奇談蒐集家 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.27
  • (32)
  • (116)
  • (187)
  • (48)
  • (13)
本棚登録 : 1225
感想 : 138
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488490096

作品紹介・あらすじ

自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈。ただし審査あり。-新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた客は、奇談蒐集家を名乗る男と美貌の助手に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露する。鏡に宿る美しい姫君との恋、運命を予見できる魔術師との出会い…。しかし、不可思議な謎は、助手によって見事なまでに解き明かされてしまう。安楽椅子探偵の推理が冴える、連作短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「奇談蒐集家」っいうネーミングのみで購入!^^;
    短編7編。
    「求む奇談!高額報酬進呈。ただし審査あり」に釣られてくる人の奇談語りという形で進む。
    でも、「本当に不思議な話なんて、そうら簡単に出会えるものじゃない」とか言って、謎解きを始める。
    全てこんな感じで、奇談ではなくなる…
    審査に引っかかって、お金貰えん…
    お金要らんし、喋らせて〜!って人もおったけど。
    ただし、最後の話を除いてはになる。
    奇談とは言いながら、ミステリーになるのかな?謎解かれるから。
    途中で、流れ的に、最後に何かあるんやろな?ってのは感じるし、そうならんと、面白ないやんと思ってた。
    何があるかは分かってないけど(^◇^;)
    奇談と言いながら、ミステリー。ミステリーと思いきや奇談って感じて、結構良い感じ〜

    解説に
    「幻想の現実化=現実の幻想化」
    って言葉が納得できる(^-^)v

  • 奇談を集めるというバー「strawberry hill」の恵美酒一のもとに、何人もの人たちが奇談をもってやって来る。恵美酒はなんともスノッブで嫌味な感じの男である。話を聞いて「おお、これこそ奇談だ」と喜ぶのだが、客の背後に控える中性的な氷坂が一見理屈に合った話として退けてしまう。そのひっくり返し方が面白いとも言えるのだが、超常的な奇談でないにしても十分変な話ではある。というか、ちょっと無理やり感がないでもないのだ。最後は、全編をくるりんとまとめてしまう。うーん、それもまあまあかな。

  • 奇談蒐集家のもとに客が怪奇な体験を話しにやって来るが「本当に不思議な話なんて簡単に出会えるものじゃない」と助手が謎を合理的に解いてしまう。最終章で全てが覆り騙された。

  • ――自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈。ただし審査あり。
    そんな新聞広告を見て、指定された店に出向く客たち。
    そこは〈strawberry hill〉というイングリッシュパブ。
    キレイにヒゲを整えたバーテンダーが奥の部屋に通してくれると、そこにいるのは奇談蒐集家を名乗る恵比寿という男と性別不明の美貌の助手、氷坂。

    という、なんとも魅力的な設定の連作短編集。

    わたしは連作短編集が好きなのだが、読後に長編感が強い連作短編集が「よくできた連作短編集」だと思っていた。
    反対に「ただの短編集」としか思えない作品は「連作短編集を名乗るなよっ」と、ものによっては怒りの対象にすらなる。

    そして、この作品はといえば。
    長編感はない。
    だからといって「ただの短編集」になっているわけでもない。
    言葉のまま「よくできた連作短編集」なのだ。
    約40ページ×7篇でサクサク読めるのに、連作短編集のキモともいえる最終篇がちゃんと役目を果たしている。
    うーん。「よくできた連作短編集」のMy定義を変えねば。

    不可思議な世界から話し手や恵比寿を現実に戻す氷坂。
    一種の謎解きではあるのだけれど事後の解決策まで与えるわけではなく、放り出された格好の話し手たちが不憫になる。特に「水色の魔人」。
    わたしはやっぱり優しいお話のほうが好きなので、ロマンチックで救いもある「不器用な魔術師」や幻想的な「金眼銀眼邪眼」が好き。

    井上雅彦氏の解説まで読んで、太田忠司の氷坂に与えた役割の意図がわかる。
    そしてミステリーランドの一冊「黄金蝶ひとり」が読みたくなり、積読山の一角で最近山開きしたミステリーランド山から引っ張り出してきた。
    著者の俊介くんシリーズや新宿少年探偵団などのジュヴナイルっぽい作品が大好きなので、とても楽しみ♪

    • 山本 あやさん
      九月猫さん、こんにちにゃー♪

      ステキな山開き!!![笑]
      またなんちゅうステキな本を見つけてくるんですかー。
      また積読増えちゃうじゃないで...
      九月猫さん、こんにちにゃー♪

      ステキな山開き!!![笑]
      またなんちゅうステキな本を見つけてくるんですかー。
      また積読増えちゃうじゃないですかー![笑]

