女王のジレンマ (フェアリーテイル) (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488503109

作品紹介・あらすじ

公園で見つかった70年代のディスコ全盛期の服装をした老人の死体。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。だが、新たな女王ソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか?マイケルはソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈㈱魔法製作所〉の著者の新シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 「ニューヨークの妖精物語」に続く、フェアリーテイル・シリーズ2作目。
    妖精界と行き来する姉妹の物語。

    妹のエミリーは、ミュージカル女優として売れ始めたところ。
    姉のソフィー・ドレイクは妹をニューヨークへ送り出して自分は実家で母と祖母の世話をしつつ、地元のバレエ団で働いていました。
    前作で妖精の血を引くとわかり、試練に打ち勝って女王となったソフィー。
    ところが、偽物の女王が現れ、妖精界から人間を追放する命令を出しているという‥?

    刑事のマイケルは事件現場で妖精を見てそのことを知り、しだいにソフィーと力を合わせていくことになります。
    マイケルの行方不明だった妻ジェンは、妖精界にいることがわかったのですが‥

    妖精についてのいろいろな伝承を取り入れつつ、かなり詳しい設定が描きこまれていて、読み応えのある世界になっていました。
    現代の普通の人たちが未知の現象に迷いつつも、異世界での冒険を華やかに繰り広げていくのです。

    芯が強くて世話好きだけど弱音を吐けないところもあるソフィー。力がありすぎたための不自由も実はあったのです。
    頼り切ってきた姉を助けたいけれど、姉のような魔法も使えず、勝手が違うエミリー。
    それぞれの恋のお相手もちょっと難しく、もどかしく、今のところは微笑ましいぐらいの展開に。

    ドラマは終盤、鮮やかに意外な展開となり~我慢しがちな大人の女性に夢を与えるストーリーでした。

  • そうかな、と予想はしていたけど、ジェンがそっちに残るなんて…マイケルが気の毒。
    おばあちゃんは、収まるところに収まった感じなのでしょうね。

    途中、なかなか話が進まなくて挫折しそうになったけど、これからのソフィーとエミリーが気になるので、第三弾も期待しています!

  • シリーズ第2弾。
    なるほど、そうきたか、という感ありのストーリー。
    ソフィーにとっては良いことなのかもしれないけれど、それを喜べるような女性ではないので、なあ。
    本当にがんばってる、素敵な女性なので、明るい未来がいっぱい待ってるはずなので。
    魅力的な脇役全部ひっくるめて、どうか幸せになってほしくて、続きを待ち望む。

  • 一人っ子の身としては、「姉妹」というだけで、別世界のファンタジーなのである。

    妹のピンチには、姉は必ず駆けつける。
    妹がいじめられていたら、姉はいじめっ子を蹴散らす。
    ちいさな妹からすれば、そんな姉は輝く無敵の女戦士だ。

    大人になれば妹だって「ちいさないもうと」ではなくなるのだから、「おおきなおねえちゃん」にそれほど出番もないだろうに、どうもそうはならないらしい。
    姉は「私がやらなきゃ、まもらなきゃ」意識まで成長して、自己犠牲の伴う大いなる世話焼きとなっていく。
    妹は「今度は私がおねえちゃんを助けなきゃ」となるが、その新しい役割に不慣れなのは否めない。

    姉妹というマジカルな関係を描いたファンタジー、2巻目である。

    ファンタジーには、その世界独自のルールがある。
    たとえば、

    妖精の国で飲食をしてはならない
    妖精にお礼を言ってはならない
    妖精にはむしろ貸しをつくるほうがよい
    狡猾さはいっそ称賛される・・・云々

    下手な作家は自分が縛られてしまって物語をつくれない。
    あるいは、後だしルールを加えてごまかそうとする。
    並みの作者ならば、縛りの中で、人物をコセコセ動かす。
    当然どれも面白くない。

    ひるがえって、スウェンドソンは、なんとのびやかに描くことか。

    物語も終盤になって、残るページ数をうかがいながら、どうなるんだろう無事に終わるのかなあと不安に思うのは、スウェンドソンのどの本についてもいえることだ。それが、終わりも終わりになって、舞台が反転するように、魔女が杖をふるように、話をうまくよくしてしまう。

    妖精と同じように、作家のこういう狡猾さはいっそ賞賛されるものだ。

    ソフィーが幼い時から妖精と触れあっていたように、彼女も自然と妖精の世界に馴染んでいたのだろう。テーブルマナーのように妖精のルールを身につけたにちがいない。

    ミュージカルについても、同様に馴染んでいただろうが(人がいきなり歌ったり踊ったりするという、これも世界独自のルールのある存在だ)、残念、私の印象ではこの要素は1巻ほどにはなかった。

    それでも、エミリーがミュージカルナンバーで、事態を好転させる場面はある。

    レ・ミゼラブルの「民衆の歌」動画
    https://www.youtube.com/watch?v=Zf71gy3uME4

    姉のソフィー、妹のエミリー、どちらも「少々厄介な相手」に思いを寄せている。
    相手にかわいらしさを見いだして、そこにたまらなく惹かれてしまうのがソフィーのほうというのが、実に姉らしいと思うがどうだろう?

    どちらの恋もうまくいってほしいなあと、ハラハラしながら読んでいる。

  • 妖精界の女王になったソフィーだが、彼女の知らないところで、妖精界から人間が追放される事件が頻発する。どうやら女王の名を騙る偽物がいるらしい。さらに、前作で妖精界から連れ帰ることができなかったジェンの説得など、色々、女王というのは大変。人間界側から魔法使い姉妹たちの助けを得て、あたかも真夏の夜の夢のような世界が繰り広げられる。真夏かどうか定かじゃないけれど。欲を言えば物々交換のアイディアが、もう少し膨らんでくれると良かった。

  • 公園で見つかった70年代のディスコ全盛期の服装をした老人の死体。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。だが、新たな女王ソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか?マイケルはソフィーと共に妖精界に乗りこむ。

    女王になって一件落着かと思いきや、新たな偽女王が出てきてソフィーは心休まりません。マイケルのことも会うと好きな気持ちがふくらんでしまうからと我慢し、彼の妻を人間界へ戻すために必死に頑張る姿が切なくて、ついつい自分の心を押し殺すソフィーに肩入れしてしまう。こうなって良かったと思う反面、それじゃあとすぐに気持ちを切り替えられるものでもなく、きっとゆっくり進む2人なのだろうけれど、3巻でどうなるか楽しみ。一方で妖精との恋に悩むエミリーの方も一筋縄にはいかない様子でどうなるか気になる。姉妹とも幸せな結末になってほしいな。

  • 図書館で。
    これはもう、好みの問題でしかないのだけれども…奥さんの居る男性とのラブロマンスってのが…受け付けない。まあ奥さんとは実質別れているようなモノなのだけれどもそれでもな~ 多分これから彼も彼女の事を…みたいな展開になるんだろうけれどもそれもナンカナー。妹と妖精ちゃんのカップルは結構面白いんだけどな。

    というわけで誰が何やってんだかて感じのお話で本筋はどこ?と言いたくなることが多くちょっと疲れました。(まあ本筋はラブロマンスなんでしょうが)
    まあ…このシリーズはここでイイかなぁ。この後、主人公と警官が恋仲になるのを見たい訳じゃ無いしな。

  • 今回も面白かった!姉妹のラブストーリーは次からどんどん動いていくのかなー?

  • 恋愛模様は進展してなくて、前作と基本似たような事をしているので、もうちょっと何か大きな出来事があると良かったかなと思います。

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