レジリエンスとは何か: 何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる
- 東洋経済新報社 (2015年3月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492045671
作品紹介・あらすじ
レジリエンスとは「しなやかな強さ」と訳します。
強い風にも重い雪にも、ぽきっと折れることなく、しなってまた元の姿に戻る竹のように、「何かあってもまた立ち直れる力」のことです。
いまの日本はこの「レジリエンス力」がとても弱くなっていると著者は言います。たとえば、効率やコストを重視するあまり、資材の調達先を一社に絞った結果、3・11のような大きな震災の場合、企業は立ちゆかなくなってしまう。
同じように効率重視で行われているのは企業経営だけにとどまらず、教育、子育て、地域社会、環境でも垣間見ることができます。
しかし、世界では、このレジリエンスの研究が進んでおり、上記のような様々な面でレジリエンスへの取り組みが積極的に行われています。
世界のレジリエンス研究家とともにレジリエンスの研究を深め、啓発活動を行ってきた著者が、レジリエンスがかつてないほど必要となっている日本と日本人にレジリエンスの考え方と取り組み方を世界の実例を交えながら解説します。
感想・レビュー・書評
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個人がしなやかに強くなるだけではなく、個人を取り巻く集団や環境も、どんな事が起きても挫けないものならなくてはならない、また、困っている個人を救わなくてはならないという考えは勉強になった。
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近年、地震、津波、台風、大雨、伝染病などの、思いもかけない災害が頻発するようになったこともあり、「何があってもまた立ち直れる力」を意味するレジリエンスという言葉は、耳目に触れることも多くなった。
本書は、序章の「レジリエンスとは何か」に続く、「レジリエンスの基礎を知る」「折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる」「自分と家族のレジリエンスを高める」の三部構成からなり、生態系、教育、家庭、地域、自治体、企業、国家など、多岐にわたってレジリエンスを高めるためのヒントを紹介している。「「レジリエンス」に出会って日本に広く伝えたい! と思ってから10年、やとこの入門書をお届けで、とてもうれしく思います。一人ひとりの人生や暮らし、組織や地域、社会のレジリエンスを高めるために少しでも役に立てれば、これ以上の喜びはありません」というあとがきの言葉が、本当に強く伝わってくる1冊だ。 -
自己啓発
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レジリエンスとは、個々の要素の特性ではなく、様々な要素がつながりあってできているシステムの特性。”ここを強化すればよい”という単発の取り組みではなく、様々な側面から考え取り組むことが重要(あとがきより)
わかりやすく実践的に説く良書。
レジリエンスのある世界が大事にするもの
?多様性を促進し、維持する
?生態的なばらつきを受け入れ、活用する
?モジュール性;(つながっているがつながり過ぎていない)
?ゆっくりと変化する管理変数に注目する
?緊密な、しかし緊密過ぎないフィードバックがある
?信頼とよく構築されたソーシャルネットワーク、リーダーシップ
?イノベーション;変化を受け入れることを重視する
?ガバナンスの重複;変化の時期には、ごちゃごちゃした構造のほうがうまく機能する
?生態系サービス;金銭では評価でいない生態系サービスのすべても含めて開発の提案や評価を行う
[more]<blockquote>P33 閾値を超えると、非線形的な性質によって、「それまでとはまったく異なる状態」に変わり、その後も元に戻ることなく、変わった後の状態で安定してしまうことがあります。これを『レジーム・シフト』と呼びます。
P61 ハーディネス=頑健さ… 3つの”C”=コミットメント・コントロール・チャレンジ プラス、2つのスキル=問題解決型の対処と支えの交流
ハーディネス=ストレッサーに挑戦する強さ レジリエンス=ストレスによる苦痛から立ち直る強さ
P75 バウンス・バック!プログラム
P107 楽観志向の本質は、前向きな言葉や勝利をイメージすることになるのではなく、出来事に対する「原因」をどう考えるかにあります。「時間的広がり(これは一時的なことだ)」「影響が及ぶ範囲(限定的な影響にすぎない)」「自分化(状況のせいだ)」
P116 失敗力・我慢力は、実は大人にこそ必要なのかもしれません。子供が失敗することを見守っていられるか、子供によい顔をされなくても時には我慢することを強いているか
P117 子供たちに伝えたいメッセージ;物事はだいたいはよくなっていくもの。いつも同じものが怖いわけじゃない。自分の恐怖心に向き合うことで強くなれる。自滅的な言い方や助けにならない言い方をしたら、優しく『そうかしら?』と異議を唱える。
P142 「温暖化対策に取り組みつつも、不可避の温暖化の影響に備える」=適応策も重要という国からのメッセージが見えてこない。
P178 キューバのハリケーン対策 活力のバックには、たとえどんな災害が来ようとも人命だけは救われ、政府や地域コミュニティがきっと復旧を応援してくれるという安心感と希望がある=レジリエンスの重要な要素
P184 応急対策が中心となって異常に特化しているのが日本の特徴 応急対策だけでは災害は減らせません。応急対策=防災だと思い込まされているのです。被害想定をきちんと行い、シビアなハザードマップを作ることが前提です。
P215 レジリエンスのあるシステム
?継続的な学習
?迅速な立ち直り
?限度のある失敗
?柔軟性
?予備能力
P220 温暖化対策やリサイクルをするだけではなく同時にレジリエンスを高めることを考えないと「石油のない明日」に対する脆弱性は変わらない。
P229 マネー資本主義の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方
P241 地域経済の自立度を高めるためには、地域経済にどのくらいお金を呼び込めるかと同時に、一度その地域に入ったお金がどのくらい地域に残り循環するかという視点が重要
P269 幸せの貨幣依存度を下げていく</blockquote> -
少なくとも、読むのに足かけ3年かかりました。
読みやすい部分と、読みにくい部分が混在していて、スムーズに読めませんでした。
何なんだろう、この感覚…。
とりあえず、「レジリエンス」の概念はよくわかりました。
また、その方向性は、自分の考えとも一致します。
が、行動に移すとなると、ちょっと壁がありそうなので、自分に合ったやり方を考えます。
まずは、この本にも書かれているように、何らかのアクションを起こすときに「レジリエンス的な視点でも考えてみる」からスタートですね。 -
何があっても折れない、しなやかな強さを示すレジリエンスに関する入門書。
こころや地域社会まで色んな考え方が紹介されています。 -
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