      奇談蒐集家、性別不明の美貌の助手!
      ものすごい勢いで惹かれる要素がっっ♡
      創元推理文庫さんも惹かれる本の出版多いですよねー[*Ü*]

      よくできた連作短編、積読の山に積みます!
      山開きしたい山がまた……………[笑]
      2013/03/28
    • 九月猫さん
      あやさん、こんばんにゃあ♪

      そうなんですよー!
      キーワードがね、いちいち魅力的なんですよー(*>ω<)o
      「ミステリ」とか「幻想小...
      あやさん、こんばんにゃあ♪

      そうなんですよー!
      キーワードがね、いちいち魅力的なんですよー(*>ω<)o
      「ミステリ」とか「幻想小説」とかを強く望んで読むと、
      どちらにも中途半端なのですが(^-^;)
      雰囲気とアイテムが好みのものだらけで、わたしは楽しめました♪
      この方の「新宿少年探偵団」や「俊介くん」シリーズが
      怪人が出てきたりとか、塔が動き出す仕掛けがあったりとか
      ちょっと時代がかっていて好きなんです~(* ̄∇ ̄*)
      そういうものがお好きなら、あやさんの積読山にもぜひ(笑)

      積読山。
      開いても開いても標高が変わらないという……魔の山ですな(笑)

      創元推理文庫さん、翻訳モノも好みのものがとても多いです!
      カバーが傷みやすいのが残念なんですよねぇ(涙)
      2013/03/28
  • 奇談を集める金満家・恵美酒一と性別不明の従者らしき人物・氷坂のもとへ数多の人が奇談をもち、それを売りに来る。
    新聞広告の「求む奇談」の文字にひかれ、集まる奇談を不可思議な二人組(主に氷坂)が、「奇談でもなんでもない」と説明して現実に戻してしまう話。
    この2人の方が不思議だろ、と思っていたら、結末、案の定2人は奇談として完成されてしまった。
    大枠の仕掛けは面白いし、結末も解説通り現実と幻想の世界を地続きにしてくれたので満足。
    ただ、一個一個の短編の後味が昔の少女ホラーコミックのようだし、安楽椅子探偵ものだと仕方ないのかもだけど、氷坂の説明だけでは少し強引に感じられる部分もあった。(そのために結末で相談者たちのその後に触れたのかもしれないが)

  • 短編集となっているので、とっても読みやすかったです。
    自分の影に刺された男の話や水色の魔神など、どれも不思議だけど、事実は意外なことだった!

    「世にも奇妙な物語」とかで実写化してほしい話ばかりでした。
    また続編とか出ると嬉しいなぁっと思います!

  • 湿気があるというか雰囲気のある小説…
    幻想小説かと、思えば素晴らしい謎解き
    面白かった

  • クライマックスが絶妙。
    真実が明るみになるのに比例して高まる恐怖、ゾクゾクくる感覚が心地良い。これからの季節にピッタリな作品です。
    果たして氷坂の推理はあたっていたのか。方便だったのか。読み終えた今になっては、後者に思えるところが薄気味悪い。

  • 奇談蒐集家 太田忠司

    幻想の現実化と現実の幻想化

    解説井上雅彦さんの言葉より

    storobeiiy hill を訪れる6人の口から語られる不思議な物語。
    物語は現実なのか幻想なのか??

    正直読みはじめは種明かしにも大きな驚きがなく、
    こんなものかな、と思っていた。
    が、後半でそれが見事にひっくり返る。

    幻想が現実化していくからこそ味わえる
    現実の幻想化。

    内容自体はそこまで新しさはないし、
    ふうん、という感じで終わりそうなものだけれど
    話の内容と構成そして最終話が秀逸だった。

    恵美酒と氷坂は、どこかに本当に存在するのかもしれない。

  • コレも昨夜、一晩で読了。
    『奇談蒐集家』というタイトルが、ずっと気になっていた一冊。
    最初の二編で、寝ちゃおうかな、と思ったが、何か引っ掛かって…。
    正直、一晩で読了して正解でした。
    奇談蒐集家、恵美酒と助手の氷坂の元へ「奇談」を持ち込む人々。
    連作短編で六編目までは、全て三部構成。1「奇談」を語るまで。2「奇談」の本編。3氷坂の謎解き。
    そして、1の部分などはきれいにパターン化されている。ソコで何となく、この話はこんな謎解きかな…、と読みすすめるにつれ、コチラも思うわけで…。
    あくまで、主観で語られるコトの落とし穴にはまらなければ、当たらずしも、遠からずの辺りまでたどり着くコトが出来る。ソコで、テンションを落としてはいけない。
    全ては七編目までたどり着いた方にのみやってくる。
    正直、「そぅ来たか……!」とやられた感でいっぱい。
    何としても、第七編、P248までたどり着いてください。

全138件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田忠司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×