星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663018

作品紹介・あらすじ

「星を継ぐもの」は1977年に書かれたジェイムズ・P・ホーガンの有名なSF小説です。
月面で発見された宇宙服を着た5万年前の死体の謎を探っていきます。
「彼」は何者なのか、なぜ月にいたのか、徐々に謎が解き明かされるにつれ読者を壮大な宇宙へ導いてくれます。
昔のSF小説ですが今でも色あせる事はない名作です。

感想・レビュー・書評

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  • ずっとワクワクしてた。
    そして、なんだろう。
    宇宙を旅する(知る)ことは、最後、自分の内なる世界に還っていくこと、そんな気持ちにさせられた。

    月面で発見された真紅の宇宙服をまとった5万年前の死体。木星の衛星ガニメデで2500万年氷の下で眠っていた宇宙船。驚くべき事実を解明するために、科学や技術の要素がたくさん詰まったサイエンス・フィクション。
    なのに、何故か同時に世界や人生の根本、原理についても考えたくなる。

    私たちは何処から来たのか。そして何処へ向かうのか……と。

  • 月面で発見された深紅の宇宙服を纏った死体。検査の結果、死体は月面基地所属でも地球のいかなる人間でもなかった。
    彼は五万年以上も前に死んでいたのだ。

    この謎に挑む原子物理学者ヴィクター・ハントと生物学者クリスチャン・ダンチェッカー、各調査・研究チームの動向を描いていく。

    謎に挑み始めてから「おや、ダイジェストというか動向や考え方中心だな」で退屈になるかと思いきや赤い宇宙服の人についての場面など、過去に繋がっていく展開は飽きずに面白く読み進めることができました。こ、これは「そうきたか!」

    ダンチェッカー、鼻につくなぁ〜
    って思ってたけどハントと両輪でキレ味だしてくるからこのままライバルとして競り合っていってほしい。

    次作「ガニメアン、めっちゃ優しいやん」も楽しみです。
    (※正式名称「ガニメデの優しい巨人」)

    • ikezawaさん
      ハード系ではない。
      ハード系ではない。
      2021/08/24
  • 私にとっては初のSF?
    よく理解できない表現もあり、少々読むのに手こずりましたが、完読。

    主人公が月に滞在するシーンがありますが、夜空にぽっかり浮かぶ月を見て、今あそこに調査団がいるかもしれないなどと思いを馳せておりました。

    そして何よりこの作品が43年前に書かれた作品であるのがスゴイ。まるで未来を予知しているかのようです♪

    最後はなかなか浪漫のある終わり方でした^_^

  • 1977年に書き上げられた、古典とも言えるハードSF小説です。
    真紅の宇宙服を装着した死体が月面で見つかりますが、五万年前に死亡という結果が得られました。
    原子物理学者ヴィクター・ハントを中心に、謎が謎を呼ぶ壮大な調査が始まります。
    人類と何も変わらないこの死体は一体何なのか…。
    間違いなく強烈なSFなのですが、死体から話が展開していく構成は推理・ミステリー小説のようでもある不思議な一冊。

  • 数十年ぶりに再読。
    なんとなくしか覚えていなくて、当時は難しい本だと思い込んでいましたが、読み返したら印象はガラッと変わりました。
    評判通りの名作ハードSF、でした。
    特にハラハラドキドキするような緊張感あるシーンは出てきませんが、研究者がただ考察を進める物語にどっぷりと浸かりました。
    オープニングのシーンが後半で繋がっていく所も驚かされてしまいました。
    23年の締めに相応しい読書ができました。

    また来年も良い本に出会えますように!

