よくわかる初等力学

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  • 東京図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784489021497

感想・レビュー・書評

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  • 説明のくどさが本書(本シリーズ全般?)の特徴である。特に「作用反作用の法則」「慣性の法則」に対しては誤解を生まない配慮が過剰なまでになされている。砂川の物理の考え方シリーズやファインマン物理学と同様,読み物として扱うのが妥当か。

    必要な数学についても付録で詳しく説明されており,本書のみでも学習できるようになっている。全体として平易な内容を扱っており,本来なら高校物理にこれくらいは求めてもいいのではないかと思う。

  • 10年以上前に大学で時物理学科に在籍。今は物理に関係ない社会人。趣味で学び直しのために購入し、一応最後まで読破しました。

    冒頭「はじめに」で書かれていますが、「力学そのものの習得も大事だが、実は力学を通して得られる、物理的な思考方法の習得こそ大事だ」という著者の言葉は非常に共感できます。計算に惑わされて、その裏に潜む物理現象を理解していないと真に物理を理解したとは言えません。

    高校で物理を履修していない人にも読めるように書いたと言っていますが、優秀な高校生でなければさすがにそれは無理だと思います。

    前提知識としてベクトル、微分積分、複素数、三角関数、極座標くらいは事前に知っておいた方が無難です。

    途中計算は割と丁寧だと思いますが、たまに計算の経過をバッサリ省くところもあり、親切と不親切が入り混じっています。

    「静止している」や「動いている」など物理に出てくる用語の定義が非常に明確で厳密にされている。そのため括弧書きのコメントや脚注が非常に多いです。

    多くの内容をギュッとこの厚さに詰め込んでいるので、行間や図の感覚は非常に狭く、人によっては読みにくいと感じてしまうかもしれません。また、いかにも物理な堅い本が好きな(優秀な物理学徒)には高校物理の参考書のような本書は合わないかもしれない(そもそも優秀な人はこの本は読まないと思うが)。

    物理学科や工学系の大学1年生が最初の力学の自習用の教科書に使うには良いと思います(もちろんこれだけでは足りないので他の本は必須)。

    本書で難しい場合は、講談社基礎物理学シリーズあたりが良いのではないでしょうか。

    ※古い版では誤植が非常に多いので、可能な限り最新版を購入したほうが良いです(最新ではほぼ直っている)。

  • *****
    大学等で力学を学ぶ時,「力学そのものの習得」も大事だが,実は「力学を通して得られる,物理的な思考方法(これを身につけて,更に高いところへ向かってほしい)の習得」こそ大事であるはずだ。(p.iv)

     「ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力を発見した」と書いてある本がよくあるのだが,「リンゴが落ちる」から「重力がある」というだけの推論なら,ニュートンでなくたってできる。ニュートンの「発見」が素晴らしいのは,「リンゴが落ちる」ことと「月が落ちてこない」ことを共通の原因(万有引力)で説明したことである。(p.2)

     そろそろニュートンの時代から使われているこの「作用・反作用」(action-reaction)という名前からは卒業した方がいいんじゃないだろうか。「作用・反作用」という並びはどうしても,「まず作用があって,次に反作用が起こる」という時間経過をそこにあるかのごとく感じさせてしまうし,また「作用」が主で「反作用」が従属するかのごとき印象も与える。作用と反作用を合わせたものを「相互作用」(interaction)と呼ぶが,「作用・反作用の法則」よりも,「同時相互作用の法則」などにした方が実体に合うように感じる。(p.15)

  • 初等物理を学ぶ醍醐味は、身近な現象を原理や法則から理解できることだ。

    本書は必要な数学的知識もおさえつつ、物理の基礎概念をじっくり議論してくれる。

    20年以上前に高校、大学で物理を学んだ割には、なんと自分にそのセンスが身についていなかったのか。

    本書を学びきったことで、そのセンスの一端が身についたようで嬉しい。

    著者がサポート掲示板ですぐに答えてくれるのも、本当にありがたい。

  • 力学だけでなく、物理的な考え方も身につけたい人に。

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