炎と茨の王女 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488568023

作品紹介・あらすじ

オロバジェ国の第2王女エリサは、砂漠の国の王に嫁ぐが……。神に選ばれし者、ゴッドストーンを帯びた王女の運命を描く、パオロ・バチガルピ激賞の異世界ファンタジー開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    ファンタジー3部作の1冊目です。

    ライトノベルのりというかヤングアダルト向けなので、16歳の共感しやすそうな~あまり出来の良くない王女がヒロイン。
    ところが1冊でどんどん成長していくので、大人でも十分、物語を堪能できますよ!

    エリサは、オロバジェ国の第2王女。
    美しく利発な姉は父のお気に入りで、王位を継ぐと決まっている。
    内気なエリサは姉に引け目を感じ、読書と食べることに夢中になって、すっかり太ってしまった。
    笑える展開で導入します。
    乳母と侍女には甘やかされているが、他に友達もいない‥
    エリサは、その身にゴッドストーンを帯びて生まれたという運命を背負ってもいた。
    120年に一度、生まれ、神のために働くものとされているが、歴代の人物は同じことをしているわけではなく、詳細がわからない場合もある。
    有名な人物は神のために命を落としていた‥

    ある日突然、広大な隣国ホヤ・ド・アレナ国の王アレハンドロとの結婚が決まる。
    年は上だが、ハンサムで優しく、とても魅力的な王。
    ところが花嫁の一行は途中で山賊に襲われるし、国に到着しても結婚は隠しておくように言われて、お客様扱い。
    国境地帯では紛争があり、国は意外にまとまっていない様子なのだ。
    そして、王には、女伯爵という愛人らしき女性がいた。
    その侍女コスメがスパイとして、エリサのもとに送り込まれるが‥?

    誘拐されて砂漠行、いつの間にか痩せていくエリサ。
    ここで苦難を分かち合う遊牧民のウンベルトと惹かれ合うようになるが‥
    波乱万丈の展開!

    たっぷりした黒髪で褐色の肌という設定で、露出的な服も着ないし~表紙イラストとは違いますが‥それで太ってるというのは描きにくいかもね?
    心根のあたたかさと、賢さや勇気がいざというときには発揮されるので、とても頼もしいヒロインです☆

  • 神が選びたもうた王女エリサはゴッド・ストーンを身体に帯びて生まれて来た。
    天真爛漫我儘一杯に育った彼女の今の願いは嫁ぐ先が自分が嫌いになれる相手であること。だってこんな太った自分を好きになってもらえるわけないじゃない!

    冒頭、花嫁衣装を着るところから笑える。切ない。乙女心なのである。
    大筋ではエリサの成長物語。
    周囲に期待に反し何もできない自分に悩み苦しみ、少しずつ前に進んでいく様は、物語前半の砂漠を歩む描写が象徴的に表している。
    エリサの頑張りっぷりと恋と友情がぎっしり詰まって最後まで一気読み。
    作中に出てくる料理が美味しそうで、キャラクタたちが実に生き生きとしていて、普段ファンタジーに馴染みがない自分でも楽しく読めた。

  • (No.14-5) ファンタジーです。

    内容紹介を、扉から転載します。
    『今日は私、オロバジェ国の第二王女エリサの結婚式。砂漠の国ホヤ・ド・アレナの王アレハンドロに嫁ぐのだ。美しく賢い姉ファナが祖国の王位を継ぎ、食いしん坊で飽きっぽい私が祖国の二倍もある国の王妃になるなんて、本当に皮肉。
    初めて会った夫はうっとりするくらい素敵で優しい。でも嫁ぎ先ホヤ・ド・アレナ国に着いた私は何かがおかしいと気付いた。なぜ夫は結婚したことを隠すんだろう?
    四世代に一人だけ現れる神に選ばれしもの、ゴッド・ストーンを帯びた王女エリサの数奇な運命を描く、異世界ファンタジー三部作開幕。』

    表紙を見てから読み始めて、え~なんか間違ってない?この王女様の絵は書いてあるのとずいぶん違ってるんだけど・・・・って思いました。
    でも心配することは無かったんですね。ちゃんとこれで合ってました。

