八十日間世界一周 (創元SF文庫) (創元推理文庫 517-3)

  • 東京創元社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488517038

感想・レビュー・書評

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  • 実際に読んでいないのに、タイトルだけで内容を知っている気になっている本は意外とあるもの。本作もなんとなくイメージだけで内容を誤解しており、読んで良かったと思いました。

    内容は、英国紳士がクラブのカード仲間に「八十日間で世界一周する」ことを賭けて、雇って間もないフランス人の下男を伴って、その日のうちにロンドンを出発。イタリアのブリンティジで鉄道から船に乗り換えてスエズ運河に。この時、銀行から5万5千ポンド盗んだ犯人を追うイギリスの刑事が、犯人はこの英国紳士だと確信してスエズ運河まで追い掛けてきますが、逮捕状が間に合わずに一緒に旅することになります。

    この英国紳士、とにかく一刻も狂いなく日常生活を送ることを常としており、旅先での風物などに全く興味がなく、楽しむ素振りもありません。読み始めは、期日しか頭にない主人公に全く共感できなかったです。
    しかし、ドジなフランス人の下男が巻き起こす騒動とイギリス人の刑事が巻き起こす遅延工作などにハラハラし、この英国紳士がお金を大盤振る舞いして問題解決していく様のなんと潔いことか。旅の途中で女性が加わり4人になるのですが、気が付けばこの4人の物語にすっかり魅了されていき、最後はとても清々しい物語でした。

    なお、日本について言及している部分がありますが、褒め言葉しか見当たりません。著者は日本びいきかもしれないですね。

    あと、この作品が新聞に連載されていたのが1872年(発刊は1873年)。当時の日本は明治維新(1868年)から間もない時期で、前年にサンフランシスコへの定期航路が出来てまだ間もない頃です。歴史に「もし」はつきものですが、黒船以降の幕末の動静によっては、日本(横浜)に立ち寄ることもなく、物語の内容がかなり変わってしまっただろうなと想像すると面白いですよね。

  • この旅行の単純さがいい。旅行というより賭なんだけど、ぐずぐずしていられないのに、ぐるっとまわるだけで旅行のエッセンスがあるなんて変な話だ。参加したくない団体旅行じゃあ味わえない目的と思いがけない見聞と、ついでに刑事に追われてるところが、科学科学してなくて地味なSFのよさを出しているのだな。

  • 学生時代に読んだ本。
    主人公フィリアス・フォッグが愉快なお付パスパルトゥーと一緒に世界一周を成し遂げる物語。
    はじめはフィリアスの性格が合理的そのものと思っていたが、途中起こった出来事に対してそのままにせず解決に関与する優しさがあった。
    物語途中で主人公たちが日本を経由するため、当時英国から見た日本がどんなものか知ることができるのも面白い。
    年齢層かかわりなく楽しめる物語だと思う。

  • ”結局?この旅行から彼は何を得たのであろう?何を持ち帰ったのであろう?何も!そうかもしれない。何も!しかし彼は……実に偶然ではあったが……美しい女性を得て、もっとも幸福な男性になったのである。こう考えると、たとえ、もっと得るところは少なくても、世界一周を試みる人は、これからもないとはいえないであろう”

    目下の新型コロナウイルス禍では、クルーズも世界旅行も世界中でご無沙汰の状況です。
    しかし、本書の最後に上記のようにあるように、冒険に惹かれて世界一周旅行に駆り出される人はこれからも尽きないのかもしれません。

    カジノに出入りする紳士、フィリアス・フォッグ氏は、ある晩常連のカジノクラブの仲間たちに、たった80日間で世界を横断してみせよう!と全財産を元手にした賭けをぶちまけます。
    大見えを切った手前のフォッグ氏は、付き人のパスパルトゥーを従えて、すぐさま慣れ親しんだ日常生活からドーバーを目指します。危険な場所を通過しながら、船や列車、像でもなんでもいかなる交通手段を使って、挫折を乗り越え80日という時間との勝負に挑む冒険譚。世界一周の名の通り、ロンドンや中国、インドに香港、日本を始め、アメリカやリバプールなどなど、異国情緒あふれる旅路の中で、象に乗って女性を助けたり、アメリカの線路で山賊と戦ったりと、驚くべき事件が満載です。

