ゆらぎの森のシエラ (創元SF文庫 す 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
3.14
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本棚登録 : 168
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488724016

感想・レビュー・書評

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  • SF。ファンタジー。
    解説によると、SFとファンタジーの間で揺らいでいる作品らしい。
    個人的には、ハッキリとバイオSF。
    ストーリーはライトノベルチックで、バトル要素もあり。
    読んでいるとき、多くのSF作品を連想したが、梶尾真治さんのエマノンシリーズが一番近い感じがした。
    登場人物のビジュアル、バトルシーン、SF的なアイディアと、どれも読者の想像力が必要になりそうな作品でした。

  •  SFファンタジー。
     もとは人間だったにもかかわらず、ある人物から化け物につくり変えられ、その手先として利用されていた男。理性を取り戻し、己を血に飢えた化け物へと変えた相手への復讐を誓った彼は、その旅の途中、森の奥でひとりの少女と出会う。
     森にひっそりと住む、変わり者の少女。げてものを食べ、おかしな奇行に走るせいで、村の人々から頭が足りないのだと思われていた彼女は、男に出会ったことをきっかけに、急激な成長をはじめる。男とゆく旅路の中で、少女はやがて己に課せられた運命を知り……

     失礼ながら、ものすごーーく「もったいない!」というのがいちばんの感想でした。SFファンタジーの大作になりそうな、面白い話の、あらすじを読んだような印象が。
     ものすご美味しい設定が、あちこちにたくさん溢れているのに、展開が急すぎて、どうも演出不足の感がありました。キャラクターの心情を想像して味わうだけの暇がなかったです。
     この三倍くらいのエピソードをいれて、じっくり丁寧に描いてあれば、きっと乙女のハートをがっつりつかむ名作になったのではないかという気がします。

     もしかして、もっと、書かれていない間を、自分の妄想で補完しながらじっくり読めばよかったのかな、とも思います。子どものころって、そういう読み方が得意だったような気がするんだけどなと、自分にもちょっとがっかり。
     それにしても、菅さんの小説って、もっとがつんと重たくて読み応えのあるような印象があったのだけれど、本作ではずいぶんとギャップが。もしかしてこれは、若書きというやつなのかな?
     などと失礼なことをいいつつも、でもこの方の本はそのうちまた読みます。

  • 可愛らしい女の子がゲテモノ喰いだったことと血の中にいる微生物が生物を支配しているというところは斬新だった。ストーリーは別に面白いとは思わなかった。

  • 食らった相手の知識や能力やその種の歴史そのものを取り込んでしまうというのは、確かにファンタジーでありSFであり。今ならあれを思い出すのかも。
    みっちりと濃密に詰め込まれた世界観に身を浸す悦び。
    出会ってしまったふたりの約束と運命。美しく悲しい物語。

  • ヒロイックヒロインと悲劇のヒーローのお話。

    サクッと読めてさらっとまとまってて、ああ良い時間だった。と思える良書。
    少し昔のSFファンタジー、ある意味古き良きって感じの安心して読める当事の時代的な要素がある。

  • SF要素は他の生物を取り込んで成長する仕組みが多少描かれているだけで、基本的にはファンタジーと思う。自己犠牲的かつ不滅的で、勧善懲悪ではないところが特徴かなぁ。結局、この一連の動乱を、永遠に繰り返すような気がするよ。

  • この物語が初めて世に出た同年に私がこの世に生を受けたことに何か縁を感じる。
    もっと最近の本だとばかり思っていた。内容としては、今時のようなのに、風変わりなというか、よくあるようでないようなSF。
    ただ、おもしろいと思ったのは、「食べたものの知識を得る」ということ。
    これは今までになく新鮮で、なのにとても身近に感じられる考えだった。一瞬、魚の目の周りを食べる自分を想像してしまった。
    実際生き物は己の血肉とするためにものを食べているが、食べたことによって血肉以外の何かも取り込んでいるのではないかと思うと、すごくわくわくする。

  • コンパクトでとても読みやすかったです。しかし黒幕が強大な存在であるのに対し物語の舞台がいささか狭すぎる感じがしてもの足りませんでした。
    終わりかたも呆気なくさらっと終わってしまった感じでこれまた物足りない感じです。
    色々もう少し広げてもいいんじゃないかなと思いました。

  • いろいろともったいない感じがしてしまった…女性作家ですね!という感じなんだか悔しい

  • はかなげな少女と異形の騎士
    ……という組み合わせがすでにツボでした。
    思ったよりもちょっとグロテスクというかバイオというかでしたが、おもしろかったです。
    弱々しそうなヒロインの二面性とか。
    映像化してもおもしろそう。

    最後の方にある、金目は幸せだった。というような一文がとても印象深い。
    個人的にはすこし切なかったけど、金目自身が幸せだったのならよかったと思う。

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著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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