彗星王の陰謀/惑星タラスト救出せよ! <キャプテン・フューチャー全集6> (創元SF文庫)
- 東京創元社 (2005年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488637163
感想・レビュー・書評
-
<快>
この作品が書かれたのは1940年。WEBの概念は無く,宇宙船コメット号には全太陽系の主要な書物が,なんとマイクロフイルムにて保管されている事がフューチャーメン達の大きな自慢なのだった。
SFといえども誰でも知っている科学的常識を無視しているお話はコンニチでは書物としてわ落第になってしまう。
だがこの時代はそんなのおかまいなしなのだ。そこがまた痛快で面白い。僕が本を読むスピード、普通は1ページ/1分程度なのだが、この本は2ページ/1分読めちゃう。明快で解り易いとても優れた作品だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「彗星王─」では物語がいよいよこの宇宙からも飛び出して
しまう。まぁ光速の壁だって平気で飛び越えてしまうこの
シリーズで今さら驚きはしないのだが。そして二人はいつの
間に(以下略)。
「惑星─」は最後の落ちがよくできている。ヴォストルの
キャラクター設計や喪心の刑など他にも上手いなと思う要素
は大いにあるのだが、最後の有無を言わせぬ実力行使が少し
やり過ぎで、キャプテンらしくない感じがする。
そして今さらなのだが、私の脳内でキャプテン達はあの
NHKのアニメの声で喋っていることを告白しておこう。
小説の挿絵や本文の説明もあってビジュアル面ではかなり
アニメとは違うイメージになっているのだが、声だけは
どうしても、ねぇ(苦笑)。あと、小説のキャプテンはアニメ
よりも少し若いイメージだな。 -
キャプテン・フューチャーシリーズ全集第6弾。
さすがにヒーローなのにやられる回数も増えてきているが、それでも逆転勝ちするのがヒーローか。 -
『彗星王の陰謀』
カバーイラストを見てもらえると分かるんですが、とりあえずヒロインのジョオン・ランドールに超見せ場があります。
「その女性は肌にわずかばかりの衣しかつけておらず、まばゆく光を放つ均整のとれた白い体はこの世のものとも思えぬ美しさである」
「すらりとした全身から奇怪な輝きを放っているその女性は、他ならぬジョオン・ランドールその人だったのである!」
もう、ギリギリという感じのセクシー表現ですね!まぁ、いまでは小学生ですらこれがお色気シーンであると気づかずにスルーしてしまいそうな気もしますが。ただのビキニアーマーじゃねーか、んなもんデフォだろみたいな。
今回は舞台に広がりがないし、アイデア的にもちょっと煮詰まってる気がします。
「存在の性質を変える」みたいなネタを扱うときに、ハミルトンはひとつのアイデアから派生させてることがあって、「あぁ、またそれ?」と。特に続けて読んでると、そういう感想をつい抱いてしまう。
ま、それでも、ジョオンのセクシーショットというありがたいシーンがあるので、よしとしましょう。いまどき小学生でもとは書きましたが、そこはそれ、われわれには想像力がありますから…
『惑星タラスト救出せよ!』
んん、この回はキャプテン・フューチャーの行動がやや乱暴というか、敵を躊躇なく殺しすぎな感じがして、乗り切れませんでしたね。グラッグが頭を踏み潰して、念を入れてグチャグチャになるまでって、ちょっと嫌です。
「世界破壊者」とはいっても、本来直接的な暴力描写は控えめにする方だと思うんですが、ハミルトンは。今までなら相手が犯罪者でも、出来るだけ生かして捕まえようとしてたはずなのに。相手がミュータントとはいえね。
この回には「必死で抵抗を試みるシーリは有無をいわせずその壇上に連れていかれた。黒いローブは脱げ、美しい体は下着だけの姿である」という描写もあって、前回に続くお色気シーンもあるわけです。
こんなシーンばっかり抜き出すのはお前がそういうところばっかり読んでるからだろ!と言われたらまったくその通りなんで「キャプテン・フューチャーを取り締まれ」とかそういうことではないんですが、暴力シーンと性的な(今から見りゃ控えめなもんですが)場面が急に増えたような感じがするのは、なにかしら編集方針とかそういうものを勘ぐりたくもなりますね。どうも、この回、ハミルトン本来の資質とは違うものを書いてる気がします。
で、ちょっと違和感があった巻なのですが、ひとつSF的なネタがあって、最後に明かされます。これに見事に引っかかりました。
正直、SFファンとしてこれに引っかかるのはどうよと自分でも思うんですが、○○が××だって真相を隠すために、この作品が△△SFであるのに □□SFであるかのようにミスディレクションしているのを、ながら読みで注意散漫だったわたしはそのまま看過してしてしまったという。ああ、やっぱり恥ずかしい。
冒頭から、サイモンがブーブー言い続けていて、これが伏線だったわけですね。