影王の都 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 115
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488563028

作品紹介・あらすじ

両親が相次いでなくなり、兄も夢を追って家を出て行った。ひとり残された少女リアノのもとにやってきたのは、口をきく髑髏。図々しいことにそいつは砂漠に連れて行って欲しいと求めた。だが、砂漠で待っていたのは〈影王〉が統べる呪われた都。神の怒りにふれ、永遠に砂漠を彷徨う運命となったという伝説の都だった。ねじれた運命の糸に絡め取られるリアノ。〈影王〉とは何者なのか。第1回創元ファンタジイ新人賞審査員特別賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞作品。

    きらきらした色彩に飲み込まれそうになる小説だった。徹頭徹尾宝石の名前で美しい人や場所が描写されていて、最初は楽しんで読んでいたのだが段々食傷気味に。この世界には美しいものと美しい場所しかないのか。
    影の都だけ宝石で描写するなら、他のものとのコントラストで鮮烈な印象を与えられただろうに、もう何もかもぎらぎらしすぎて……。
    基本的な語り口は軽快で読みやすいものだったのだけれど。

    ストーリーも今一つ心に残らなかった。おとぎ話のようなお話。いい意味でも悪い意味でも。いろいろ練られているし伏線も豊富なのだけれど、心に波をもたらすような何かはなかった。最初はなかなか読み進められなかったし。

    そして最後はかなり駆け足だったと思う。一気に地の文の量が減って、あってもかなり雑な描写になって、種明かしシーンが十数ページ続く。ミステリで探偵がトリックを暴くシーンじゃないんだからさ。
    いろいろ展開が唐突すぎるし。なぜ根幹部分の謎に限って伏線を張らなかったんだ。別にファンタジーでそれをやるのは構わないと思うけれど、やり方が乱暴だよ。

  • 頑張って美しいものの名前を使っているのだけど、美しさが実感として伝わってこない、なんだかただ並べ立てるだけ、みたいな文章だと思ってしまった。セリフ回しもちょっと不自然。
    せっかく砂漠に向かうのにありがちな西洋ファンタジー的世界観が残念だ。砂漠なのにオーロラを知ってるのは何故だろうとか感じてしまう。
    魔法を得るのも簡単すぎやしないか。
    なんだか、うーん、という感想でした。

    何か既視感があると思ったらタニス・リーの死の王の、シミュラッドに似てないかこれ。

  • 複数の登場人物、舞台の物語がつながっていくところと、ヒロインとの小気味よいやりとりが楽しかった。終盤がいまいちだったので、次回作に期待。

  • 以前から気になって本。色々視点が変わって読みにくいかと思ったけど、結局それぞれがどうなるのか気になって目が離せなかった。兄のガレルーンがかわいそう…

  •  第1回創元ファンタジイ新人賞特別賞受賞作。

     巻末の選評で三村美衣が「まさにこれぞファンタジイ」と述べているように、世界観も道具立ても人物造形もどれもがファンタジー小説の「王道」で、文章はいかにも若書きだが(形容表現の引き出しが少ない、心理描写の書き込み不足)、構成がしっかりしているため完成度は高い。ただし物語のたたみ方が綺麗事すぎて甘すぎる。この世界観と展開ならばもっとビターな結末の方が余韻が残ると思った。

  • 図書館で。
    読了後にまず思ったこと。お兄ちゃん可哀想。なんか…彼がひたすら哀れでしたよ…

    髑髏とヒロインの出会いと旅立ちは面白かったんだけど彼女を連れ去った魔法使いの件は無くても良かったような。昔話が挿話として入ってくるのは良いのですがお兄ちゃん視点が入ってきてさらに話が広がるの?と面倒に思いました。そして影王が実は3代だか4代だったというね…もっと壮大な時間軸の話かと思ったのに。そしてなぜにヒロインが謎の男に惹かれるのかその辺りも実に不可解。顔が好みだったんだろうか。まあそれを言ったら彼らの祖父母からして特殊状況下での恋だしなぁ…
    でも最後の読後感は良かったです。
    もう少し登場人物が少なくても良かったのかななんて思いました。

  • しかけが良い。ただ前半で匂わせがないので(気づかなかったので)、そうなんだ、と思うに留まる。違和感を解消するカタルシスという風ではない。でも説明自体は分かりやすく、すらっと事情が飲み込めるのでストレスにはならない。

    ギミックの解除部分は、じゃっかん「??」となる。なぜ過去にできなかったことができるようになったのか、よく分からなかった。

    読みやすく、まとまりが良い。今後の作品で雰囲気が違うものが出てきたら読んでみたい。

  • 所々消化不良な感じがあるけど、まあ、受賞作で新人さんということでその辺りは仕方のないことかな、と。さらっと流されている設定と時間軸の入り混じり具合がちょっと説明不足で、途中で「???」となっている部分はあり。

    ただ、もう、髑髏のキャラがとにかくよかった。これだけでキャラクターの勝利だよって思った。

  • 本屋で偶然目についたので買った一冊。
    感想としては…上下巻にしてもう少し深堀りして欲しい。
    (と言えど「創元ファンタジイ新人賞」への応募作品だったので規定枚数しか書けなかったのだろうが)

    ファンタジー小説に良くあるのは、細かい設定が作りこまれていること(e.g. どのような条件で魔法が発動するか、どういった素材を使えば魔具が作れるか、など)。
    細かく作りこまれるほど、世界観ははっきりし、ファンタジー好きにはたまらないが、逆に違和感も生まれやすく、ファンタジー苦手の読者には伝わりにくい。
    それを踏まえた上で、この小説は良くも悪くも細かすぎる設定がされていない。魔法自体あまり出てこない上、出てきても「便利な道具」ぐらいな認識しかされていない。

    小説自体は架空世界の話であり、読者の想像に委ねられる要素が多いため「ファンタジーの世界観」ではある。だが、細かい設定欠けている(または表現しきれていない)ため、ファンタジー好きとしては少し物足りない印象を受けた。

  • これも新聞評されてたもの。これも私にはイマイチやったなあ。とにかく難し過ぎる・・・

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