  • 文庫版の裏表紙に本書のあらすじが書かれている。

    【引用】
    月面で発見された深紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもなければ、ましてやこの世界の住人でもなかった。彼は五万年前に死亡していたのだ!
    【引用終わり】

    五万年前に死亡した彼はいったい何者なのか、どこから来たのか。
    物語は、この謎を解くべく進んでいく。何度かのどんでん返しもあり、SFではあるけれども、一種の謎解きミステリーを読んでいるような面白さがあった。
    彼が実際に何者だったかをここで書くとネタバレになってしまうので、書かないが、謎解きの結果は、十分に納得できるしアッと思わせるものだ。また謎解きに至るプロセスも読者に十分な情報が与えられており、フェアだと思う。

    「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」に続けて読んだ古典的なSFの名作。
    これまで、私が読んで面白いなと思ったSFは「夏への扉」「アルジャーノンに花束を」等であり、これらも古典的な名作。読んだのは随分前のことだし、両作品はこれ以上ないくらいに面白かったのだけれども、なぜか、SFへの苦手意識が続いていて、それ以降もSF作品はほとんど手に取ることがなかった。それを克服しようと思って手に取った「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」および本書「星を継ぐもの」であるが、苦手意識は十分に克服された。いずれも一気読みの面白さだった。

  • 月面で発見された宇宙服を着た死体は、驚くべきことに5万年前に死亡していた。
    地球がまだ旧石器時代だったころ、宇宙には高度な文明を有する生命体がいた…?
    チャーリーと名付けられた彼は、どこから来て、何をしていたのか。
    今までの常識を大きく揺さぶる発見に、世界中の研究者たちが挑みます。

    さまざまな分野の専門家が各々のフィールドで探究を行い、その結果が持ち寄られ、新たな発見につながり、点と点が結びついて、だんだんと形を成していく。
    その点1つだって、何人もの研究者が未知の出来事に試行錯誤をしながらメスを入れて、解きほぐしたものなのです。
    その過程に、そのスケールの大きさに、たまらなくわくわくしました。

    最後の最後まで、静かに興奮しながら読了。
    自分の視野が、空間的にも、時間的にも、ぐいーーーんと広がったような感覚。
    大きな大きな流れの中に自分がいるということを意識させられました。

  • 【読みにくいが、こだわり屋なら嵌ってしまうSF超大作】
    *誤表記修正・・・ごめんね!!

    昨夜は年始から仕事で忙しく、お疲れ気味の彼女を慰労する
    目的で楽しみにしてたお洒落な看板を出すBARに行ってきたの
    だけど・・・

    いやぁ~、失敗、失敗っ!!

    ”もう絶対にあの店には行かない”って、会計しながら二人
    とも決心しちゃいました!!

    ”全席ソファー席でくつろぎながら美味しいお酒を・・・”

    って、ソファーじゃないじゃん!!
    あれはね、ソファじゃなくてベンチって言うんですっ(怒)

    しかもテーブルがいくつも空いてるのに私達が通された席は
    壁に向かった狭い圧迫感アリアリのカウンター席で・・・

    ほら、狭いから袖にジョッキを引っかけてビールをこぼしち
    ゃったでしょ!?

    店員は何度も慌てる彼女をチラチラ見てても、こっちからお願
    いするまでおしぼりをくれなかったし・・・ホント、最悪!!

    しょんぼりしながら”看板に偽りあり”をそのまま具現化した
    店を出ながら何の気なしに空を見上げると・・・

    夜空には大好きなオリオン座がキラキラ輝いていて・・・
    ため息が出るほど綺麗な夜空が私達を癒してくれましたっ(笑)

    そういえば最近、オリオン座の左上に位置する恒星が近々爆発
    する可能性がある、って、ニュースで言ってましたよね??

    その星は地球から光の速度で約642年もかかる場所に位置する
    ”ベテルギウス”と呼ばれる恒星で、質量は実に太陽の20倍程、
    もしベテルギウスを太陽に置き換えると木星周回軌道近くまで
    大きさがある超巨大な星なのですっ(驚)

    それだけ大きい恒星で、しかも星の寿命も尽きかけている故に
    赤色超巨星であり、最近の観測では2009年に行われたNASAの
    観測時よりも15%程も収縮しており、その収縮速度も加速し続
    けているのが確認されてるので・・・

    もしかしたら近いうちに本当に超新星爆発を起こすかもしれ
    ませんねっ!!

    そんな事を考えたら嫌な事を忘れてワクワクしちゃうかも??

