- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492061220
作品紹介・あらすじ
本書は、国鉄経営の完全崩壊、国鉄改革、そしてJR発足から今日までの著者の体験を整理したものである。
感想・レビュー・書評
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国鉄改革から、JR東海発足、現在に至るまで強大な力を持ち続ける著者による、国鉄での働きを描いた書。国鉄民営化という歴史的偉業を実務で行った人間の書いた本であるため、改革途中での人間の動き描写は生々しい物を感じた。
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久々に読み返したが、良くも悪くも、今もこころに留めておくべき教訓が。
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この胆力はどこからくるのだろう?改革を成し遂げた人の強さを感じた。
桃李もの言わざれども、下自ずから蹊を成す。 -
国鉄三羽ガラスであり、JR東海元社長である葛西敬之の国鉄解体本。
葛西氏が元経理総務を勤めていただけあり、細かい経営分析や労組対策がかなりのウェイトを占めている。
葛西氏が国鉄に入社してから、JR東海へ赴き、国鉄改革の残務への対応を描いている。
彼自身の回顧録であり、国鉄の盛衰、民営化への必要性、無我夢中で行った業務、あっけない終わりなど、葛西氏の官僚・経営者としての思考だけでなく、ひとつの物語として面白い。
「昭和解体」も本書からエピソードを多数引用しているが、「昭和解体」より本書の方が、労働組合や政治などの暗く重たい描写は若干ウェイトが軽く、また、文章も一般読者向けであるためか非常に読みやすい。(登場人物や組織の名称もある程度記載するが、適度に省略されている) -
国鉄をJR各社へ分割民営化した当事者による解説・回想。現状維持を志向する経営層に対して危機感を持った若手層が、政治やマスコミ・世論を巻き込んで国鉄という超巨大な組織の分割民営化を達成するまでの軌跡が語られているのです。
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非常に面白かったので、かれこれ3度ぐらい読み返しているが、飽きない。私が産まれた時には国鉄はすでにJRだったので、国鉄時代を生きたことのない人間にとってはピンと来ない部分もあるが、それでもである。
国鉄の民営化について組織や労使関係を中心に、当事者の立場から書かれている本だが、我々若い世代には到底信じられないような話がゴロゴロでてくる。読了後には、なるほど、国鉄は潰れるべくして潰れたのか、と思った。そして何より、当時の関係者の熱い想いが伝わってくる。何度か読み返しても飽きないのは、それが大きい。
最後は、国鉄改革がなぜ「未完」であるのかについて述べられているが、この本の出版から10年以上たった今、果たしてどうなっているのだろうか。
なお、この本は労使の「使」側から書かれた本であるが、ちゃんと「労」の側から書かれた本もあります。秋山謙祐氏の「語られなかった敗者の国鉄改革」。こちらも非常に読み応えがあるので、合わせてぜひ。 -
国鉄はなぜあのような悲惨な末路を辿ったのか。
国鉄分割民営化はどのようにして進行したのか。
JR発足時の問題点とは。
そして今後の鉄道の行方は?
国鉄で労務畑をあるきJR東海社長に上り詰めた葛西敬之が記した国鉄改革の裏側。
多大な問題をはらんだ国鉄改革の実態がわかります。 -
2010.5.31
親が面白いというので読んでみたけど、難しかった。
国鉄は発足時から構造的な矛盾を抱えてた。
インフラ事業なのに独立採算でやるという体制は無理があった。
高度成長下ではうまくやってきたけど、その後矛盾が表面化した時に、政治的な思惑もあって、問題がどんどん先送りに・・・。
その後改革の段階になると、労使関係が大きな問題となる。「組織」って難しいよなぁほんと。ここの部分が、労働組合、委員会や部署がイメージが出来なくて(自分のせい、というか知らないから)、すっと入ってこなかったのが残念。
関係者を本気にさせるってことが、相当な努力と根気が必要難なんだなってこと、そしてそれをやり遂げた著者の熱い想いは伝わってきた。
将来自分がこんな場面に出くわしたら、勇気を貰える一冊だと思う。 -
著者が国鉄に入社してからJR発足までを、当事者として携わっていた立場から描いた本。
とは言っても、決してミクロ的視点で事実を羅列したドキュメンタリーに終わるのでなく、著者の周囲の人間の心情までを描きだし、一方でマクロ的視点に立って、国鉄という組織の問題、労働組合の問題、そして政治的な問題までにも言及してしている。
そして、一般的に民営化の成功例とされている国鉄改革が、実は政治的な問題により当初の案がゆがめられ、結果として制度設計の矛盾を抱えているということ、そしてそれが国鉄改革が「未完」である理由であることが明快に述べられている。
20年前の国鉄破綻と今回のJAL破綻には、労働組合や、政治的に歪められたビジネスモデル、社内風土の腐敗など、通じるところがあるのではないだろうか。