- Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488537036
作品紹介・あらすじ
エルミーヌの王都にある王立学院で学んでいたカレンスは、父危篤の知らせを受け急ぎ故郷に帰った。五年前、仲のよかった妹が魔物棲みだとわかり若い命を散らしたとき、守ってやることもできず、逃げるように都に向かったのだ。久しぶりの故郷。だがいまわの際の父が彼に託したのは、余りに重い秘密だった。魔導が禁忌とされてきた北の大国エルミーヌを舞台に、偏見や因習と闘い新たな道を切り開く青年の姿を描く『魔導の系譜』続編。
感想・レビュー・書評
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図書館で。
前回とは違った主人公。魔法を使える者は幼いうちに殺される国の話。学校生活辺りは楽しかったけど、女性が男性に身体能力で勝るのは結構大変そう。とは思うけどファンタジー世界だから男性・女性の筋量差とかあまりないのかもしれない。
個人的には魔法使い=殺される・寝たきり状態にされるというしきたりがある国で、そういう文化を知っている妹が、何故兄を恨むのかがわからない。良い悪いは別として、例えば現状の医療では治せない未知のウィルスに罹患した患者を隔離する、もしくは殺戮する、となった時にウィルス罹患者が抵抗するのはもっともな話だけど、家族を恨むだろうか?まぁ、その処置を決めた父親や理解の無い母親を恨むのは分かるけど。でも子供だった兄に何ができたとも思えないし、兄がお前を何が何でも守ってやるとか約束してたら話は別だけど、何故怒りの矛先が兄に行くのかなあ?妹ちゃんだって自分の能力の暴力性も把握した訳だし。まぁ恨む対象が無いとやってられないって気持ちはあったかもしれないけど。
主人公の親友の女の子は中々面白いキャラだなと思いました。前作の主役二人は…まぁあの二人でなくても良かったような気もするけどそれはそれか。 -
おっと…
LGBTをネタにしたのは失敗だったのではないかな。
この題材は現実にあるものであり、Lだけでも数冊書ける複雑で繊細な話。
それをサブキャラで片手間に扱うのは相当チャレンジングでリスキー。
そして残念ながら、マジョリティが持つステレオタイプなレズビアン像から抜け出せていない。
これは苦笑いする当事者の人がいてもおかしくないかも (好意的なのは伝わるから、怒りはしないだろうけれど…)
前作もディスクレシアについて余り作中に生かせてなかったし、現実の社会問題を無理に入れなくてもいいのでは。
ファンタジーの中でのみ成立する差別問題を扱うことで、かえって現実への普遍的な風刺となるだろう。 -
シリーズその2
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シリーズ2作目ではあるものの、前作とは主人公が違う。さらに時期も前作の何年後ではなく被せている。前作の登場人物も出てくるが、今作の登場人物もキャラクターが際立っており、人物の整理が必要になる。
ストーリーは根底にあるのは前作同様に成長ストーリー。貴族の若者が外に出て友を得て故郷に帰り困難を乗り越え成長する。この作品の中で魔法は便利なテクノロジーと同等だが使える者は天賦の才能を必要とする。そして周囲からは疎まれ妬まれる。ここまで魔法使いが虐げられるファンタジーも珍しい。
まだ続いてるようなので楽しみとする。 -
「魔導の系譜」の2作目。
他国では魔導師として教育される素質を持った人々が「魔物棲み」と呼ばれ処分される国の、貴族として生まれ育ち魔物棲みの妹を失った青年と、魔物棲みとして薬漬けにされていないものとされていた少女の話。
「魔導」を冠したシリーズだが、描かれているのは魔導ではなく、魔導という力のある世界の人間。
前作から感情や情景の表現が一気に増えたように思う。でもネチネチしてないのが良い。 -
この2作目も感動的だし、世界観も広がりを見せて凄く良かった。青春の学園生活描写があるので、1作目より鬱々とした重苦しさが薄まった分、軽快に読めた。でも深く考えさせられるテーマは健在。