    ホント、宇宙って、”少し(S)不思議(F)”・・・って、
    藤子不二雄さんじゃないんだから(笑)

    あはは、かなり強引ですけど、そんな流れから・・・

    今回はちっぽけな地球から遠く離れた壮大な宇宙を舞台にした
    ”少し不思議”作品をご紹介しちゃいましょう!!

    1980年に発売され創元SF文庫読者投票第一位を獲得したハード
    SFに分類されるロングセラー『星を継ぐもの』をお勧めします。

    作者は英国ロンドン生まれの故James・Patrick・Hogan氏(1941
    年生~2010年没)で、彼のデビュー作であり原本は1977年に
    発表されました。

    内容といえば・・・
    月表の狭い峡谷内、人工的に掘られた洞窟の中から真紅の
    宇宙服を着た人間の遺体が発見された。

    チャーリーと名付けられ、地球に持ち帰られた遺体を詳しく
    調査した結果、彼は現代の人間と全く同じ容姿をしており、
    人類との相違は見つからなかった。

    だが、彼は五万年前に死んでいた。
    地球で人類が発現した原始時代に同じ人類が月に存在していた。

    その驚くべき事実に各分野から研究者達が集結し、様々な推論
    を交わし、最後に出た結論とは・・・

    と、まるで学会にいるような雰囲気で全体が構成されています。

    その為、”スターウォーズ”や”海底2万マイル”、”ペリー・
    ローダンシリーズ”等、他の古典的メジャーSFとは違い、戦闘
    描写も無ければロボットも出ず、異惑星への旅もありません。

    正直、大まかに言えば”時間封鎖”のような作風だけど・・・
    いやいやいや・・・やっぱり全然、違うなぁ~(笑)

    本作はミステリー的な要素もあるし、ミッシングリンクにまで
    話を広げている部分は専門書的だし、でも宇宙って事で明確な
    SFだし??

    SFってそれこそ星の数ほどもあるけど、著者の作品以外に形容
    できる作風が見つからないような??

    それでハードSFと呼ばれてるんですね!!
    あはは・・・わかんないや、形容するのはあきらめたっ(笑)

    それで本作の凄い点は、1977年に発表されたって事です!!

    1977年といえば、当時絶大な人気を誇ったキャンディーズが
    引退、かたやAPPLE社が法人化した年でもあり、日本の家庭に
    1960年より続くいざなぎ景気の影響で、ようやく三種の神器
    (カラーTV、クーラー、自動車)が普及しだした年なのです。

    そんな発展期の時期に執筆された作品なのに現在、こうして
    読んでみても殆ど破綻していない科学的考察を交えた描写が
    あるのにはホント、驚いちゃいますよねっ??

    また作中に出てくる企業も”英国航空”とか、レンタカー
    企業の”AVIS”とか??

    あはは・・・ホーガンさん、お遊びしすぎっ(笑)

    こんな楽しい小ネタが光る作品なので、ツボにはまればワク
    ワクしながら一気に読んじゃうと思いますよ!!

    ただ、非常に残念な点が三つほど見られて・・・

    一つ目ですが・・・

    本作の原本は英語であり、日本で出版されている本作は勿論
    翻訳されています。

    その影響で少し直訳過ぎやしないかって感じちゃったり??

    例えば会話で、”まずは予想される質問にお答えしましょう。
    第一に・・・・・・答えはノウです。死体の身元は不明です”
    とか、英文風に会話なのに”『』”を閉じていなかったり??

    このようにちょいと意味不明な文章になってる部分が多々ある
    ので結構、読みづらいって感じる方もいたりして??

    このような文章の他にも、単語や状況にちょいちょいおかしな
    表現や前文とは違う状況記述があったりして、読み手の想像力
    と記憶力、適応力と許す心を必要とするので、慣れていない方
    には相当難しい作品と言っても過言でもないような気がしたり
    しています。

    それで二つ目ですが・・・

    この作品はまず結論はこうあるべきとプロットを作成してから
    肉付けしていったと感じるのですがその部分で問題がっ!!

