フロリクス8から来た友人 (創元SF文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488696108

作品紹介・あらすじ

人類の中から突然変異的に現出した超人たち、との前に、60億の人間はとりえのないとして支配されるしかなかった。一介のである主人公ニックは、勤務先の上司につれられ、圧政を打破せんとする地下組織と出会う。彼らの最後の希望は、10年前、外宇宙に救いを求めて地球を後にした英雄プロヴォーニただ一人だった…。ディック本邦初訳の雄編。

感想・レビュー・書評

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  • 優れた情報処理能力を持つ「新人」と超能力を有する「異人」が世界を支配し、従来の人類である「旧人」はろくな仕事にも就けずに圧政に苦しめられている未来の地球。「旧人」の心の支えとなっているのは、現状を打破するために外宇宙に救いを求めて旅立ったトース・プロヴォーニと彼の代弁者たるエリック・コードン、彼らを支持する地下活動だった。
    息子の公務試験失敗に打ち拉がれている「旧人」ニックは、職場の上司が地下活動に加盟していることを知り、我知らぬままに活動の渦中へと踏み込んで行く。その過程で出会った鉄火肌の美少女・チャーリーに惹かれてゆくニックは、支配者層たる新人・異人にとって、旧人のステロタイプとして目をつけられている存在でもあった。取り締まりに遭遇し、チャーリーと共に後戻りできない逃避行へと追い込まれて行くニックの前に、「プロヴォーニ帰還」のニュースが飛び込んでくる。フロリクス8出身の異星人を仲間として帯同してきたらしいプロヴォーニに対して、新人・異人が取った対抗策とは?そして、プロヴォーニの帰還が地球にもたらした変革とは?

    ディックが生活費を稼ぐために長編作品を書きまくっていた頃の、典型的な量産品ですヽ( ´ー`)ノ
    小説としての完成度は、中の下程度。起承転結の「転」で終わってしまっている感じで、「結」がどうなるのか、また「転」にいたる明確な経緯と背景は何だったのか、よくわからないまま何となくストーリーがこぢんまりと収束しています。読後感は、はっきり言って「何じゃこりゃ??」な感じ。

    が、そんなレベルの作品でも、それなりに面白いのがディックのすごいところ。
    SFとしてのアイディアはありきたりだし、登場人物が直情的で幼稚なキャラクターばかりで感情移入できないし、全体的な完成度はイマイチなんですが、要所要所のディテールがとにかく面白い。特に、プロヴォーニが地球に帰還するまでのサスペンスフルな展開は、頁をめくるのがもどかしくなるほど。前半のストーリー展開を牽引する激烈な美少女・チャーリーの存在感も素晴らしいですね(まぁ、キャラ造形的にはありきたりなファム・ファタールではあるんですが)。
    ラストシーンには、如何にもディックらしい「ネガティブな前向きさ」が感じ取れます(何だよそれ、と思われるかもしれませんが、ディック読み慣れると感じ取れちゃうんですよそんな前向きさがヽ( ´ー`)ノ)。傑作とは言い兼ねますが、佳作とぐらいは言っても良いかな。愛すべき作品です。

  • 買ってから20年以上放っておいた本をやっと読んだ。題名の「フロリクス8から来た友人」というのは、人類の中から突然変異的に出現した「新人」と「異人」に支配される「旧人」を救う方策を求めて宇宙に旅立った男が連れ帰った(というか、その中に宇宙船ごと包まれて帰還した)巨大な異星生命体のことだが、上司に誘われて非合法活動に関わるはめになった妻子持ちの男がうっかり惚れてしまったじゃじゃ馬娘と一緒に当局から逃げ回るという話の筋にはあまり関係がない。あまりディックらしくないが、読みやすくて楽しめた。大森望訳。1992年1月31日初版。定価650円(本体631円)。
    収録作品:「フロリクス8から来た友人」、「ディックが最高!」(森下一仁による解説)、「フィリップ・K・ディック著作リスト」

  • 少数の"新人""異人"が大多数の"旧人"を
    支配している世界、旧人の思想的な支柱の存在や
    そこからのアングラ、レジスタンス的市民生活、
    それに対する支配層の管理、
    そして救世主の希望をかけられた伝説の人物が
    どうやら戻ってきそうだ、というところまでは
    面白かったのだけど。。。
    その後、特に新人の扱いについて釈然としない。
    上位の存在が現れた時に起こりうる
    価値観や世界の転換でも、抑圧された旧弱者が
    新たな力を得た革命的な解放でもなく。
    皆が同じ土俵に立つならまだしも狙い撃ちでは。

  • 読後感は「流れよわが涙」と良く似ている。
    愛憎の行き着く果てに見つけた諦めた悟りのような。

    ディック本人の評価は低いみたいだけど、そんなに悪くないんじゃないかな?

  • P.K.ディックの偉大なる失敗作(駄作)群の中の一つ。設定や会話は陳腐、プロットはいい加減、でも面白い。ファーストコンタクト物や「幼年期の終わり」のような人類進化物の要素が盛り込まれているが、世界の現実感が揺らぐディック独特の感じは薄い。最後は「アルジャーノン」的な哀しさを以って終わる。

  • 最後はこれで終わりかぁ、という感じ。
    今後どうなって行くのかにも興味があったのに。
    旧人と新人と異人って設定は面白かった。
    物凄く頭の良い人が新人で、異人は超能力を持ってる人。
    どうでも良いけど、主人公が好きになる女の子がどれだけ魅力的なのかいまいち掴めなかった。

  • 2009/07/10 購入
    2009/07/14 読了 ★★
    2016/10/14 読了

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