- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488711016
作品紹介・あらすじ
2034年、地球の夜空から星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包みこんだのだ。世界を恐慌が襲った。この球体について様々な仮説が乱れ飛ぶが、決着のつかないまま、33年が過ぎた…。ある日、元警察官ニックは、病院から消えた若い女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる量子論的真実につながろうとは!ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。
感想・レビュー・書評
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難解だと評判のイーガン作品の中でも、比較的とっつきやすいとのことで手に取ってみました。結論から言うと、確かに難解ですが理解できないようなものではなく、思ってた以上に楽しめました!
量子力学の多世界解釈をSFに落とし込むだけで、こんなにワクワクした展開になるとは。特に終盤のアンサンブルを手に入れる過程が非常に面白く、主人公ニックが拡散することで、天文学的な確立でしか起こり得ない数々の事象を収縮して掴み取っていく流れは最高に面白かったです。
とはいえ、かなり頭を使って疲れたので、イーガンの他作品を読むのはたっぷり時間を置いてからにしようと思います(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーん面白かった。なんでイーガンこんなに面白いんだろうというか、私は面白いと感じるんだろう笑
分厚いし、三連休中に読めるかな~なんて読みだしたら、あっという間に読んでしまいました。
タイトルの『宇宙消失』は原題がXXXということで、ある程度ネタバレだなと思いながら笑、読んでおりましたが、想像以上のXXXでした!!笑
考えてみるにイーガンの面白さは、丁寧な物語世界の構築と、キャラクターの深い思考の描き方にあるのかなと思います。薄っぺらくない彼ら・彼女らのアイデンティティにまつわる悩み。そして本作も宗教を滅多切りしてて、私としては痛快なんですが笑、これは確かにキリスト教の人とかには受け入れがたいところももたらしているんだろうか?
ローラの事とか、玻葵(ポークウィ)のこととか、最後はもう少し欲しかった、、とかいうのはわがままなんだろうか。この次まとまった時間が取れるときに『順列都市』に行こうと思います。今回もわかったようでわからない部分もあったから、どんどん難しくなるとのことに慄いているけど、それを上回る面白さ!
本当に良い作家に巡り合えた人生に感謝~
本作は特に印象に残った台詞とかはないのだけど、全体がワクワク・ドキドキに満ち溢れていたっ -
終盤、【幼年期の終わり】を読んだ時のような、クラクラする感じがしたなぁ
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「人が選択をする――固有状態のひとつだけが生き残る。それは悲劇じゃない。それがおれたち人類という生き物であり、世界のあるべき姿なんだ」(P355)
私たちは毎日の生活で何かを選択するごとに、そうしなかった無数の自分を殺戮している。本書では「拡散」する無数の自分が平行世界で生き続けるような描写があるのだが、私にはそれが少し救いに思えた。なぜなら今ここにいる私がどんなにつらい状況にあっても、過去に別の選択をした自分は今もどこか世界の別のところで幸せにやっているのかもしれないと考えられるからだ。それは悲しいことかもしれないが、私には希望に思えた。イーガンの物語はそれまで想像もできなかった考え方をさせてくれるから好きだ。 -
えーとですね。ド文系のわたしがこれを読もうとするところから間違いなんだけれども。文章の意味がさっぱりわからない、という新しい感覚、日本語なのに意味が理解できないという、素敵な経験をさせていただきました。そういう意味で初めての経験で、なんだかロックだなと思いました。
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「2034年、地球の夜空から一夜にして星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包み込んだのだ。世界を恐慌が襲い、球体についてさまざまな仮説が乱れ飛ぶが、決着を見ないまま33年が過ぎた……。ある日、元警官ニックは、病院から消えた女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる真実につながろうとは! ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。著者の記念すべきデビュー長編。」
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著者の第二長編▲2034年に正体不明の暗黒球体「バブル」が太陽系を包みこんでから33年後。元警察官ニックは、病院から消えた女性の捜索依頼を受ける▼脳をナノテクで再結線する「モッド」と呼ばれるアプリを走らせている75年後の未来を描くハードボイルド小説。《奈落の子》らカルト教団が跋扈する世相で、主人公が「モッド」を使いこなし、忠誠モッドや観測者問題に悩みつつも「バブル」世界の謎を解明していく。量子力学ものが一般的になった今ならわかる拡散して収縮して固有状態にする話。原題は「隔離」「検疫」なるほど(1992年)
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暗黒の球体"バブル"が太陽系全てを包み込み星が見えなくなった近未来。
設定が壮大な割に規模の小さい話が続くなと思っていたら、量子力学的な方向へ進んでいき、バブルにもちゃんと繋がったのは驚いた。
理論的な部分は小難しいけど、訳が読みやすいから気にならない。面白かった。 -
波動関数の拡散と収縮、量子力学の世界では拡散している状態はそのどれもが可能性として存在しており、観測されることで1つの状態に収縮される。
作品でもシュレディンガーの猫の話が出てくるが、本来量子のふるまいである波動関数の拡散と収縮を人間がコントロールすることが出来るならまさに無敵である。
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量子論の同時敷衍性をキーワードに展開した物語。思考(観察)が結果を紐づけるという理論を究極まで展開した世界ということか。設定は興味深いが、没入できるかできないかは人によって違うだろう。自分の場合は微妙に置き去り感があって今ひとつの感を拭えない。