。

     先日も、現役書店員の佐藤篤志さんが芥川賞を受賞されました。喜ばしい限りです。
     今後も、本に携わる方々を、微力ながら応援していきたいと、ささやかに思うのでありました。

  • だいぶ昔の本だが、NO Book & Coffee NO LIFEさんのレビューを読んで「読みたい」に入れていた。

    中堅どころの出版社に勤める井辻くん。倉庫勤めや内勤を終え外回りを始めて4ヶ月という新人営業マンの奮闘が、ミステリーと言えるほどもない謎も絡めて描かれる。
    出版社の営業の話ってあまりないので、その仕事振りを読むだけでもなかなか興味深かった。他社の営業マンも真柴をはじめとして個性的でコミカルで楽しく、一話しか出てこないが光浦舎のベテラン佐久間もいい味。
    頑固で不器用なワタヌキ書店の店主や甥の成功を見届けて店を畳んだユキムラ書店の店主夫婦など、町で小さな書店を開き続けてきた人たちの苦労と心意気にはじんと来る。

    最終話のコンテストに推薦された10冊の中で読んだことあるのは「ライオンハート」「旅のラゴス」「ななつのこ」の3冊だけだった。
    残りの7冊、ポップを読めばどれも読みたくなってしまうが、羽村晶ではないけれど若竹七海「サンタクロースのせいにしよう」から行ってみよう。

  • 書店や出版社のお話しは大好き。本はこんなふうに私たちの手元に届くのか!と毎回楽しい発見があります。
    この作品は出版営業マンのお話し。紹介に『ミステリ短編集』とあり、どのようなミステリなんだろう?と思っていましたが、本や本屋さんにまつわる小さな謎がうまく描かれていて、『こういうミステリか!』と楽しく読めました。
    続編もあるようなので、読んでみます。

  • 大崎梢さんの本は初めて読みました。
    タイトルの「平台がおまちかね」を見たとき、「平台」って何?
    もしかして登場人物の名字?なんて思っておりました(^_^;)

    書店でベストセラーや〇〇フェアなんかで本が平積みにされているあの台のことを平台というそうな!
    いや~、初めて知りました。

    明林書房の新人営業マン、井辻智紀。
    かろうじて中くらいと言える出版社である明倫書房の本の営業に励む智紀。
    取引先の書店や新人賞賞贈呈式で繰り広げられるほんわかミステリー。

    読書が大好きな私ですが、その本がどうやって書店に並ぶのかは考えたこともありませんでした。
    この本はそんな舞台裏を垣間見ることができて、楽しませてくれます。

    子どもの頃、近所には小さな書店があったっけ。
    高校生になったころから、本を買うのは紀伊国屋や旭屋といった大型書店になり・・・
    気が付けば、近所の小さな書店は姿を消していて・・・
    最近は海外在住のため、もっぱらインターネットで本を購入することが多いけれど、この本を読んだら、本は本屋さんで買いたい!という気持ちがさらに強くなってきました。
    これからは書店に並ぶ本を手に取るとき、書店員さんの棚づくりのこだわりにちょっと思いをはせるのも愉しいかも・・・

    • honno-遊民さん
      最近「書店ガール」「・・・2」とか、お仕事小説にはまっています。この作品も面白そう、さっそく読んでみようと思います。
      最近「書店ガール」「・・・2」とか、お仕事小説にはまっています。この作品も面白そう、さっそく読んでみようと思います。
      2013/12/29
    • honno-遊民さん
      やっと、読みました。本好き、本屋好きには、たまらない小説ですね。シリーズものらしいので、続けて次も。
      やっと、読みました。本好き、本屋好きには、たまらない小説ですね。シリーズものらしいので、続けて次も。
      2014/02/09
    • azu-azumyさん
      hongho-遊民さん
      いつも「花丸」をありがとうございます!
      書店を舞台にした小説、面白いですね!
      私も続きが読みたいです。
      「書...
      hongho-遊民さん
      いつも「花丸」をありがとうございます!
      書店を舞台にした小説、面白いですね!
      私も続きが読みたいです。
      「書店ガール」もぜひ、読んでみたいと思っています。
      2014/02/09
  • 出版社営業・井辻智紀業務日誌シリーズ第一弾、だそうです。

    正直、日常ミステリーとしては物足りない。日常ミステリは好きなんだけど、飛び切りの「謎」を用意して欲しいのは、私のわがままなんだろうか。

    けれども、それ以外は快調です。文章のテンポもキャラクターも素晴らしく、安心して読んでいられます。実は「成風堂」シリーズと間違って読んでしまったのですが、最後にちょっとリンクしてあって、そこもサービス精神があってGOODです。

