- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488763015
作品紹介・あらすじ
〈共和国〉の緑化政策船団の護衛のため、航空上の脅威となる人狗(ヒトイヌ)に対抗する生体兵器として生み出された対狗衞仕(たいくえいし)の員(エン)。数百年を戦いと孤独のうちに費やした彼女は、情報の涸れ果てた互聯網(ネツト)上を彷徨う中で、cyと名乗る人物に呼びかけられる。豊かな知識を所有する彼との対話に喜びを見出す員。だが、共和国が散布する細菌兵器の脅威が、cyに迫っていた。硬質な叙情に満ちた本格SF。解説=牧眞司
感想・レビュー・書評
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いつものミステリーのおまけにSFがある作品ではなく、SF感バリバリの作品。全体の雰囲気としてもかなり硬派なので好き嫌いが分かれるかも。
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いやー面白かった! 読者に親切な物語ではない。著者は世界を説明しない。ただ読み進めるうちに否応なく理解する。世界のこと、対狗衛仕のこと、員のこと。思惑は交差する。状況は刻々と変化する。人は人の思い通りにはならない。その理不尽と、ほんの少しの救い。
読者に親切な物語ではないけれど、とても楽しく読んだ。著者の既刊もぜひ読みたい。 -
とても切なく面白かったです。永く生きる生体兵器の員が、ネットの海で出会ったcyに会いに行くために、単身で200隻を超える艦隊に闘いを挑む、という大筋でもう好きです。文体が硬質なためか、世界観も硬かったのですが、読み進めていくうちに作品の終わりかけた世界が朧げに立ち上がってくる、というのも好みです。員とcyのやりとりが7文字という制限があるのも切ないですし、cyの正体も、物語の唐突な幕切れも切ないものでした。あと清がかわいい。想像力を駆使されられた楽しい読書でした。
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SFは門外漢なもので、慣れるのに苦戦しましたが、読み終わってみれば、なんというか、せつなさと言いますか……心に残る印象的な作品でした。良かったです。
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文庫化。
光文社文庫のシリーズは読んでいたが、著者の純粋なSFは初めて読んだ。
濃密なストーリーだが、展開が早いので、本の厚みという点では余りない。グロテスクな世界で繰り広げられるアクションシーンが良かった。