    遺体がどの惑星(ミネルバ)の住人なのか、なんて公転周期=
    惑星が太陽を一周する期間なんだから、それが彼らの暦の解析
    で、○○○○日と解明できた時点で、どの位、太陽から離れて
    いるかが計算でき、住んでいた惑星を簡単に特定できるよね??

    ○○○○日って事は・・・あの○○付近ですって、少し天体に
    詳しい小学生でもわかっちゃうレベルかも??

    それをクライマックスぎりぎりまで○○人だ、いや○○人だと
    登場人物に議論を戦わせているのをみると、結論を先送りにし
    ているような雰囲気に感じちゃったり??

    そして三つ目ですが・・・

    SFだけあって登場する未来の機器類の描写がすごく細かいのは
    良いのだけど、話に関係ない部分でかなり頁数を割いてるので
    少しクドイって感じちゃうかも??

    でも現実に自分が知ってる事って何かと説明がクドクなっちゃう
    モノなので・・・仕方ないよね(笑)

    えっ、長文駄文の上に誤字脱字が日常茶飯事の私が言うなって??
    生意気な事言って、ごめんね~、ごめんね~っ(笑)

    あはは・・・なので正直に言うと上記が気にならない方なら、
    凄く面白いと感じるはずなので、興味があったら是非、読んで
    みて下さいねっ!!

    それで私見ですが・・・

    上述した理由から女性にはあまり向いているとは思えません!!
    彼女も最初の数頁で挫折しちゃったしね(笑)
    なので男性、それも中学生以上なら愉しめるかな??
    それとやはり作風が作風なだけに、短気な方には絶対に向いて
    いませんのでご注意をっ。

    前述した理由から、今回もやはりむう個人の偏見と独断で評価
    しちゃいました!!
    内容だけみれば3.5点なんだけど、1977年って事に敬意を表して
    満点評価・・・って、これじゃあ評価にならないかな??

    一度は翻訳本を諦めて原作も読んでみた・・・むうでした!!

  • 頭は飽和状態の一冊。

    月面で発見された宇宙服を纏った死体は5万年前の死体という衝撃。

    彼は何者?

    それぞれの領域においてのスペシャリスト達がその英知を結集して彼の謎に、宇宙空間に迫るSF浪漫ストーリー。

    専門用語てんこ盛り。数学、物理学と多角的に攻め込み宇宙服から順番に身ぐるみ剥いでいくかの過程に既に頭は飽和状態。
    なのに新たな解明が招く新たな謎といい、面白さがどんどん詰め込まれていく。

    ラストは浪漫と面白さの大きな一滴を頭に落とされ密閉された気分。

    いつの時代も人は未知のものへの好奇心、浪漫は止まることを知らない。

  • Inherit the Stars(1977年、米)。
    これがハードSFというものか、と唸らせられる本格SF。月で発掘された人間の遺体、推定死亡時期は5万年前…。いくつもの仮説と反論が交錯し、検証の過程で新たな謎が次々と浮上する。物語の大半は議論に費やされ、文章は耳慣れぬテクニカル・タームの洪水である。小説としては、読みにくい部類に属すると言っていいだろう。

    だがSF好きにとっては、そこが逆に魅力なのだ。SFに対して、純文学サイドからは「人間が書けていない」との批判がある。しかし誤解を恐れずに言うなら、宇宙の深遠な謎に迫ってゆく興奮に比べれば、個々の人間の心の機微は小事である。また科学ファンにとっては、気の利いた隠喩など用いずとも、難解な数式やテクニカル・タームそのものが、空想をかき立てる一編の詩なのである。

    「行って我々の正当な遺産を要求しようではないか」というダンチェッカーの高らかな宣言は、あるいは傲慢なのかもしれない。しかし理系寄りの私としては、その不屈の学者魂に、というかその台詞を言わせた作者に、「その意気やよし!」と拍手したくなってしまうのである。後続の作品で、ハントとダンチェッカーがどんな知的冒険を見せてくれるのか、とても楽しみだ。

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