    何よりも昔の憧れの出版社のお仕事小説として、情報量がたっぷり。お店のポップが出版社の営業の目に止まって、そこからベストセラーが生まれるという経緯は確かにあるかもしれない(本作の内容とは関係無いけど)。知らない世界を知ることは、やはり小説の醍醐味ですね。

    だから、リアルに営業くんの仕事ぶりが心配になってきたりする。この前、ある本が賞を獲った。それを朝刊で読んだ私は直ぐにAmazonで注文したのであるが、その時は2-3日後にお届けボタンだったのに、5日経っても発送されない。もちろん一挙に注文が殺到したためだろう。受賞の対象になっている時に、営業くんはいったい何処まで準備していたのであろうか。まさか、新聞発表の日に増刷の連絡していないだろうな、などと色々と推理するのである。一週間経っても発送されなければ、それで決まりだ。私は営業くんにバツを独り密かに贈るだろう。
    2012年12月18日読了

    【後日譚】
    その件の書名は云うまでもなく、大佛次郎論壇賞を獲った大島堅一氏の「原発のコスト」(岩波新書)である。新書は12月28日に届いた。奥付を見ると、12月14日に第二版を刷っている。増刷をして、手に届くまでまるまる二週間掛かった計算になる。それをもっと早く出来ないかどうかは私は判断出来ないが、早くして欲しかったという気持ちはあった(店での注文ならば更にかかっただろうから、これで良しとしなければならないかもしれない。因みに一週間後に岡山最大の丸善に行くと既に品切れだった)。賞の発表は14日だった。奥付を考えると、その前日くらいに発注した可能性がある。思うに発注のタイミングは努力したというべきだろう。私がAmazonに発注したのは、14日の午前だったのだが、その時に既に在庫が切れるという事態だけが恨まれるのである。

  • 出版社の新人営業マンの奮闘を描いた短編集。
    大崎さんの「本」に関する小説は、同じ本を扱う職業でもいろんなお仕事小説があっておもしろい。

    新人営業マンの日常が軽いミステリー仕立てになっていて、個性派揃いの他社出版営業マンたちとの交流も微笑ましい。
    書店員さんと出版営業マンのお仕事に「へぇ~」の連続。お仕事の裏事情を知るのはやっぱりおもしろい。
    軽い読み心地で読みやすかった。
    今度書店に行ったら、思い出して色々想像してしまいそう。

    子どもの頃から本が大好きだったけど本とは関わりのない仕事をしているので、読みながら作中の書店員さんや営業さんが羨ましくなってきました。

  • 本と本屋の好きな読者には、たまらない本。
    出版社の営業がこれほど本屋さんを回っているのかと、この小説で初めて知った。浅はかにも、本の流れは、取次店と本屋さんだけかと思っていた。
    今まで、本屋の本棚を何気なく見ていたが、その裏には営業の熾烈な戦いがあるんだ。勉強になりました。
    そして、町の本屋さんをもっと、応援しないと。

  • この作者の他のシリーズでも本屋の窮状はそれはもう大変なのだと伝わる。が、さすが首都圏の本屋さんは華やかな場面に呼ばれたりするのだなぁと思ってみたり。
    読んでいる間ずっと故郷の小さな本屋の事が思い浮かんでいた。あそこには出版社の営業さんは一体どの位の割合でやってきていたのだろうか?ポップもなく独自のフェアもなく淡々と本が並べてあるだけの本屋。
    そんな本屋が潰れて行くのは人が本を読まなくなっただけなのだろうか?それ以上の理由がある気がしてならない、とこの作者の作品から思ってしまう。

    「絵本の神さま」にうるっと来た。

    あの作品のあのキャラの影がちらり。

  • 以前に図書館で借りて読みましたが、文庫が出ていたので
    買いました。

    やっぱり本好きには、このような本屋さんの話とか
    図書館の話とかが響きますねぇ。

    出版社の営業の人にとっては、本屋さんの平台、というのは
    獲得したい場所なんでしょうね。
    確かに、私も本屋さんに行ったら、まず平積みにされている
    本の表紙をザッと見ていって、気になる表紙やタイトルが
    あったら、手にとるもんなぁ。
    背表紙だけ見えている棚を見るのって、「この人のこの本を買う」
    ってあらかじめ決まっているときだけかも。

    この方の「配達あかずきん」を読んでみたいと思いつつ、
    まだ未読なので、今度はそっちに挑戦!

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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