オドの魔法学校 (創元推理文庫 F マ 9-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488520076

感想・レビュー・書評

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  • 書店で久しぶりにマキリップの名前を見つけて狂喜乱舞。
    『イリスの竪琴』に出会ってから、もう何年経ってしまっただろう。

    マキリップのストーリーの味わいや肌触りは、とてもル=グインに似ている。ル・グインはケルトではなく、もっと民俗学に寄り添った感じの文化をもつ世界を創り上げるけれど、マキリップは純粋なケルトに近い。
    魔法学校という名前のせいかもしれないけれど、『ゲド戦記』の(確か)4冊目を私は思い出した。
    もちろん、思い出したといって類似の場面や展開があったということではなくて、なんというか頭に思い描かれた魔法学校の風景が非常に似通っていたというだけなのだけれども。
    魔法のシステムも、魔法使いという職業についても、非常に魅力的な設定だったし、イメージがキラキラしていて本当に面白かった。
    創元文庫から出たマキリップの本があと3冊あるので、楽しみに読もうと思う。

  • 本が好き!に登録する前に、書評などを見て関心を持ち、図書館で予約していた本です。

    評価は:★★★★。

    たくさんの人が書評で書いてある通り、とても面白かったです。
    読後感がとてもさわやかです。
    地味目な話に、暗い主人公、人が陥りやすい暗い部分、など、
    そこそこ重い話が続くのですが、
    魅力的な脇役たちが、踊るように華やかに演出してくれます。
    星4つの評価は、翻訳のせいももしかしたらあるのかもしれませんが、
    少しわかりずらいところがある、というのが理由です。

    いろいろな人の評価を見ていると、作家さん自体にくせがあるようなことも書いてあるので、作者の問題かなぁとも思います。
    もしかしたらそれも魅力なのかもしれません。

    この作家さんですが、相当なファンタジーの巨匠のようです。
    私は他の作品を読んだことがないので、
    早速、他の作品も読もうと図書館で予約をしてみました。

    続きは<a href="http://www.aqualuna.jp/archives/2009/01/18201559.php" target="_blank">ブログ</a>で。

  • 結末が素晴らしかった。

  • 図書館で。
    登場人物が多すぎてなんだかよくわからないままお話が始まったんだか始まってないんだかって感じで…。途中で飽きてしまいました。
    結局魔法って、オドって結局何ものだったんだ?とかいう感想です。

  • この本がきっかけでマキリップにはまる。

  • まずはこの表紙の絵、美しいと思いません??  KiKi はねぇ、元々ブルー系の色には滅法弱いんですよ。  冴え冴えとした空に浮かぶ月のような弓なり形。  そこにくつろいで身を預けているかのような女性1人。  そのコスチュームがこれまた美しく彼女が手にしたお面は妖しく、それだけで KiKi の美意識をグリングリンと刺激してくれちゃいます(笑)  この表紙で存分に膨らませた妄想・イメージをそのまま言語化したような物語でした。

    ただね、マキリップの物語ってどうも感想が書きづらい物語ですねぇ。  というのも何か主張したいものがあるか?と問えば恐らくそれがない作家さんのような気がするんですよね。  ある種の神秘を幻想的に美しく描く才には溢れているけど、テーマは何??と戸惑っちゃう・・・・・そんな印象なんです。

    この物語、深読みしようとすると KiKi の頭を巡るのは、例えば「ケルトとローマ帝国の関係」とか「世俗権力と科学の対立」とか、「苦しいときの神頼みを得意とする人間」とか、そういうことに対するある種のアンチ・テーゼに読めないでもないような気がするんだけど、恐らくマキリップさんはそんなしょ~もないようなことを声高に主張したいと思っているわけではないような気がするんですよね。(苦笑)

    普通の人間には駆使することができず、ついでに理解することができないある種の力と普通の社会生活を恙なく過ごしたいと欲する人間が共存する1つの方法論はこの物語のタイトルにもなっている「オドの魔法学校」のように世俗権力によるガジガジの管理下に置く・・・・・というのが手っ取り早い対処方法なわけだけど、それってある時間を経れば必ず歪が生まれるわけでして・・・・・・。 

    原始的に「魔法」と呼ばれてきたものと、集団生活の規律というヤツはそもそも相性がよくないんだよなぁ・・・・・というある種当たり前のことを再認識する読書だったように思います。