    16歳の誕生日に結婚式。しかも結婚が決まってたった7日間しかなかった。このバタバタはなぜ?まあ王家の結婚なんてそんなものよと達観してるエリサですが、会ったことがないアレハンドロ王が醜い年寄りでありますようにと願ってます。
    なぜならエリサは美しくスタイルの良い姉と違い、と~っても太ってるから。準備期間が無かったため着るドレスさえない。
    ところがアレハンドロ王はこの世にこれほど素敵な人がいたのかと思うくらい魅力的な男性で・・・・。
    だけど後から分かることですが、オロバジェ国にもホヤ・ド・アレナ国にも切羽詰った事情があったんです。

    エリサがこんなに太っちゃったのは、ストレスによる過食症ですよ。
    自分を産んだために母は亡くなり、国のことは全部頭上を素通りして父王と姉が取り仕切ってる。
    ゴッドストーンを身に帯びているために、何か神の崇高な任務を果たすことを期待されていること。
    とっても甘やかされ大切に育てられているけれど、その期待にどう答えればよいのか分からないし、自分にとって何か大事なことを隠されている。
    そりゃ、過食にもなるわ~。

    その過保護な環境からいわば放り出され、嫁ぎ先で何とか居場所を獲得しようと頑張るも、あれれ二転三転。いきなり結婚しちゃったけど、これはやはり少女の成長物語。
    私が大変気に入ったのはエリサの賢さ。自分では飽きっぽいと思ってるようですが、相当粘り強い性格です。回りをよく観察して、感情に走らず利益のためなら我慢もする。大局を見る目を持っているのは、やはり王女として育てられたからでしょう。父だったら、姉だったらどうしただろうと冷静に考えます。

    エリサは過酷な運命に翻弄されますが、他の登場人物に起こることも過酷です。結構人が死にます。甘くないところが辛いけれど、そこが気に入りました。
    すごく面白かったです。とりあえずこの巻は終わってますが、早く続きが読みたいです。

  • ファンタジー小説には疎いけれど、これが素晴らしい作品なのは分かる。凡庸な王女がいつの間にか苦難を乗り越え、大きく成長し、自分に自信をつけた。訳がいいのかなあ、内容がリズム良く染み込んできて、物語に没頭できる。

  • エリサの成長が著しくかなりたのしく読みました。220ページからの、俯いて臍を見るところから221ページのシーンはお気に入り。

    コスメが、最初はツンだけどエリサより酷い目にあってるし、エリサと仲良くなって辛さを分かち合うようになってからはすごく支えになってくれるので、これも好き。女の子同士の友情もいいよね。

  • 卑屈だった主人公が、様々な苦しい事件を乗り越えたことで、めきめき成長していく。事件もありとあらゆるものが立て続けに起きて、休む暇ないスピード感があります。最初と最後で別人のようになったエリサがとても魅力的。

  • 異世界ファンタジー。コンプレックスだらけの上に認められない花嫁として登場するエリサだけど、試練を経て強く逞しくなっていくところ、大変好みです。(親指立て)
    なんだけど、あれれ、ヒーロー候補も王様もこうなっちゃうんなんて、続きは一体どうなるの?
    三部作だそうで、2巻目はすでに発売済み。また古本を狙うのだ。(殴)

  • ジャケ&タイトル買い、大当たりの王道ファンタジー三部作の一作目。
    神に祈るのも大事だけれど、なりたい自分になりたいと思う心、そして行動すること。
    彼女の成長とともに、忘れていたものを思い出す。
    次作が楽しみ。

  • 大食いで太めな第二王女が隣国の王妃として嫁ぐが、慣れない嫁ぎ先にあって緊張で食が細くなるどころか相変わらずってどうよ?と、最初はヒロインにどうも感心しなかったのですが、とある状況変化で見る見るうちに王女の心栄えも行動も変化していく様が凛々しく頼もしく感じられました。なさけ無さそうな王も最後にはやってくれました。すっかりハッピーエンドの大団円じゃなく厳しい現実がある所も良かったです。これ一冊で充分完結してるようにも思えますが、3弾もあるとのこと。楽しみです。

  • 海外のファンタジーは世界観に馴染めなくてうーん、と思うものが多いけど、これは面白かった!
    主人公エリサが一生懸命で、どんどん成長していく様に惹きつけられて一気読み。

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