    私の思う本書の面白さとは、フォッグ氏がわずか80日間という期限を区切って世界一周できるという賭けを(大金をかけて)引き受けたことです。そして当然のことながら、彼は期限内に達成するために数学的な頭で旅程を正確に計するわけです。一度心を決めたフォッグ氏は、硬直した日常生活を完全に断ち切って「旅行」というモードに切り替わるのですが、日常生活との対比が本書の妙の一つだと感じています。

    本書は新しい鉄道の登場で世界的に観光が盛り上がっていた1873年に書かれたもの。他の多くのヴェルヌの作品と同様に探究心に満ちていて、世界のさまざまなエキゾチックな魅力を一級の娯楽品として提供した内容であり、大人になって読み返してみると、忘れていたドラマチックな結末に今一度惚れ惚れすることになりました。

  • 馬車、曾祖父さんから受け継いだ時計。
    黒髪で背が低く、せかせかと忙しい日本人。。
    audibleで読んだので次は本で。

    2024.3.30

  • ドキドキ、わくわく!

    こんなに冷静に生きてみたいけど、私だったら同じ状況になった時
    ギャーギャーワーワー言っちゃうんだろうな。
    何となくのラストが予想出来たけど、それ以上に最後の一文に旅好きな人はやられるに違いない!!

  • 旅先で一気に読んだ本。展開がスピーディーでストーリーも最高。久しぶりの星5つ。

  • カジノに出入りする紳士、フィリアス・フォッグ氏は、ある晩常連のカジノクラブの仲間たちに、たった80日間で世界を横断してみせよう!と全財産を元手にした賭けをぶちまけます。大見えを切った手前のフォッグ氏は、付き人のパスパルトゥーを従えて、すぐさま慣れ親しんだ日常生活からドーバーを目指します。危険な場所を通過しながら、船や列車、像でもなんでもいかなる交通手段を使って、挫折を乗り越え80日という時間との勝負に挑む冒険譚。世界一周の名の通り、ロンドンや中国、インドに香港、日本を始め、アメリカやリバプールなどなど、異国情緒あふれる旅路の中で、象に乗って女性を助けたり、アメリカの線路で山賊と戦ったりと、驚くべき事件が満載です。

    私の思う本書の面白さとは、フォッグ氏がわずか80日間という期限を区切って世界一周できるという賭けを(大金をかけて)引き受けたことです。そして当然のことながら、彼は期限内に達成するために数学的な頭で旅程を正確に計するわけです。一度心を決めたフォッグ氏は、硬直した日常生活を完全に断ち切って「旅行」というモードに切り替わるのですが、日常生活との対比が本書の妙の一つだと感じています。

    本書は新しい鉄道の登場で世界的に観光が盛り上がっていた1873年に書かれたもの。他の多くのヴェルヌの作品と同様に探究心に満ちていて、世界のさまざまなエキゾチックな魅力を一級の娯楽品として提供した内容であり、大人になって読み返してみると、忘れていたドラマチックな結末に今一度惚れ惚れすることになりました。

  • トラブルだらけ!
    強靭な意志の力で乗り越えるフォッグ氏と仲間たち!超かっこいいぜ!
    ラストも痺れる。最高のエンターテイメント作品。

  • 小説で設定された時代において世界一周をおこなうことは、未知の世界を次々に見るもので、その先々であう事件とともに(バイアスがかかっていることも含めて)登場人物たちの目線で見ることができておもしろかった。
    ラストも世界一周ならでは。

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著者プロフィール

ジュール・ベルヌ

「2005年 『海底二万海里(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジュール・ベルヌの作品

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