    それにしてもこの物語に登場する「黄昏区」という名前の歓楽街は何とも魅力的だなぁ・・・・・・。  個人的にはこの「黄昏区を持つケリオールという王都」≒「都市」≒「人工的な構築物とそこに住まう人々」 vs. 「古代からの絶大な力の眠るスクリガルド山付近」≒「田舎」≒「自然と共存しながら生きていく人々」というのと同じような対立構造を感じながら読んでいたんだけど、この2つの対立軸ではどちらかというと後者よりの生き方を選んだ KiKi をして幻惑されそうな魅力を放っていたのが「黄昏区」でした。

    そこにあったのは表面的なきらびやかさとはどこか異質なもの。  どんなものをも受け入れる懐の深さとあらゆる事物をあるがまま以上に輝かせる人間が本能的に持っているあふれんばかりの期待感が満ち満ちていて、そこに希望・夢といったようなものを感じさせてくれたように思いました。  思い起こせば田舎育ちの KiKi が大学進学と同時に上京した際に感じていたある種の期待感はこれと同じようなものだったよなぁ・・・・・と。

    本当の事件が起こるのは実はこの物語の後日譚になるのではないかと思うけれど、この物語が提示している「得体の知れない庭師 & 都を騒がす妖術師とケリオールという王都に暮らす普通の人々がどのように共存していくのか?」というお話は恐らく人類がこれまでの歴史の中で繰り返し行ってきたある種の選択と同義なのだと感じます。  

    考えてみると「遺伝子組み換え技術」、「クローン技術」、「ips 細胞と医療」な~んていうのも、この物語の「魔法」とは別次元とは言え、やっぱり「神の領域に属する魔法みたいなもの」でもあるわけで、それらの技術と人間がどんな風に付き合っていくのか、私たちはある種の選択を迫られているわけです。  その時代、時代であるレベルの倫理観によって選択した共存の仕方を見直したりすることも出てくるのではないかと思います。  そんな時、オドという存在を持たない私たちがどんな風に何を考えどんな選択をすべきなのか・・・・・・。  

    答はわからないけれど、少なくともこの物語に出てくるヴァローレン(魔法学校の優秀な卒業生で、現在国王の顧問官)のような思考停止状態になっていたくはないものです。  とは言っても、ヴァローレン、結構興味深い人物で、この物語の中ではけっこう存在感があったんですけどね(笑)

  •  面白かった! マキアリップは他にも読んでいて、正直ストーリーよりも描写と描かれる世界の美しさを楽しんでいたのですが、これは物語にもばっちり引き込まれました。
     最強の魔力を持ちながらそれに無自覚の庭師。謎めいた美女に恋をして、彼女の地味な素顔を「その顔が一番好きだ」と言い切る警備隊長。誰にも話を聞いてもらえず鬱屈を貯め込む王女。みんな魅力的でしたが、個人的に一番注目したのは最も魅力的でないだろう堅物魔術師。
     心を読むことで真実を知れるから、逆に自分の頭で考えようとせず何でもかんでも魔法で解決しようとする。心を読まなくても少し考えれば察せられる王女の乙女心が全くわからず、怒らせちゃって「どうして怒ったんだ?」と周囲に聞く様はとってもユーモラス。実際いればすっごく腹が立つだろうけど、だからこそ作者の筆力に感服しました。
     どんでん返しもあって、文句なしの大団円で、独創的な世界観にわかりやすい。解説でもマキアリップ初心者にも熟読者にもオススメとあったけど、全くその通りだと思います。

  • ストーリーはSFの超能力を魔法に置き換えたようなような感じ。しかし、硬直した魔法学校、歓楽街「黄昏区」の対比した雰囲気がすごくいい。硬直した魔法使いの代表、ヴァローレンのあまりの硬直ぶりは印象に残る。

  • 生まれてからずっとキャベツしか食べてこなかったとすれば、隣の牧場にいる肥ってもこもこした物体が食べ物だと、どうやって認識できるのだね?

  •  現代の魔法ではなく、ここではないいつか別の世界での魔法と人とを描いたファンタジー作品。
     細やかな描写に慣れるまではとっつきにくいのだが、慣れてくると、世界が鮮やかに彩られるさまが素晴らしいと感じてくる。

     出てくる登場人物もわかりやすいながらステレオタイプな描写ではなく、少し違う視点から見られていて面白い。
     正統派ファンタジーが好きな方ならばオススメ。

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