時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫) (創元SF文庫 ウ 9-3)

  • 東京創元社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488706036

作品紹介・あらすじ

ある夜、空から星々が消え、月も消えた。翌朝、太陽は昇ったが、それは贋物だった……。周回軌道上にいた宇宙船が帰還し、乗組員は証言した。地球が一瞬にして暗黒の界面に包まれたあと、彼らは1週間すごしたのだ、と。だがその宇宙船が再突入したのは異変発生の直後だった――地球の時間だけが1億分の1の速度になっていたのだ! ヒューゴー賞受賞、ゼロ年代最高の本格SF。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。Kindle版がないので紙で。地球だけが何らかの存在によって時間の流れを1億分の1にされてしまったという異常事態が発生したら…というぶっ飛んだ設定ながら、それによって起きるであろう事柄がリアリティを持って描かれる。これぞSFというところだが、ハードSFかというと、その現象を実現するメカニズムが地球外の技術であるということ以外最後まで全く説明されないのが逆にすごいと思った。作中では出てこなかったけど、これが現実に起きたら、「ちょっとタイムトラベルしてくるわ」とか言ってスピン膜の外に数時間だけ滞在して帰ってくる実験をするヤツはでてくるだろう。
    ストーリーは、ラストシーンにつながる流れと、そもそもの発端から順に起きたこと描く流れを交互にならべる手法で先がどんどん気になる設計になっているので一気に読んでしまった。そして大団円と思わせて三部作の1作目だったとは…。

  • その日、すなわち空の星が全て消えたその日、少年タイラーは、遊び友達にして双子の姉弟ダイアンとジェイスンと共に夜空を眺めていた。後にスピンと呼ばれる暗黒の界面が突如として地球を覆い、夜空の星々を消し去ったのだ。そして、スピンは地球の時間をも封鎖してしまう。なんと地球で流れる時間は宇宙の時間の1億分の1の速度になっていたのだ…

    ヒューゴー賞に輝く本書は、とても読み応えのある傑作でした。空から星が消え去り、偽の太陽が昇る。地球だけが遅々とした時を刻み、太陽は急激に膨張。人類存続の危機が訪れる…設定はまったく異なりますが、なんだか年初めに読んだ「異常」を思い出しました。どちらも人智を超えた異常事態に放り込まれた人間の挙動を精密に描く、という点で共通したテーマだと思いますが、本書の方がスケールが壮大で、事象を追求し一定の結論を導いており(すなわち投げっぱなしではない)、個人的には好みです。
    こういうテーマってSFでは古典的なのかもしれませんが、ドキドキワクワクして、おもしろいんですよね。

    本書では、主人公タイラーと物語の中心人物のダイアンとジェイスンを少年期から緻密に描きます。不思議だったのは、読み進めるほどに少年時代の彼らのエピソードを思い返されるんですよね。スピンが彼らの人生を変えた、とは作中でも指摘されますが、スピンが発生しなかった場合の彼らをどこかで求めてしまっているのかも知れません。

    オチのインパクトはそこまでありませんでしたが、それでも過去(スピン時代)と現在(ポスト・スピン)を交錯させ、クライマックスに仕上げる構成はお見事の一言。3部構成のようですので、2部も3部も読んでみようと思った傑作でした。

  • 翻訳と思えない自然な文体で読みやすい。ミステリーっぽい構成と展開も良し。下巻も期待。

  • 面白いです!これぞSFですね。地球を覆う謎の膜スピン、三人の少年少女の成長物語。葛藤、難病との戦い。そして火星のテラフォーミング。迫り来る終末にどう立ち向かうのか?そして結末は・・・・少年の日々はその後の人生のそこそこで顔をだして、生まれの身分の格差を埋める。人類の存亡の影に、個々人の生活が描かれていて読ませます。下巻いきます。

  • 突然、地球がスピンに包まれた。
    日常生活的にはそんなに変わらないような感じだが、地球時間が1憶分の1の速度になっている。
    実際そんな風になったらどうなんだろう。。。と想像が膨らむ。

  • 3.93/641
    時間封鎖 三部作(「時間封鎖」→「無限記憶」→「連環宇宙」)

    『【ヒューゴー賞・星雲賞受賞】
    ある夜、空から星々が消え、月も消えた。翌朝、太陽は昇ったが、それは贋物だった……。周回軌道上にいた宇宙船が帰還し、乗組員は証言した。地球が一瞬にして暗黒の界面に包まれたあと、彼らは1週間すごしたのだ、と。だがその宇宙船が再突入したのは異変発生の直後だった――地球の時間だけが1億分の1の速度になっていたのだ! ヒューゴー賞受賞、ゼロ年代最高の本格SF。』
    (「東京創元社」サイトより)


    原書名:『Spin』 (Spin #1)
    著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン (Robert Charles Wilson)
    訳者:茂木 健
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    文庫 ‏: ‎382ページ(上巻)
    受賞:ヒューゴー賞

  • 話の中心は主人公とその親友である双子の兄妹。次々に訪れる危機の中、主人公はというと妹との恋に悩みます。SFの部分は割と単純で理解でき、ストーリー展開もテンポ良く進みました。どちらも素晴らしいのですが、イーガンとは反対に位置する作品ですね。

  • SF

  • 「実をいうと、ああいう小説を読む最大の楽しみは、描写される風景にあるんです。そう思いませんか?にもかかわらずえ、すべての風景は自在に変化してしまう。砂丘をひとつ越えるたび、新たな運命が待っている、といった感じで」(下巻47ページ)これはある火星人の言葉だが、まさにそれこそ小説を読む楽しみだと思うし、作者自身がそうした小説を愛してやまないのだろうと想像させられた。

    文庫版の文字サイズが微妙に小さいが、一気に読んでしまう面白さ。

  • ベストSF2008年1位


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    【要約】


    【ノート】

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