牢の中の貴婦人 (創元推理文庫 F シ 4-9)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488572105

感想・レビュー・書評

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  • 起承転結の起がまるっとない!
    そして全く説明されない!
    解き明かされるミステリー的な作品だと思い込んでいたので、ぽーんと放り出されるラストに唖然としたが、抽象的な言葉の意味や文章の隙間を想像すると、全て説明されるのとはまた違う読書の楽しみがある。
    解説で、作者が今作を書いたきっかけを知るとまた唸るなぁ。

  • 異世界から来たエミリーが何がなんだかわからないまま牢に閉じ込められ、日記を書く構成でストーリーが進んでいく。
    日記という形式だから、エミリーのハラハラドキドキをリアルタイムで味わえた。
    最後は結ばれるの?出られるの?何かわかるの…!?と、薄く期待しつつ読み進めたのに、なんとどれも叶わず呆然…!!
    なんてビターなんだ…。そのためすごくリアリティのある作品になってるなと思った。
    初期の頃の作品がこれで、この後さまざまな魔法の本書いてると思うと、なんだか夢があるなぁ。デイルマークの4部作の原形となったそうなので、そちらも読んでみたい。
    にしても、毎回思うけど、疾走感と出てくるキャラのいやらしさやダメ加減も含めて、よく描ききってるダイアナさん…!
    ウルフラムのもじもじ加減も、彼に苛立つ主人公の気持ちも手にとるようにわかった。そういう凸凹したとこもちゃんと書いてくれるから、心にフィットする身近に感じられる作品になるんだな。すごいな。
    最後まで読んでみると、階下を隔ててエミリーが見ていた彼は、典型的な片想いのキラキラと理想で形作られたもので、恋という魔法がかかっていたのだろう。
    それを見せつけてくれる大人の恋愛物語でもある…涙。

  • 数日前に読了。表紙絵の空気感が不思議。
    なんとなく、どこかでエミリーの気持ちがくじかれるだろうことは予測していたのだけど、もしかしたら、という気もして最後までハラハラ読んでしまった。ここで切るのか…!とも思うけど、作品の雰囲気にはこの中途半端な終わり方が合ってるなと思う。魔法に絡む部分はエミリーが異世界に飛ばされたところくらいだし、ジョーンズ作品としては少し異色、だけど「九年目の魔法」なんかの系統とは(終わり方は別として)ちょっと似てるかも。けっこう、好き。
    デイルマークシリーズも今度読もうかなぁ。

  • 9784488572105

  • 現代のイギリス人女性エミリーが
    時代をさかのぼった様な異世界に迷い込み
    重要人物の身代わりにされて牢に送られる物語
    牢を囲む僅かな登場人物からの少ない情報から
    思いを巡らせて情報を選り分けていく過程が興味深く
    個性的な登場人物が際立って善悪が曖昧が面白い
    哲学的な表現が多く読みづらい
    不思議の国のアリスが好きな人は好きかも知れない

  • 「不思議な味わいの物語」とは言い得て妙。けっきょく、エミリーはなぜやってきてどこへ行くのか、「ここで終わるんだね」と思いつつ、時にはこんな物語もいい。随所に見えるジョーンズらしいユーモアと、牢という限られた空間で展開する、生活感がありながらどこか絵空事のような空気を楽しむ。こんな作品を経て、彼女の代表作といわれる「魔法騒動物語」は書かれたんだなあ。

  • DWJはほとんど読んでるんだけど、最後はボーゼンとしました。うーん。デイルマークとの関連もあるし、途中はかなり物語に引き込まれたので、読んで良かったとは思うけど、好きかと言われるとビミョー。DWJ初心者にはオススメできない。作者のごく初期の作品が掘り起こされての出版とのことだし、DWJもう全部読んじゃったよ〜読むものないの〜?という方には一読の価値があるかと。

  • 故あって再読。フランスロマン主義が拘泥した幽閉小説の現在形だとは思う。

    現代の英国ケントに住む25歳のエミリーがいきなり時空間を吹っ飛び、見たこともない異世界で城塞のなかの牢に閉じ込められる。そして牢番以外に会話を交わすことは禁じられながらも、周囲の世界が少しずつ明らかになり……と、ネットにあふれる腐小説のような設定ながら、さすがジョーンズ、とんでもなく引き込まれました。構成がエミリーが隠れて書いた手記のかたちを取るため、いっそう錯綜するこちらの感覚。ラストも「驚愕」とは簡単に書けない。賛否分かれると思いますが、わたしはこういうラストも嫌いではないです。ただ、1960年代に書かれていながら30年も出版されなかったのもわかるような気もする。

    ついでに書くと、佐竹美保が描いた表紙が目玉焼きのようで、読んだ後で見るとさらに不気味。

  • 不思議なお話。不条理小説というか実験小説というか‥わからないことだらけだけど、なんとなく心がひかれる作品。主人公がたくましい。

  • 何とも味気ない終わりで、びっくりしたした。実験的なお話だったのかな?

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著者プロフィール

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(Diana Wynne Jones)
1934年8月16日 - 2011年3月26日
イギリスのファンタジー作家で、子ども向けの独創的なファンタジー小説を記す。代表作に『ハウルの動く城』『大魔法使いクレストマンシー』のシリーズがある。
2004年に『魔法使いハウルと火の悪魔』が宮崎駿監督・スタジオジブリ作品「ハウルの動く城」として映画化され、日本でも広く知られるに至る。

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