文豪妖怪名作選 (創元推理文庫)

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著者 : 東雅夫
  • 東京創元社 (2017年8月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488564049

文豪妖怪名作選 (創元推理文庫)の感想・レビュー・書評

  • タイトル通りのアンソロジー。鏡花の「天守物語」と百けんの「件」は鉄板で、もう何度読んだかわからないくらい好きだけれど、それ以外もお馴染みの有名作もあれば、掘り出しものもあり、アンソロジーの醍醐味が存分に味わえました。以下お気にいりなど。

    尾崎紅葉の「鬼桃太郎」は桃太郎に退治された恨みを抱く鬼たちが「苦桃(にがもも)」から生まれた鬼桃太郎に桃太郎退治を託すというブラックなパロディ作品で、挿絵もついててとても楽しい。

    日影丈吉の「山姫」は巫女と守護狼(犬)の八犬伝か犬狼都市かという異類婚姻譚的な匂わせもたいへん好みな上に、ノンフィクション風だったのにオチがいきなりホラーで最高。

    椋鳩十は子供向け動物もの作家という文壇のムツゴロウさん的なイメージしかなかったのだけど、ヒラヒラしてるだけで無害だと思ってた「一反木綿」がまさかこんなエログロ妖怪になってしまうとは!数ページの短さですがなかなかの衝撃です。

    河童好きとしては火野葦平の「邪恋」も外せない。脳内の河童アンソロジーに早速収録。美人の河童というと昔の黄桜のCM思いだすなあ。

    佐藤春夫「山妖海異」は既読だったけれど、相変わらず可愛げの欠片もない口の悪い人魚が気持ち悪すぎてツボる。


    ※収録作品
    「鬼桃太郎」尾崎紅葉
    「天守物語」泉鏡花
    「獅子舞考」柳田國男
    「ざしき童子のはなし」宮澤賢治
    「ムジナ」小泉八雲(円城塔:訳)
    「貉」芥川龍之介
    「狢」瀧井孝作
    「最後の狐狸」檀一雄
    「山姫」日影丈吉
    「屋上の怪音──赤い木の実を頬張って」徳田秋聲
    「天狗」室生犀星
    「一反木綿」椋鳩十
    「件」内田百閒
    「からかさ神」小田仁二郎
    「邪恋」火野葦平
    「山妖海異」佐藤春夫
    「荒譚」稲垣足穂
    「兵六夢物語」獅子文六
    「化物の進化」寺田寅彦

  • 文豪主催の百物語に招かれた気分になれる素敵なアンソロジーでした。彼らが語る妖怪話を思う存分堪能。
    文豪毎に採用する物語の選び方と編集の順序が絶妙。巻末の編者解説でそこら辺のこだわりが書かれてますが、掲載順に話のネタが繋がる感じになっているので、百物語で「この話をきいて思い出しましたが、こんな話が……」と次々文豪が語りはじめてくれているような気分になれます。(なので、アンソロジーだからと気になる作家の作品だけつまみ読みするのではなく、頭から順番に読んで欲しい)

    どれも面白かったのですが、やはりトップバッターの紅葉先生の『鬼桃太郎』がお気に入り。まさかのドジっ子属性のアレとかトンデモ展開とか凄いですよ……挿絵もステキでした。
    あとは、流石門弟三千人の佐藤春夫。あっちこっちの文豪の語りに出てきて笑ってしまう。どんだけ顔が広いんだよと(笑) で、締めが寅彦ってのもシビれました。

  • 文豪の、妖怪に関しての作品を集めたアンソロジー。読みやすい。各作品の扉裏に取り扱われている妖怪と作者の簡易な説明があるのも嬉しい。

  • 明治~昭和の文豪の作品から、妖怪が扱われているものを選んだアンソロジーだけれども、名高い作品もあれば、ああこんなのがあったのかと思うものもある。
    そして、並べ方が実に秀逸。
    文壇は、○×派などというものがある通り、ある程度グループを作ったりなどして交流があったもので、そういうところから、あるいはテーマから、互いにつながっていくように並べてある。
    まあ、収録されているものには好みのものもあれば好みではないものもあるのは仕方がない(たとえば私は昔から火野葦平の作品はいまいち相性が悪い)。
    とはいえ、嬉しいのはやはり掘り出し物で、獅子文六による「兵六夢物語」などは私にとってはまさにそれであった。

  • 妖怪をテーマにした短編アンソロジー。
    尾崎紅葉から始まり、泉鏡花、小泉八雲(翻訳は円城塔)、芥川龍之介、内田百閒……と、そうそうたる顔ぶれ。登場する妖怪にそう多くのバリエーションがあるわけではないのだが(例えば〝狢〟や〝河童〟は被っている)、読んでいるとそんなことは気にならない。
    本編だけでなく、巻末の解説も読み応えがあった。怪談好きは是非。

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文豪妖怪名作選 (創元推理文庫)の作品紹介

文学と妖怪は切っても切れない仲、妖怪に縁の深い作家はもちろん、意外な作家が描いていたりする。本書はそんな文豪たちの語る様々な妖怪たちを集めたアンソロジー。雰囲気たっぷりのイラスト入りの尾崎紅葉「鬼桃太郎」、泉鏡花「天守物語」、柳田國男「獅子舞考」、宮澤賢治「ざしき童子のはなし」、小泉八雲著/円城塔訳「ムジナ」、芥川龍之介「狢」、室生犀星「天狗」等19編を収録。妖怪づくしの文学世界を存分にお楽しみ下さい。

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