堂場警部補の挑戦 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 10-1)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 161
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488491017

感想・レビュー・書評

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  • この作者の作品は相変わらず、ややこしいというかひねくれてますな。1つの短編に二重も三重にも仕掛けを用いて二転三転ひっくり返して、しかも短編同士を絡み合わせてこんがらからして、いやはや大変。あれ? おや? と思った部分や、読みにくいなと思った部分は、全て伏線が張られた部分だったというのはさすがというべきでしょうな。ある意味サービス精神に溢れた作品です。

  • ツイストにつぐツイストのドンデン返し短編集。堂場警部補の実体験から基づく事件簿を作中作の複雑な構造で絡めとるような連作。トリックは大仕掛けでちょっと無理があるものも多いけど、楽しめる

  • 読んだことのない作家さんを、と選んだ1冊。
    創元推理文庫、けっこう好きなので。

    4つのお話、“連作としても意外な展開を辿るので頭から順にお読みください。”と帯にあったので、素直に順番に読む。

    ひとつ説明してしまうと色々崩しちゃいそうなので、あらすじは述べず、個人的感想だけ。

    全てのお話に、ちゃんと謎が用意されていて、それなりに凝っているとは思う…んだけれど、あれだけあっちこっちにいったのに、こういうことなの??と、物足りなさというか、「そうか…」と静かに読み終えてしまう。

    堂場刑事というひとつのキャラクタを1冊の本を通してうまく使っていて、そこは面白いなと思った。
    そこがこの本の肝なんだろうな。
    もう少しそのキャラクタに魅力があったら楽しめたかも。

  • 蒼井上鷹の連作ミステリ。第1部では「堂場警部補」が,第2部では「堂場巡査部長」が,第3部では「堂場刑事」が登場と,少しずつ設定が異なっている。全く独立した4つの短編からなっているのかと思うと,これら全てが第4部で,小説家を目指している兄弟の作品であるという設定が明らかになる。
    4つの作品が繋がっているが,個別の作品の中に他の作品の伏線になるような記載は,ほぼ存在しない。第4部は,文庫本書き下ろしなので,文庫化する際に,後付けで作られた設定だと思われるが,個別に作られた作品に意味を持たせる趣向は嫌いではない。
    4つの作品は,いずれも蒼井上鷹らしく,ひねりの効いたミステリだが,白眉は第2部の「堂場巡査部長最大の事件」。殺人事件の容疑者から監視を依頼された堂場巡査部長が,途中で居眠りをしてしまったために,容疑者のアリバイが曖昧なものになってしまったという設定。「本来完璧なはずの,あやふやな証人のせいであやふやになっちゃったアリバイは,それ以上崩しようがない」というパラドックス状態に。しかし,この話はアリバイ崩しに留まらず,容疑者と堂場巡査部長の不倫が明らかになり,この不倫で被害者から堂場巡査部長が揺すられていたという事実まで明らかになり,なんと堂場巡査部長が真犯人というオチ。その上で,堂場夫妻の服毒死体と「自分たちの将来に絶望した」という遺書が発見されるという終わり方をする。なんとも嫌な読後感の短編。しかし,こういうモヤモヤしたミステリは結構好み。
    とはいえ,ミステリとしてのデキは普通。評価としては★3かな。

  • 【収録作品】堂場警部補とこぼれたミルク/堂場巡査部長最大の事件/堂場刑事の多難な休日/堂場Ⅳ切実

  • どんでん返しがあって面白いけど何か無理やりな気も

  • 2013/02/09
    移動中

  • これぞ蒼井さんの作品って感じで、いい意味でのひねくれ具合。
    はじめ目次を見て堂場さんがドンドン警察内で降格されていき
    とうとう役職までも剥奪?なんてストーリーかと思いきや
    各話それぞれ違った内容で展開し、かつひねくれています。
    第三話の「堂場刑事の多難な休日」なんかドタバダ劇なのに
    ちゃんとミステリしてるしほんと蒼井さんの作品は面白い。
    そして最後の第四話の「堂場IV/切実」で一話から三話までを
    強引にまとめちゃった話もすごく面白かったですね。
    だんだん蒼井ワールドにはまっていってます。

  • まず構成が、

    最初は警部補、次に巡査部長、刑事、と、逆行するような構成。
    しかも巡査部長編では、!!!というエンディングに唖然。

    警部補編で並び替えの手法が説明されていたために、
    もしかして本編全部が?なんて気負ってしまったり、
    警部補編で独身?だったように見えるのに巡査部長編では奥さん出てくるし!

    え、え、なにこれ??
    なんて思っていたら第4話でほー!!!

    なんてトリッキーな、そうしてお茶目な。

    貫井徳郎氏や折原一氏のような重厚な挑戦ではないけれど、
    このライトな感覚とでも、決して損をしない内容はまさにまさに、
    エンターテインメント〜〜!

    この作家さんももう、私の偏愛作家さんに決定です!

  • 連作短編集。
    短編集というと良くも悪くも無難にまとまった作品が多いなか、やはりこの方の作品は結構異色です。ただ、文章が読みにくいのであまりお薦めはできないんですよね。この作品は自分は結構好きでしたが。

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著者プロフィール

1968年千葉県生まれ。大学卒業後、会社勤務を経て執筆活動に入る。2004年、「キリング・タイム」で第26回小説推理新人賞受賞。同年「小説推理」掲載の「大松鮨の奇妙な客」は、第58回日本推理作家協会賞・短編部門の候補作に選ばれた。同二作を含む短編集『九杯目には早すぎる』でデビュー。著作に「4ページミステリー」シリーズ、『ロスタイムに謎解きを』『最初に探偵が死んだ』など。

「2016年 『お隣さんは、名探偵 アーバン歌川の奇妙な日常』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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