- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488581015
感想・レビュー・書評
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死後の世界観についてのマシスン説。
キリスト教・西洋的というだけではないと思う。
地獄での描写はホラー系の作品を描き・作る筆者の腕の見せ所。
一方で「地獄をぼくらの天国に」の章
355ページからのクリスの独白、呼びかけは
あまりに人間(男・夫)としてピュアでロマンチックで感動的。
困難があるとはいえ死者同士の物語なので『ある日どこかで』
で感じたようなどうしようもなさの中で
いかにそのときを充実させる為に力を注ぎ、
喪失することの悲しみというものは薄い。
ただ、人の心や認識が開いている状態を保つことが
生きていても死んでいても重要ということは伝わった。
実もふたもない・いやらしい結末の短編も読んだけど、
根はロマンチストで希望を捨てない人なのだと思う -
不慮の事故で命を落としたクリス。彼がたどり着いた死後の世界は「常夏の国」と呼ばれる楽園だった。だが、まもなく信じられない知らせが届く。彼の死のショックに耐えきれず、最愛の妻アンが自殺してしまったというのだ。クリスは旅立つーーアンを救い出すために、想像を超えた苦難の待つ地獄へと!愛の力がもたらす奇蹟の旅を描く傑作ファンタジー、ついに登場。映画化原作。
原題:What dreams may come
(1998年) -
映画公開時、宣伝の余りのスピリチュアル臭に辟易し、原作も敬遠してきた(>_<)。
実際読んでみたら、想像以上のスピリチュアル本だった(>_<)。
世界観の説明だけで全文の3分の1を占め、ついて行くのに一杯一杯(終わりの方の転生については結局理解できず)......物語に感動する余裕もなかった...... -
前世がなかったら、私たちはまるで幽霊ではありませんか。
映画も観たい。 -
最初の方は割と淡々と読みました。
いわゆる「天国(天国とは言われていないので)」の説明、肉体に対して精神を中心に動いている美しい世界が描写されます。
この辺を読んだだけでは「ああ、今すぐ死んでも悪くないかもな」などと思いかねないわけですが、そうはいきません。自殺をする、つまり生きることを放棄したらどうなるのかという点もしっかり説明されています。
主人公の妻は主人公を追って自殺してしまいます。
死後の世界を信じず、夫(主人公)が消滅したことに絶望し、自らの存在をも消滅させてしまった妻は地獄へ落ち、自分の殻に閉じこもってしまった。そんな彼女の精神が作り出す世界は、何もかもが廃れきってしまった世界。
本書で語られるように、死というものが、肉体から解き放たれて別次元の世界へ移動することならば、自殺をすることは苦悩を引きずることに他ならないのですね。その苦悩は自分に罰を課し、陰鬱な精神状態のまま過ごすことになってしまうのです(少なくとも、この本によれば!)。
ところが、そんな妻を見捨ててはおけないと、主人公はいくつもの災厄が待つ地獄へ向かう。
死後の世界を信じず、自分の殻に閉じこもっている妻・・・彼女は魂と精神的だけの存在になることで、余計にその傾向を強めていたかもしれません。そんな彼女になんとか自分の正体(夫は肉体を持たないが生きている!)に気づいてもらおうと説得する場面は、一番泣けるところだと思います。
このように、マシスンが描き出す死後の世界は、自分のうちにあるものが世界を作り出すという点で、同氏の「ある日どこかで」と共通するところがありますね。「ある日どこかで」では、主人公のタイムスリップを可能にしたのが極度の自己催眠ともいえるものでしたから・・・。
最後に、読んでいて349ページが少し気になっていたのですが、アマゾンのレビューによれば、原本の1ページ分が脱落しているとのこと。349ページの「こんどは自分の足で体を支えている」の前には「身を起こした(p.349)」とありますが、この間に「よろめいて、へたり込み、再び立ち上がり」という描写が入って「なんとか自分の足で体を支えている」と続くらしいのです。主人公の説得に、彼女がいかにダメージを受けているかがより鮮明になりますね。
と、長たらしく書いてしまいましたが、この本の最大のテーマは「人生とはなにか?」ということでしょう。この本を読んだ人が「生きることも一つの過程」という壮大で非科学的な視点からこの物語をみることが出来たなら、この本は人生の大切さについて”死後の世界を描き出すことで教えてくれる”、今を生きる力を与えてくれる本になると思います。 -
1999年8月読了。